火入れ貯蔵の揮発性カルボエル化合物におよぼす影響を内地米で醸出した清酒と加州米で醸出した清酒について比較検討した。
1.内地米使用酒の全揮発性カルボニル化合物は2, 4-ジニトロフェニルヒドラゾンとして火入れ前で166ppm, 火入れ後84日貯蔵で10gppmで, 火入れ貯蔵によって34.2%の減少を示した。
一方加州米使用酒では火入れ前で107ppm, 火入れ貯蔵によって82ppmとなり23.7%の減少を示した。
2.両酒ともアセトアルデヒド, イソバレルアルデヒドおよび1つの未知物質が主成分であり火入れ前と火入れ貯蔵後でも主成分には変わりはなかった。
3.主成分の定量の結果, 内地米使用酒の火入れ前ではイソバレルァルデヒド0.04mg%, アセトァルデヒド1.64mg%であったが, 火入れ貯蔵後はそれぞれ0.03mg%, 1.14mg%であった。
一方加州米使用酒では火入れ前ではそれぞれ0.03mg%, 1.09mg%であったが, 火入れ貯蔵後はそれぞれ0.04mg%, 0.77mg%に変化した。
4.イソバレルァルデヒドとアセトアルデヒドとの割合を火入れ前後で比べた場合, 内地米使用酒に比べ加州米使用酒に著しい変化がみられた。
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