前報において玄米の貯蔵条件による蒸米の老化と粘弾性との関係について検討したが, 本報においては玄米の乾燥方法による炊飯特性の変化の差異およびその貯蔵による変化とアミラーゼによる蒸米の溶解性の関係についてしらべた。
1) 玄米の乾燥方法を変えた場合の炊飯特性の変化を調べた結果, 天日乾燥, 高温乾燥処理した米の水溶性固形物の溶出は低温乾燥処理した米より多く, 溶出液のヨード青色度は大きい値を示し, 同一量の溶出多糖類のヨード青色度は小さい値を示した。
2) 乾燥処理した米の貯蔵による炊飯特性の変化については, 乾燥方法の如何にかかわらず多糖類の溶出は経日的に増加する傾向がありそのヨード青色度は次第に減少する傾向を示した。
3) 高温乾燥すると精白米中の砕米発生率が大きくなり低温乾燥ではその割合は小さい。糠は水分含量の多いもの程とれ易い傾向にある。
4) 炊飯米の被糖化性は, 高温, 低温乾燥では天日乾燥にくらべ, 貯蔵日数が経過しても多少良好である。
5) 定期的に外液を新らしい酵素液とかえて経日的な溶解の変化をしらべたが, 蒸米の初期における溶出量は, 高温乾燥米と低温乾燥米では高温の方が多く, 後半になると低温の方が良い成績を示した。すなわち高温乾燥した米は初期に溶け易い傾向があることがわかった。
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