市販の醸造酢35点の化学分析ならびに官能評価を行い, 得られた化学成分18項目, 官能特性10項目, 計28項目の単相関行列を用い因子分析を行った。
1) 全食酢, 米酢, リンゴ酢について因子分析を行った結果, 第5因子までにそれぞれ69.1%89.3%, 80.7%の因子抽出率が得られた。
2) 各因子の負荷量の大きさより, 全食酢では第1因子, まるさに関する因子;第2因子, 色, 香りの濃さに関する因子;第3因子, 味の濃さに関する因子;第4因子, 塩味に関する因子;第5因子, 総合的風味の良さに関する因子: 米酢では第1因子, まるさに関する因子;第2因子, 濃さに関する因子;第3因子, 塩味に関する因子;第4因子, 刺激性に関する因子;第5因子, 総合的風味の良さに関する因子: リンゴ酢では第1因子, まるさに関する因子;第2因子, 旨味に関する因子;第3因子;味のバランスあるいは調和に関する因子;第4因子, 総合的風味の良さに関する因子;第5因子, 刺激性に関する因子と解釈した。
3) 因子の抽出率が種類別に分けた方が全食酢の場合より良くなること, 米酢とリンゴ酢の抽出された因子の構造が異なることより, 原料の種類により別々に食酢の味覚構造を理解すべきことが示唆された。
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