多収穫米アケノホシの酒造適性を中生新千本および八反35号と比較して検討した。その結果以下の知見が得られた。
(1) アケノホシは, 他の2品種に比べ小さい千粒重および低いアルカリ崩壊性を示し, 一方高いカリウム含量を示した。
(2) 3品種を用いてつくったそれぞれの麹の総合糖化力, α-アミラーゼ, 酸性プロテアーゼ活性には大きな違いが認められなかった。しかし, アケノホシを用いた場合は, 破精落ちの多い, ぬり破精麹となった。
(3) もろみにおいて, アケノホシの溶解は, 極めて低くその結果粕歩合は高く, 純アルコール収得量は低い値となった。
(4) 新酒の剛酒結果では, アケノホシを用いた製成酒は, 中生新千本を用いた製成酒に比べ淡麗であると評価された。
(5) もろみ中でアケノホシの溶解を促すためには, 膨化等の物理的処理または麹のみでは不足する酵素の利用についての検討が必要と考えられる。
終りに臨み, 本研究を行うにあたり原料米の精米に御協力して頂いた白牡丹酒造株式会社, 広島県経済連, 試験米アケノホシに関する資料を提供して頂いた農林水産省中国農業試験場, 岡山県立農業試験場, また, 御指導および製成酒の刷酒をして頂いた広島国税局鑑定官室に深謝致します。
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