熱傷
Online ISSN : 2435-1571
Print ISSN : 0285-113X
46 巻 , 5 号
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原著
  • 大峯 啓志, 松永 洋明, 衣川 慧, 高田 太一, 三宅 順子, 安田 浩
    2020 年 46 巻 5 号 p. 175-180
    発行日: 2020/12/15
    公開日: 2020/12/15
    ジャーナル 認証あり
     医学部での教育のカリキュラムのなかに, 「熱傷」の項目がある. しかし, その内容については細部の規定はなく, 内容はそれぞれの大学に委ねられている. 今回, 現在の熱傷教育の状況を把握するために, 日本国内の実態を調査した.
     その結果, 熱傷の講義は形成外科, 皮膚科, 救急科など複数科によってなされていた.
     また講義の内容では, 熱傷の受傷面積の評価, 熱傷の原因, 熱傷の深度などは多くの大学で触れられていたが, mental support, 進行性無菌性壊死, 熱傷のリハビリテーションなどは講義で触れている大学は少なかった. 臨床実習で実際に熱傷患者を経験しているのは15%程度であるという結果を得た.
     熱傷は日常臨床, 災害, 事故などでどんな医師でも遭遇する可能性の高い疾患の一つである. 今回の調査では, いずれの大学においても熱傷教育に費やす時間は短く, 内容も制限せざるをえないという実情が確認された. 以上の状況を鑑み, 熱傷に対しては卒後教育の検討も必要ではないかと考えた.
症例
  • 大沼 眞廣, 四ッ柳 高敏, 山下 建, 濵本 有祐, 須貝 明日香, 権田 綾子, 北 愛里紗, 北田 文華, 宮林 亜沙子, 原田 二郎 ...
    2020 年 46 巻 5 号 p. 181-186
    発行日: 2020/12/15
    公開日: 2020/12/15
    ジャーナル 認証あり
     われわれは小児期に広範囲熱傷を受傷し, 足関節の瘢痕拘縮からアキレス腱短縮を伴う尖足変形を生じた症例を経験した. これに対して成長に伴い3度のアキレス腱延長術を行い, 最終的に遊離広背筋皮弁で関節周囲を被覆することで良好な結果を得た.
     熱傷瘢痕拘縮では, 神経麻痺や先天性内反足による尖足変形とは異なり, 足関節周囲の瘢痕形成が著明であり, 再建に利用できる健常組織が限られるうえ, 小児においては成長に伴う再拘縮も問題となる.
     本症例でも整形外科では下腿骨の骨切り術を提案されたが, 関節周囲の硬い瘢痕拘縮自体に対する解除を要すること, 拘縮の程度が強いため下肢の短縮が著明になること, 成長に伴い再手術を要することなどの点からわれわれはアキレス腱延長術を選択した.
     皮膚の瘢痕拘縮では成長を考慮し, 時期ごとに慎重な術式選択が求められるため, 特に小児においては一般的な尖足変形と異なる概念で治療を行う必要があると考えられた.
  • 工藤 英樹
    2020 年 46 巻 5 号 p. 187-191
    発行日: 2020/12/15
    公開日: 2020/12/15
    ジャーナル 認証あり
     症例は62歳, 女性. 2歳時に熱湯による熱傷を受傷し, 以後, 後頭部に熱傷瘢痕による禿髪を認めていた. 1年前から痂皮の形成, 脱落を繰り返し, 半年前から骨様の皮角を形成して, 徐々に増大したため受診した. 初診時, 高さ4.5cmの巨大皮角を認めた. 部分生検および画像診断では悪性所見を認めなかったが, 全切除して永久標本による確定診断が望ましいと判断した. 第1回目の手術では頭蓋骨外板上で腫瘍を切除し, 人工真皮貼付を行った. 永久標本で悪性所見を認めず, 外板上に良好な真皮様組織が形成されたため, 第2回目の手術で全層植皮を行った. 現在まで再発, 悪性腫瘍の出現を認めず経過は良好であるが, 今後も引き続き定期的な経過観察が必要である.
  • 大谷津 恭之, 窪 昭佳, 上原 理恵, 大隈 彩加, 岡田 邦彦, 熊澤 憲一
    2020 年 46 巻 5 号 p. 192-198
    発行日: 2020/12/15
    公開日: 2020/12/15
    ジャーナル 認証あり
     症例は顔面Ⅲ度熱傷受傷後2年が経過した30代前半の女性である. 上口唇赤唇部の組織不足によって常に上顎前歯部が露出しており, 上口唇の修正を希望していたため, 両側の頬粘膜筋弁を用いて形成術を行った. 第1回目の手術では有茎の両側頬粘膜筋弁を用いて組織量の増大を図ったが, 口笛様変形 (whistling deformity) が生じたため, 第2回目の手術で両側対のV-Y advancement flapを用いてこれを修正した. さらに上口唇赤唇部の自然な形態を得るため, 第3回目の手術でキューピッド弓を再建した. これら一連の手術の結果, 上口唇の形態は著しく改善した.
看護
  • 牧野 夏子, 村中 沙織
    2020 年 46 巻 5 号 p. 199-205
    発行日: 2020/12/15
    公開日: 2020/12/15
    ジャーナル 認証あり
     本邦の熱傷診療は, 2009年にガイドライン公表, 2015年の改訂を経て標準化と質の向上が進められている. しかし熱傷看護教育は看護基礎教育, 卒後教育ともに十分ではないことが知られており, 特に重症熱傷治療に携わる看護師は困難を抱きやすい. 本研究の目的は, 看護基礎教育課程における救急・集中治療領域の教科書分析を通して熱傷の看護援助に関する教育内容の現状を明らかにすることである.
     方法は, CiNii Booksを用いて過去10年間の雑誌やビデオを除外した図書を対象に「熱傷看護」「救急看護」「集中治療看護」「急性期看護」「クリティカルケア看護」をキーワードとして検索し得られた241冊を概観した. そのうち, 研究報告書等を除外し改訂版がある図書は最新版を採用した結果, 131冊が選定された. 看護基礎教育で用いられる主要参考書・成書, テキストを教科書と定義し, 最終的に13冊が分析対象となった. 分析対象の図書から熱傷の看護援助に関する記述を抜粋し文脈単位ごとに抽出・要約したのち, 質的帰納的に分析した.
     熱傷の看護援助に関する記述がない6冊および入手困難であった1冊を除外した6冊の熱傷の看護援助に関する記述は187文脈単位が抽出され, 【異常の早期発見に留意した呼吸・循環管理】【回復促進のための栄養管理と早期リハビリテーション】【熱傷部・全身の感染予防対策】【熱傷に伴う身体的・精神的苦痛の緩和】【認知・精神機能の回復に対する具体的支援】【家族に対する病期に合わせた支援】の6項目に分類された.
     救急・集中治療領域において熱傷の看護援助に関する記述がある教科書は少なく, 内容に偏りは認めるものの患者への直接的なケアから家族看護まで広く記述されていた. 課題として, 教科書に掲載する内容の吟味と本研究結果を踏まえた卒後教育のあり方を検討する必要性が示唆された.
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