熱傷
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46 巻 , 1 号
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総説
  • 山元 修
    2020 年 46 巻 1 号 p. 1-15
    発行日: 2020/03/25
    公開日: 2020/03/25
    ジャーナル フリー
     化学熱傷とは, 化学物質が皮膚・粘膜に一次性に接触した際, その物質固有の化学反応によって惹起される急性組織反応で, 原則として熱作用は伴わないものをいう. 原因化学物質としては, 酸・アルカリ・腐食性芳香族化合物・脂肪族化合物・芳香族炭化水素・石油関連製品・金属およびその化合物・非金属およびその化合物・化学兵器 (毒ガス) ・その他に分類される. 臨床像は通常の熱傷に類似するが, 化学物質によっては特徴的な症状や経過を示し, あるいは皮膚からの吸収による全身症状を呈することもあるため, 個々の物質の特性を知っておく必要がある. 治療の原則は可及的かつすみやかな流水洗浄であるが, 化学物質によっては特殊な治療が必要である. 化学熱傷を診る機会のある形成外科医, 皮膚科医, 救急医, 総合診療医, 外科医は, 化学熱傷に関する最低限の知識を知っておく必要がある.
原著
  • 吉田 周平, 光嶋 勲, 今井 洋文
    2020 年 46 巻 1 号 p. 16-20
    発行日: 2020/03/25
    公開日: 2020/03/25
    ジャーナル フリー
     手術用顕微鏡のキセノンランプは明視野を作り出し非常に有効であるが, 生体組織に及ぼす影響を認識しておく必要がある. 本報告では手術用顕微鏡光源による熱傷の危険性を検証し, リンパ管静脈吻合術 (lymphaticovenular anastomosis : 以下LVA) 手術中に発症した顕微鏡熱傷を2例紹介する.
     試験1: 手術顕微鏡の光源で, 手術用椅子表面の人工皮革を照射した. 表面温度をサーモグラフィーで測定した. また, 生食ガーゼで被覆した場合の温度も測定した. 試験2: 実際の術野の温度をサーモグラフィーで測定した. 試験1では約15分で表面温度は118℃まで上昇した. しかし, 生食ガーゼを置くことで表面温度は25℃まで低下した. 試験2では表面温度は最高で35℃であったが, 照射角度に応じて照射野の中心ではない部位が最高温度となった.
     症例は23歳と57歳, 両下肢リンパ浮腫の女性2例である. 下肢に局所麻酔下でLVAを施行した. 術後, 手術部位の1ヵ所に熱傷創を認めた. 23歳女性例はⅢ度熱傷, 57歳女性例は深達性Ⅱ度熱傷となったが, 保存的に治療し上皮化した.
     焦点距離や光源の強さは顕微鏡熱傷を生じさせる最危険因子である. ほかにエピネフリン入りの局所麻酔薬の使用も局部の血流低下により, 熱傷を生じやすくする. LVAなどの強拡大を必要とする手術では焦点距離や光源が強くなる傾向がある. LVAなどの強拡大手術では顕微鏡熱傷に特に注意する必要がある.
  • 馬場 國昭, 徳田 リツ子, 馬場 淳徳
    2020 年 46 巻 1 号 p. 21-32
    発行日: 2020/03/25
    公開日: 2020/03/25
    ジャーナル フリー
     初診日が1993年4月1日から2019年3月31日にある26年間の熱傷患者50,376例を統計解析した. 2018年の第44回日本熱傷学会総会・学術集会では25年間の症例の集計をした. その後の1年間の症例を加え5万余例になったので, 本稿では26年間の熱傷症例の集計とした. 内訳は男性17,437例, 女性32,939例, 男女比0.53であった. 最も多い受傷年代は10歳未満の15,936例 (熱傷全体の31.6%) であり, 同年代の男女比は0.98で男女差がない. 熱傷の受傷原因は熱性液体が24,105例 (47.9%), 接触17,656例 (35.0%), 火炎3,784例 (7.5%), 蒸気2,679例 (5.3%) であった. これらの四大原因で熱傷全体の95.7%を占めた. 最多の原因である熱性液体による熱傷24,105例のうち熱湯によるものは10,581例, 熱油6,023例, 茶・コーヒー2,084例, みそ汁1,439例であった. 接触熱傷のうち最多の原因はストーブなどの暖房器具による5,211例, ついでアイロンの2,258例であり, 火炎熱傷では花火によるものが多く1,070例, 蒸気熱傷では炊飯器の蒸気によるものが多く608例あった. 26年間の症例を年度ごとにみると, 集計初年度の1993年度は2,690例あったのが最終年度の2018年度では1,245例 (集計初年度の46.3%) と半数以下になった. この推移から多数例の集計に加えて, この間の変動をみることが重要であると考え, 26年間を前期と後期の2期に分け熱傷患者数のさらなる統計分析をした. 前期の症例数は29,836例, 後期は20,540例 (前期の68.8%) であり, 男女別では男性の後期症例数は前期の60.2%, 女性は73.8%であり男性の減少率が大きかった. 原因別では火炎 (50.2%) と爆発 (37.5%) による熱傷の減少率が大きかった. ストーブによる熱傷では後期は前期の44.0%になっていた. 逆に増加した受傷原因はヘアーアイロンによる熱傷が1,100%で, 約10倍になっていた.
症例
  • 永井 淳, 淺井 英樹, 藤村 茂和, 齋藤 秀晟, 山本 幸治, 高野 啓佑, 奥田 哲教, 前川 尚宜, 福島 英賢
    2020 年 46 巻 1 号 p. 33-37
    発行日: 2020/03/25
    公開日: 2020/03/25
    ジャーナル フリー
     症例は37歳, 男性, ガスに引火し両手背, 指背にⅢ度熱傷 (2%TBSA) を受傷した. 受傷6時間後に両手背, 指背をデブリードマンし人工真皮を貼付した. 第3病日以降, 1日1回の創部洗浄時に理学療法士, 作業療法士によるリハビリテーション (以下リハビリ) を行った. 疼痛管理は鎮痛薬の内服と, リハビリ時には静脈麻酔薬を併用したが, 右手の疼痛コントロールに難渋し, リハビリの継続が困難となった. そこで第8病日から第13病日にかけて右橈骨, 尺骨神経に対して持続末梢神経ブロックを併用したところ, 良好な疼痛コントロールのもとでリハビリの継続が可能となった. 第13病日に全層植皮術を施行し, 第111病日の握力は右43kg, 左42kgで可動域制限はほとんど認めなかった. 重度手指熱傷における橈骨, 尺骨神経の持続末梢神経ブロックは, 良好な疼痛コントロールを得ることができ, 機能温存を目的とした早期リハビリに有用である.
地方会抄録
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