熱傷
Online ISSN : 2435-1571
Print ISSN : 0285-113X
47 巻 , 1 号
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総説
  • 寺地 沙緒里, 猪口 貞樹
    2021 年 47 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2021/03/15
    公開日: 2021/03/15
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     【はじめに】重症熱傷患者の看護のなかで特に苦慮している「体温管理」「創傷管理」「疼痛管理」についてガイドライン, 文献調査をもとに現在推奨されるケアを検討した.
     【広範囲熱傷患者の体温管理】広範囲熱傷では低体温の回避が重要である. このため, ①ショック期, 周術期, ICU管理中などの各状況に応じて目標室温を設定し, 体温をモニタリングすること, ②特に周術期の低体温回避に重点を置き, 適切な室温管理, 手術時間の短縮に加えて, 温風ブランケットなどによる能動加温を併用すること, が望ましい.
      【熱傷創の管理】Ⅲ度熱傷では熱傷創切除と植皮などによる早期創閉鎖が推奨されている. 広範囲に及ぶⅢ度熱傷では, 創閉鎖にいたるまでの間, 大量の滲出液に対応しなければならないが, この点に関する報告は少なく今後の研究課題と思われる.
      【熱傷患者の鎮痛・鎮静】鎮痛・鎮静に関しては, 多くのエビデンスに基づいてさまざまなガイドラインが作成され, 現場で用いられているが, 熱傷患者に関する研究は十分ではない. 現在推奨されているのは, 以下のとおり. ①鎮痛をしていれば鎮静はなくてもよい, ②創傷処置時の疼痛管理には, オピオイド(フェンタニル®など)が第一選択. 他の鎮痛・鎮静剤 (アセトアミノフェン, Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs (NSAIDs), プロポフォール, デクスメデトミジン (プレセデックス®), ケタミンなど) との併用でオピオイド使用量を軽減できる. ③疼痛評価ツールのBehavioral Pain Scale (BPS), Critical Care Pain Observation Tool (CPOT), Numerical Rating Scale (NRS) などを用いて定期的に評価を行う, ④神経因性疼痛に対してはプレガバリン (リリカ®) などを考慮する.
原著
  • 青木 優季, 小宮 貴子, 松村 一
    2021 年 47 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 2021/03/15
    公開日: 2021/03/15
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     【序論】労働災害による熱傷 (以下, 労災熱傷) について当院での5年間の治療歴を集計し近年の動向を報告する.近年の症例を振り返ることで医療者が意識すべき点へ言及する.
     【方法】2014年1月1日~2018年12月31日当科で治療を完結した労災熱傷35人, 36症例を対象にカルテで後ろ向き研究を行った. 1) 受傷年, 2) 職業, 3) 受傷機転, 4) 熱傷面積, 5) 熱傷深度, 6) 受傷から来院までの日数, 7) 治療内容を検討した. また, 8) 就業時, 熱傷を受傷した際の初期対応の指導有無, 9) 受傷直後の冷却有無, 10) 受傷から職場復帰に要した期間についてカルテ記載があった症例を検討した.
      【結果】最も頻度の高かった症例に関して示す. 1) が2014年年間受傷者40%, 2) が飲食店従事者74%, 3) が高温液体による受傷53%, 4) が熱傷面積10%未満89%, 5) が熱傷深度SDB~DDB 80%, 6) が受傷当日の病院受診94%, 7) が保存療法71%, 8) 就業時, 受傷直後の対応について指導がなかった患者が26人中23人, 9) 初期対応として20分以上の冷却を行っていない症例が25人中16人, 10) 職場復帰に1ヵ月以上を要した患者が25人中12人.
      【考察】熱傷受傷リスクの高い業種においても就業時に適切な初期対応の指導を行っていない. 適切な初期対応を就業時に指導することで, 労災熱傷の深度進行を防ぎ, 治療期間の短縮が期待できる.
      【結論】医療者は患者が受傷前と同じ職場に復帰した場合, 再受傷のリスクがあり, また同職業者も受傷のリスクがあることを意識し治療に努めるべきである.
  • 千田 恵理奈, 久徳 茂雄, 黒川 憲史, 大谷 一弘, 朝井 まどか, 粟津 瑛里菜
    2021 年 47 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 2021/03/15
    公開日: 2021/03/15
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     【序文】小児熱傷において急性期に体温上昇を認める症例を多く認めるが, それに伴う感染症の有無や抗生剤の要否に関しては判断に苦慮する場合も多い.
     【方法】過去6年間に対象施設を受診した, 熱傷面積5%以上で入院加療を要した急性期の小児熱傷患者54例を対象とし, 年齢, 熱傷面積, 体温, 感染症の有無を後ろ向きに検討し, 統計学的検討を行った.
     【結果】23例 (42.6%) で感染症を生じ, うち2例 (3.7%) で創部感染を契機とした重症な細菌感染症を生じた. 38.5℃以上の発熱は21例 (38.9%) で認めた. 38.5℃以上の発熱と感染症の有無に関し, 統計学的有意差を認めた (p値 <0.01) .
     【考察】発熱と感染症の関連が示唆され, 熱傷受傷後であっても38.5℃以上の発熱では積極的に熱源精査を行う必要性が示唆された.
     【結論】37℃台程度は熱傷による炎症反応で十分に説明がつくことが示唆され, 体温によっては必ずしも全例に抗生剤を投与する必要がないと考えられた.
症例
  • 長﨑 敬仁, 樫村 勉, 吉田 光徳, 菅原 隆, 菊池 雄二, 副島 一孝
    2021 年 47 巻 1 号 p. 22-28
    発行日: 2021/03/15
    公開日: 2021/03/15
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     有機溶剤中毒に合併して化学損傷を受傷した症例を治療する機会を得たので報告する.
     症例は71歳の男性. 予防策を怠りワックス剝離剤を使用し床清掃を行っていたところ意識障害をきたして転倒した. その主成分である強アルカリに長時間暴露したことにより, 右腰部, 両側臀部, 両側大腿, 左下腿にⅢ度9% total body surface area (TBSA) の化学損傷を受傷した. 受傷直後に本人に病識がなく, 受傷後7日目にかかりつけ医で皮膚黒色化を指摘され当院を紹介受診した. 同日入院し, 意識障害の原因検索および創部治療を開始した. しかし, 意識障害の器質的原因は見い出されず, 使用したワックス剝離剤の成分を調査し有機溶剤中毒に起因する意識障害と診断した. 化学損傷に対しては2回の植皮術により創閉鎖を完了し, 受傷後73日目に独歩退院した.
     有機溶剤による労働災害は特異的な所見や決め手が乏しいことより看過される場合があり, 労働災害としての化学損傷を診療する際は慎重な問診と適切な対応が必要である.
  • 大島 純弥, 井上 貴昭, 相原 有希子, 佐々木 正浩, 佐々木 薫, 関堂 充
    2021 年 47 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 2021/03/15
    公開日: 2021/03/15
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     2症例の熱傷患者の分層植皮術の植皮片拡張にMEEK™システムを使用する機会を得た. 症例1は50代女性, 背部熱傷に対して6倍MEEKを用いて分層植皮を行った. 症例2は50代男性, 腹部熱傷に対して4倍MEEKを用いて分層植皮を行った. 生着はおおむね良好ですみやかに上皮化が得られた. MEEK™システムは効率よく高倍率に植皮片を拡張することができる. また感染にも強く, 下床の血流が乏しい状態でも生着率が高いうえ, 上皮化までの期間が早い可能性がある. 専用機械の購入やドレッシングを含めた手技習得などの問題はあるが, 採皮部が限定される広範囲熱傷において有効な選択肢であると考えられた.
地方会抄録
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