熱傷
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症例
  • 田中 佑也, 海田 賢彦, 鈴木 準, 吉川 慧, 山口 芳裕
    2021 年 47 巻 3 号 p. 89-94
    発行日: 2021/09/15
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル 認証あり
     海外においてmicrograft sprayの創傷治癒に対する有効性が報告されているが, 本邦でこれを用いて熱傷治療を行った報告はなく, 今回RIGENERA®システムによるmicrograft sprayを併用して治療した熱傷症例を経験したので報告する. 
     症例1は62歳女性の上肢の熱傷に対して人工真皮で真皮様組織構築後3倍メッシュ, パッチ植皮に併用した. 症例2では80歳男性の上肢, 胸腹部の熱傷に対して人工真皮で真皮様組織構築後3倍メッシュ, パッチ植皮に併用した. 両症例ともmicrograft sprayを併用することでメッシュ間隙の上皮化期間が短縮し, パッチ植皮片周囲の上皮化は促進して, 良好な創閉鎖を得た. 培養の必要はなく手技も簡便であり, micrograft sprayを併用した分層植皮術は今後の熱傷治療の新しい選択肢として期待できる.
  • 権東 容秀, 吉澤 直樹, 佐野 秀史, 新井 隆男, 菅又 章
    2021 年 47 巻 3 号 p. 95-100
    発行日: 2021/09/15
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル 認証あり
     ヘパリン起因性血小板減少症 (以下HIT) を合併し, 頻回のベッドサイドでの小範囲植皮 (bed side graft : 以下BSG) を併用して救命した高齢者広範囲熱傷の1例を経験した. 78歳, 男性. 自宅で息子が焼身自殺を図り, 消火にあたった際に着衣に着火し受傷した. 初診時, 頭頸部, 体幹, 両上肢, 左下肢にⅡ度22.5%, Ⅲ度20%の熱傷を認めた. 入院後に血小板数が低下し, 5日目から回復したが9日目に4万/ µl となり, HITを疑いへパリンロックの使用を中止した. その後, HIT抗体が陽性となり, 大腿静脈に血栓を認め, アルガトロバンの投与を開始した. 安静度の制限のために, BSGを施行しながら関節可動域維持のリハビリテーションを継続した. 第77病日に血栓の消失を認め, 安静度の制限を解除した. 5回のBSGと1回の全身麻酔下での植皮で受傷後153日目に創面は閉鎖した. その後, リハビリテーションと顔面の瘢痕拘縮形成術を行い, 第250病日に転院となった.
  • 浅井 麻衣香, 佐藤 宗範, 草田 理恵子, 松村 一
    2021 年 47 巻 3 号 p. 101-104
    発行日: 2021/09/15
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル 認証あり
     症例は24歳, 女性. 陰毛脱毛のために脱毛ワックスを電子レンジで加温直後,夫が塗布する際誤って下腹部にこぼし受傷した. 水で洗い流したが,自力では剝れず,当院時間外外来受診となった. 下腹部に2%の浅達性Ⅱ度熱傷を認め, 入院加療を行った. 保存的加療で第8病日に上皮化し, 退院となった. 本症例の熱傷誘因として, 1) 高温ワックスの塗布, 2) 脱毛ワックス加温後の攪拌不足,3)オイルなど皮膚を保護する保湿剤を塗布していない部位への脱毛ワックスの付着の3つがあげられる. 脱毛ワックスによる熱傷は適正な使用下ではまれである. 自宅使用が容易である脱毛ワックスの使用が増えている近年, 使用方法とともに熱傷リスクや適切な救急処置の記載 (冷却しワックス温度を下げる, 油性は水で落ちずオイルや油性成分を含むクリーム剤を用いて落とすなど), 使用者に対しての注意喚起が必要である. また, 医療者も脱毛ワックスの特徴を理解し治療にあたることが望まれる.
  • 権田 綾子, 四ッ栁 高敏, 山下 建, 上遠野 なほ, 原田 二郎, 宮林 亜沙子, 大沼 眞廣, 北田 文華, 加藤 慎二, 濵本 有祐 ...
    2021 年 47 巻 3 号 p. 105-109
    発行日: 2021/09/15
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル 認証あり
     エアゾール噴霧剤は, 消臭スプレー, ヘアスプレー, 制汗剤などの化粧品, 医薬品, 洗浄用品, 防水スプレー, 殺虫剤など, 数多くの製品が販売されており, 日常生活において高頻度にさまざまな場面で使用されている. しかし, これらの製品の多くには噴射剤として可燃ガスが用いられており, 引火, 爆発による事故がしばしば生じていることについては社会的には意外と知られていない. 過去10年間に当科で治療を行った熱傷患者においても, エアゾール噴霧剤の噴霧後に熱を発生する家電製品から引火, 爆発したことによる熱傷が5例あった. さらに, そのうち発火源が給湯器であったものが4例と多いことは注目すべきである. 当科での症例はいずれも軽症~中等症であったが, 国内外で重症例・死亡例の報告が散見され, 近年エアゾール噴霧剤の廃棄に伴う大規模な爆発事故も生じていることから, 引火, 爆発の危険性について積極的な啓発活動の必要性があるものと考えられた.
  • 鈴木 源, 田口 茂正, 林 辰彦, 江川 裕子, 清田 和也
    2021 年 47 巻 3 号 p. 110-113
    発行日: 2021/09/15
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル 認証あり
     症例は45歳, 男性. 通気不良の室内でジクロロメタン (dichloromethane; 以下DCM) を主成分とする塗膜剝離剤を使用中に意識消失し救急搬送された. 搬送時, 意識障害に加え, 全熱傷面積7%のⅡ度熱傷を認めた (左肘2%, 腹部2%, 右前腕1%, 左大腿2%). 高濃度酸素投与にもかかわらず高一酸化炭素血症を認めたことより, DCMによる化学熱傷を伴う急性中毒と診断した. ただちに除染を行い, 高濃度酸素投与を行ったが, 入院後も血中カルボキシヘモグロビン (CO-Hb) 濃度の上昇を認め, 意識障害が遷延した. 受傷翌日より高気圧酸素療法を開始したところCO-Hb濃度はすみやかに低下し, 意識障害は改善した. 熱傷創部は深達化せず, 外用薬のみで受傷後3週間で完全に治癒した. DCMはその局所刺激作用や脱脂作用による化学損傷や, その代謝により産生される一酸化炭素による意識障害を引き起こすことがある. 本症例においては早期除染と高気圧酸素療法が有用であったと考えられた.
  • 竹田 朋弘, 石川 耕資, 林 利彦, 前田 拓, 石井 陸, 佐々木 雄輝, 北條 正洋, 三浦 隆洋, 大澤 昌之, 舟山 恵美, 山本 ...
    2021 年 47 巻 3 号 p. 114-121
    発行日: 2021/09/15
    公開日: 2021/09/15
    ジャーナル 認証あり
     症例は76歳, 女性. 意識障害をきたし自宅の石油暖房機の前で倒れて頭部から頬部に熱傷を受傷した. 初診時, 左頭部に白色壊死を伴う14×11cm大のⅢ度熱傷を認めた. 受傷後2日目の初回デブリードマンにより頭蓋骨露出を認めたが, 周囲の帽状腱膜および骨膜は温存し人工真皮を移植した. 露出した頭蓋骨, 周囲の帽状腱膜および骨膜も壊死にいたり, 広範囲に頭蓋骨が露出した. そのため受傷後17日目に良好な出血が得られるまで頭蓋骨外板を削り, 遊離広背筋弁および筋弁上への網状植皮により再建した. 熱傷深度が深く広範囲に頭蓋骨が露出した場合は, 外板を削って肉芽増生後に植皮を行う方法は従来から行われてきたが, 治癒まで長期間を要する. 早期に血流の豊富な筋弁で被覆する方法は, 露出骨の壊死の進行や感染を制御できる有用な再建法と考えられる.
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