69歳男性,電動サンダー直撃による前胸部局所外傷で当院紹介となった。造影CTでStanford A型大動脈解離,洞上行大動脈移行部(STJ)近傍に潰瘍様突出像,心嚢液貯留があり,緊急手術を行った。手術時上行大動脈外膜に鋭的損傷はなく,STJの前方半周を横断する内膜亀裂があり外傷性大動脈解離と診断,人工血管による上行大動脈置換術を施行した。局所的な胸部外傷による上行大動脈鈍的損傷での解離例は稀と考えられたため報告した。
77歳女性の梅毒性腹部大動脈瘤の1例。腎動脈下腹部大動脈瘤と右総腸骨動脈瘤に対し,開腹人工血管置換術を施行した。術前の血液検査と病理所見から梅毒性腹部大動脈瘤と診断し,術後に抗生剤治療を開始した。術後1年でRPR(Rapid Plasma Reagin)値は低下したが,術後395日目に急性大動脈解離(Stanford B)を発症した。梅毒性動脈炎の術後は,感染の沈静化後も血管壁の脆弱性が残存する可能性があり,長期的な大動脈管理が重要である。