Journal of Computer Aided Chemistry
Online ISSN : 1345-8647
ISSN-L : 1345-8647
16 巻
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  • 眞田 昭平, 黒田 隆明, 隅本 倫徳, 堀 憲次
    2015 年 16 巻 p. 30-38
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/27
    ジャーナル フリー
    Pd 触媒を用いたHeck反応は、有機合成や有機金属化学において最も広く用いられている、重要な反応の一つである。触媒として用いられるPd 錯体の配位子は、反応性に影響するため、その探索は重要な研究課題の一つである。本研究では、密度汎関数理論(DFT)計算を用いて新たに合成された2-(2'-ピリジル)ベンゾアゾール, L を配位子に持つPd錯体を触媒としたHeck反応の反応機構の解析を行った。計算結果より、活性種は反応基質のエチレンとPh-Brから生成するPd(Ph)(Br)(L)であることがわかった。生成した活性種から始まる触媒サイクルは、(1)エチレン配位、(2)エチレン挿入反応、 (3) β-H引き抜き反応、(4)スチレンの脱離、 (5) Ph-Br配位、(6)H-Brの脱離反応、(7) Ph-Brの酸化的付加反応の7つの素反応過程から構成される。律速段階はPh-Brの酸化的付加反応であり、その活性化自由エネルギーは30 ~ 32 kcal/mol程度と計算された。これらの結果より、この触媒サイクルは、PdII/PdIV ではなく、Pd0/PdII で進むことが明らかとなった。
  • Norihito Kawashita, Hiroyuki Yamasaki, Tomoyuki Miyao, Kentaro Kawai, ...
    2015 年 16 巻 p. 15-29
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/29
    ジャーナル フリー
    We have reviewed chemoinformatics approaches for drug discovery such as aromatic interactions, aromatic clusters, structure generation, virtual screening, de novo design, evolutionary algorithm, inverse-QSPR/QSAR, Monte Carlo, molecular dynamics, fragment molecular orbital method and matched molecular pair analysis from the viewpoint of young researchers. We intend to introduce various fields of chemoinformatics for non-expert researchers. The structure of this review is given as follows: 1. Introduction, 2. Analysis of Aromatic Interactions, 2.1 Aromatic Interactions, 2.2 Aromatic Clusters, 3. Ligand Based Structure Generation, 3.1 Virtual Screening, 3.2 De Novo Ligand Design, 3.3 Combinatorial Explosion, 3.4 Inverse-QSPR/QSAR, 4. Trends in Chemoinformatics-Based De Novo Drug Design, 5. Conformational Search Method Using Genetic Crossover for Bimolecular Systems, 6. Interaction Analysis using Fragment Molecular Orbital Method for Drug Discovery, 7. Matched Molecular Pair Analysis and SAR Analysis by Fragment Molecular Orbital Method, 8. Chemoinformatics Approach in Pharmaceutical Processes, 9. Conclusion.
  • 田中 健一, 金子 弘昌, 長阪 匡介, 船津 公人
    2015 年 16 巻 p. 1-14
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/06
    ジャーナル フリー
    電子付録
    化学工学プロセスにおいて実時間測定が困難な変数の値を推定するための手法としてソフトセンサーが広く利用されている。しかし、触媒の劣化や製造銘柄の変更に伴い説明変数Xと目的変数yとの関係が変化した場合、変化前の状態で測定されたデータを用いて構築されたソフトセンサーでは変化後の状態でyの値を予測することは困難である。この問題はソフトセンサーモデルの劣化と呼ばれ、それに対応するため各種の適応型ソフトセンサーモデルが提案されている。本研究では適応型ソフトセンサーモデルの中でJust-In-Time(JIT)モデルの予測精度の改善を目指す。JITモデルでは予測対象のXのデータと類似度が高いデータを既存のデータの中から選択したり、類似度が高いデータほど大きな重みを与えたりしてモデル構築を行う。この際、Xの値は類似しているにも関わらずyの値が異なるデータが既存のデータに含まれる場合に適切な回帰モデルが構築されず予測精度が低下してしまう。そこで本研究では、Xの空間では類似しているがyの空間では異なるデータを除外した新たなJIT用データベースを管理し、JIT用データベースのみを用いてJITモデルを構築する手法を提案する。JIT用データベースはyの測定値が得られるごとに更新される。適切にJIT用データベースを管理することで予測的なJITモデルを構築できる。5種類の状態遷移(y-shift・X-shift・Slope-change・y-shift + Slope-change・X-shift + Slope-change)および3種類の遷移速度(Instant・Rapid・Gradual)の全組み合わせで発生させた計15種類のシミュレーションデータに対して本手法を適用したところ、全てのケースで従来のJITモデルと比較して予測精度の改善が認められた。
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