日本補完代替医療学会誌
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16 巻, 1 号
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総説
  • 鈴木 信孝, 許 鳳浩, 上馬塲 和夫
    原稿種別: 総説
    2019 年 16 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2019/03/31
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー
    ジャワしょうがのエキス食品であるジャワしょうがバングレの成分,安全性や健康機能性,とくに脳機能賦活作用についての最新知見を紹介した.ジャワしょうがバングレは,in vitroにおいてNGF非存在下でも神経細胞の新生ならびに突起伸展作用を有することが徐々に明らかとなってきた.また,動物実験で,主成分バングレンが血液脳関門を通過することや空間学習能力と記憶力の改善作用をもたらすことなどが報告されている.さらに,ヒトにおいて軽度認知障害(MCI)に対する効果の検討も始まった.以上,ジャワしょうがバングレは,認知症に対する機能性食品として有望なものの一つであると思われた.
原著
  • 阿部 彰子, 松本 祥幸, 小栁 智
    原稿種別: 原著
    2019 年 16 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2019/03/31
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー
    市販の黒酢含有食品(黒酢,黒酢もろみ)のヒトでの安全性について二つの試験で評価した.試験1は,インフォームドコンセントが得られた健常成人11名に製品の1日摂取目安量(2カプセル/日)の5倍量(10カプセル/日)を4週間摂取させた(過量摂取試験).さらに,試験2として,C型肝炎患者10名と軽度肝機能異常を有する被験者10名の計20名を対象に,製品の1日摂取目安量(2カプセル/日)を4週間摂取させた.各試験共に,摂取開始前,開始2週間後,4週間後,摂取終了2週間後に,血液一般検査,生化学的検査,尿検査を行い,また有害事象や副作用の有無についても検討した.試験の結果,試験1,2ともに,摂取前と比較し,異常な変動を示す検査値やバイタルの変化は認めなかった.また,問題となるような有害事象ならびに副作用は認めなかった.以上の結果より,健常成人ならびに肝機能異常を有する被験者において,黒酢含有食品の安全性が確認できた.
  • 阿部 彰子, 長谷川 誠朗, 鶴岡 潤一, 松本 祥幸, 小栁 智
    原稿種別: 原著
    2019 年 16 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 2019/03/31
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー
    黒酢は,鹿児島県で伝統的に食されている玄米を原料とした黒色の食酢である.これまでに様々な健康に寄与する効果効能が確認されている.今回,私たちはBMIが25以上の健常人16名(男8,女8)を対象に,黒酢濃縮粉末の機能性評価を目的として試験を実施した.被験者は無作為に,低用量群8名(黒酢濃縮末500mg/日摂取)と高用量群8名(黒酢濃縮末1,000mg/日摂取)に割り付けし,いずれも8週間摂取させた.摂取前,摂取8週間後に,バイタル,体重,臍高での腹囲測定,血液検査,尿検査を行い,CT Scanで内臓脂肪面積,皮下脂肪面積を測定した.その結果,腹囲が両群で有意に減少し,高用量群において,内臓脂肪面積の有意な減少(p=0.033),血中HDL-コレステロールの有意な上昇(p=0.034),収縮期血圧の有意な減少(p=0.004)を認めた.以上の結果から,黒酢濃縮末は,メタボリック症候群対策や生活習慣病の予防のために活用できる食品素材の一つになり得ると思われた.
  • 須藤 明治, 山田 健二, 矢澤 一良
    原稿種別: 原著
    2019 年 16 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 2019/03/31
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー
    本研究はサプリメント(以下; V7, 成分; アスタキサンチン,還元型コエンザイムQ10,ロイシン,アルギニン,シトルリン,DHA,クリルオイル)とプラセボ(成分; サラダオイル)を30日間摂取させた時の主観的な疲労度とパフォーマンスレベルを検討した.被験者は体育系大学女子ソフトボール部に所属する19名とした.その結果,V7群におけるPREとPOSTの変化では,脚の疲労度,背中の痛み,肌のシミ,50m走において統計上有意に向上していた.V7とプラセボのPOSTの比較では,脚の疲労度,膝関節と股関節の痛み,肌のハリと美白,物忘れ,眼精疲労において統計上有意にV7が高値を示した.V7におけるPREとPOSTの変化率では,脚の疲労度,股関節と背中の痛み,肌のくすみ,眼精疲労,合計点において統計上有意に向上していた.
  • 細山田 康恵, 山田 正子
    原稿種別: 原著
    2019 年 16 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 2019/03/31
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー
    目的:ラットに, 高脂肪食とアルコール(Alcohol:Alc)を摂取させ, カプサイシン(Capsaicin:CP)の添加が脂肪蓄積量や酸化ストレスに及ぼす影響を明らかにすることを目的とした. 方法:4週齢Sprague-Dawley系雄ラットを用いて, 4週間飼育した.実験群は, 4グループを設定した.グループA:高脂肪食+水(Control:C群), グループB:高脂肪食+カプサイシン+水(CP群), グループC:高脂肪食+10%アルコール(Alc群), グループD:高脂肪食+カプサイシン+10%アルコール(CP+Alc群)とした.脂肪重量, 酸化ストレスなどの測定を行った. 結果:体重増加量, 総飼料摂取量に差は見られなかった.後腹壁脂肪重量, 肝臓トリグリセリド濃度および酸化ストレス度は, C群よりCP群とCP+Alc群で有意に低値を示し, Alc群よりCP+Alc群で有意に低値を示した. 結論:高脂肪食とアルコール摂取ラットにおいて, カプサイシンは, 脂肪蓄積量および酸化ストレス度を低下することが明らかとなった.カプサイシン摂取が,酸化ストレスを緩和し, 脂質異常症の予防に役立つことが期待される.
  • 上原 静香, 吉川 智香子, 吉田 美鶴, 水野 誠, 笠 明美, 許 鳳浩, 鈴木 信孝
    原稿種別: 原著
    2019 年 16 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 2019/03/31
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー
    ハトムギ全粒熱水抽出エキスの顔面肌に及ぼす影響を検討した.方法は,28~58歳(44.5±11.6歳)10名にハトムギ全粒熱水抽出エキスを1 g/日,8週間摂取させ,各種皮膚パラメーターを計測した.結果は,肌の透明感の指標である頬内部反射光測定で,摂取8週間後に青色内部反射光の総量が有意に増加した(p=0.011).さらに,肌表面のキメは,摂取4および8週間後に有意な改善効果が認められた(p=0.007, p=0.042).角層剥離状態についても,摂取4および8週間後に有意な改善効果が認められた(p=0.0002, p=0.020).以上のことから,本ハトムギ全粒熱水抽出エキスは,1 g/日と比較的少量摂取でも,優れた美肌効果をもたらすことが示唆された.
  • 根岸 弘典, 左近 聖子, 近藤 雅雄
    原稿種別: 原著
    2019 年 16 巻 1 号 p. 39-47
    発行日: 2019/03/31
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー
     あん摩・マッサージ・指圧施術者は日々の施術経過を通じ,手掌を中心とした自身の身体的変化,受術者の経時的応答変化を実感しているが,その実感・効果を裏付けるエビデンスは少ない.また,多くの先行研究は,受術者に焦点を当て,施術者と受術者の相互作用を考慮していない.そこで,本研究では施術者と受術者の身体的変化を同時に経時的測定を行い,両者の相互関係・作用を明らかにすることを目的とした.  本方法は,男女各1名の施術者,それぞれ,各6名1組の受術者グループを組合せ,50分間の試験を6回行った.試験は,施術前30分の安静,施術10分,施術後10分の安静を割り当てた.触手施術部位は,経験的に反応性が高いと考えられる受術者の腹部を選定した.受術者はベッド上仰臥位に,施術者はベッド横に設置した椅子に配置した.施術者と受術者両者の心電図測定と4か所(人迎,神門,陰交,太衝)の体表温度測定を同時・連続的に行った.  腹部触手施術により,(1)施術者のR-R間隔は短縮し(交感神経亢進),(2)受術者のR-R間隔は延長し(副交感神経亢進),(3)施術者の人迎・神門・陰交部の体表温度が上昇し,(4)受術者の陰交・太衝部の体表温度が上昇した.また,一方の施術者は,受術者の副交感神経活性化力は少ないが,受術者の腹部・足背の温度を顕著に上昇させた.他方の施術者は受術者の副交感神経活性化力は大きいが,受術者の腹部・足背の温度上昇は少なかった.  すなわち,腹部触手施術により,R-R間隔に関しては,施術者と受術者は反対の変化を示した.体表温度変化に関しては,施術者は腹部を含む上半身の人迎・神門・陰交部,受術者は腹部を含む下半身の陰交・太衝部の温度が上昇した.さらに,本試験において,二人の施術者は全体的に同様の施術効果・傾向を示したが,各施術者の特長や受術者への施術効果の違いを認めた.  本研究では,触手施術により,施術者と受術者にどのような変化が起きるのか,両者の関係・変化を同時・連続的に計測し,その動的な相互関係を追跡した.その結果,施術者と受術者の身体的変化は迅速であり,両者は互いに影響していることを明らかにした.
短報
症例報告
  • 鈴木 信孝, 杉本 勇人, 橋本 慎太郎, 許 鳳浩, 上馬塲 和夫
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 16 巻 1 号 p. 53-56
    発行日: 2019/03/31
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー
    ハトムギの外殻・薄皮・渋皮を含む全粒熱水抽出エキス(Coix-seed Reactive Derivatives;CRD)は,in vitroの皮膚細胞実験により,抗炎症作用と抗紫外線B波(抗UVB)作用を有することが報告されているが,ヒトにおける作用の詳細については未だ不明な点が多い.今回,CRDの経口摂取によって光老化皮膚が改善した1例を経験したので報告した.患者は,58歳男性.10年前までゴルフで手袋を着用していない右手背に日光を曝していたため,右母指に深いしわができ,手背全体にも色素沈着を認めていた.CRD含有食品(CRD 4.2 g/日)を6ヶ月間摂取し続けたところ,右手の光老化皮膚は顕著に改善した.また,顔面の色素沈着や頚部のしわも改善した.今後は,さらに症例数を増やしCRDの光老化皮膚への効果を検討する予定である.
  • 鈴木 信孝, 杉本 勇人, 橋本 慎太郎, 許 鳳浩, 上馬塲 和夫
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 16 巻 1 号 p. 57-60
    発行日: 2019/03/31
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー
    ハトムギの外殻・薄皮・渋皮を含む全粒熱水抽出エキス(Coix-seed Reactive Derivatives;CRD)摂取が有用であった両膝から下腿前面の摩擦性黒皮症の1例を経験したので報告した.患者は,58歳男性.柔道整復師という職業柄,両膝をつき衣服で皮膚が擦れることが多く,20年来,両膝蓋部から下腿前面にかけて広範囲に強い色素沈着を認めていたが,CRD含有食品(CRD 4.2g/日)を6ヶ月間摂取したところ,病変は著しく改善した.本例は,通常の業務を行っていたにも関わらず,CRD摂取により摩擦性黒皮症が軽快した例であった.今後は,同様な例についてさらに検討を加えたいと考えている.
  • 鈴木 信孝, 橋本 慎太郎, 許 鳳浩, 上馬塲 和夫
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 16 巻 1 号 p. 61-65
    発行日: 2019/03/31
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー
    ハトムギの外殻・薄皮・渋皮を含む全粒熱水抽出エキス(Coix-seed Reactive Derivatives;CRD)摂取が有用であった両手指の難治性貨幣状湿疹の1例を経験したので報告した.患者は52歳,女性.2012年3月に湿疹が多数出現し,全身に広がった.貨幣状湿疹の診断のもとにステロイド軟膏と抗ヒスタミン薬の内服を受けるも,好転しないため,発症から3年目の2015年に薬を中止した.2017年10月からCRDを1包あたり2.2 g含有する栄養補助食品を1日当たり2包摂取し始めたところ,急速に病変は改善し始め,摂取1ヶ月目には完治し,現在に至っている.本例は,発症から5年半という長期にわたって,とくに両手指に発疹と強い掻痒感が続いていたが,CRD摂取により,約1ヶ月という短期間に根治をみた例である.
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