日本補完代替医療学会誌
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最新号
日本補完代替医療学会誌
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
原著
  • 平田 真由, 服部 幸治, 長谷川 靖司
    原稿種別: 原著
    2025 年22 巻1 号 p. 1-7
    発行日: 2025/08/31
    公開日: 2025/09/12
    ジャーナル フリー
    ベージュ脂肪細胞は,ミトコンドリア中にuncoupling protein 1 (mitochondrial, proton carrier) (UCP1)を高発現し,脂肪を熱として消費する.運動による白色脂肪細胞からベージュ脂肪細胞への誘導(ベージュ化)には,骨格筋から分泌されるアイリシンが関与しており,近年,白色脂肪細胞のアイリシン受容体が同定された.本研究ではこの点に着目し,ベージュ化促進に関する検討を行った.その結果,アセロラが骨格筋のアイリシン前駆体であるfibronectin type III domain containing 5 (FNDC5)の産生を促進すること,マンゴージンジャーが脂肪細胞のアイリシン受容体サブユニットの一つであるインテグリンβ5 (ITGB5)の発現を促進することが明らかとなった.さらに,これらの食品素材を組み合わせることで,白色脂肪細胞のUCP1発現が促進することも確認された.以上より,アセロラ及びマンゴージンジャーは,アイリシンを介した白色脂肪細胞のベージュ化に効果的であり,新たな肥満対策として有益な食品素材であることが示唆された.
  • 山田 忍, 有光 興記, 武用 百子, 向 友代, 野口 理恵, 三栖 亜紀子, 園木 孝志, 林 真紀子
    原稿種別: 原著
    2025 年22 巻1 号 p. 9-17
    発行日: 2025/08/31
    公開日: 2025/09/12
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究は,クリーンルームに入院中の血液腫瘍患者に対する慈悲とマインドフルネス瞑想でのランダム化比較試験を行い,気分状態の改善効果を評価した.
    【方法】対象者9名(介入群4名、対照群5名)を選出し,介入群には20分のLKM療法(Loving-Kindness and Mindfulness Meditation)の動画を収録したタブレットを提供し,視聴させた.介入前と介入後1週間,2週間に心理検査POMS2を用い,二元配置分散分析により時間経過に伴うスコアの比較を行った.
    【結果】両群間で各因子に統計学的有意差は認められなかったが,活力-無気力(VA)因子においては,非線形変化の傾向がみられた(p=0.054).
    【結論】本パイロット研究ではLKMが血液悪性腫瘍患者の気分状態の改善に有意な影響を与えることが示されなかったが,これは症例数の不足に起因していると思われた.今後,対象者の人数を増やしてさらに研究を継続する予定である.
  • 青山 泉, 大久保 暢子, 野上 達也, 永田 栄一郎
    原稿種別: 原著
    2025 年22 巻1 号 p. 19-27
    発行日: 2025/08/31
    公開日: 2025/09/12
    ジャーナル フリー
    本研究は,神経障害性疼痛を抱える患者に対するアロマセラピーの効果を評価することを目的としている.神経障害性疼痛は慢性疼痛の一種で,特に強い疼痛を伴い,有病率は6.9%〜10%とされている.高齢者人口の増加に伴い,今後さらに増加が予想されるが,薬物療法では残存する疼痛により身体・心理的な苦痛が続いている.このため,補完代替医療としてアロマセラピーが注目されている.研究方法は,システマティックレビューおよびメタアナリシスを実施し,コクランハンドブックに基づいて4件を選定した.対象は神経障害性疼痛を持つ患者で,介入群(アロマセラピー)と対照群(標準ケア)の比較を行った.その結果,アロマセラピーを受けた患者の疼痛は疼痛評価の点数が1.69点低下し(SMD-1.69,[95% CI: -2.04, -1.34]),有意な差が認められ,疼痛強度が有意に減少した.神経障害性疼痛の合併症(疲労,しびれなど)の軽減にも効果が認められた.以上より,アロマセラピーは神経障害性疼痛の緩和に有効であり,QOL向上にも寄与することが示された.
  • 細山田 康恵, 金澤 匠, 山田 正子
    原稿種別: 原著
    2025 年22 巻1 号 p. 29-35
    発行日: 2025/08/31
    公開日: 2025/09/12
    ジャーナル フリー
    目的:肥満2型糖尿病モデルラットにカカオポリフェノール(Cacao polyphenol:CP)を摂取させた際の肝臓および腎臓組織に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.
    方法:5週齢雄ラットに高脂肪食を4週間摂取させ,Control群(n=6)とCP添加群(n=6)に分けて飼育した.肝臓脂質濃度,酸化ストレスの測定,肝臓および腎臓の組織観察を実施した.
    結果:CP群はControl群より,肝臓コレステロール濃度および酸化ストレスが有意に低下し(p<0.01, p<0.01),肝臓の脂肪滴の蓄積は抑制された.腎組織では,糸球体の構造が正常に近く,メサンギウム細胞の増加もほとんど認められなかった.
    結論:肥満2型糖尿病モデルラットにCPを摂取させた際,肝臓における脂肪蓄積および酸化ストレスを抑え,腎臓におけるメサンギウム細胞の損傷が軽減することから,肥満や糖尿病性腎症の予防に有効である可能性が示唆された.
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