日本補完代替医療学会誌
Online ISSN : 1348-7930
Print ISSN : 1348-7922
5 巻 , 2 号
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総説
  • 伊藤 壽記, 甲斐 康之, 井倉 技, 中島 清一, 西田 俊朗, 水島 桓和, 根津 理一郎
    原稿種別: 【総説】
    2008 年 5 巻 2 号 p. 85-101
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/09
    ジャーナル フリー
    現代医療に何か(現行では科学的根拠が得られていないもの)を上乗せして,患者の QOL の改善を図ろうとする“補完医療”が注目されている.その補助的手段として,生物学的療法と称する,サプリメントや機能性食品などが多用されている.これらは食に含まれる,生体制御や防禦に関する三次機能に特化したものであり,それらの生体内での機序として,消化管における粘膜免疫との関連が重要である.生体での最大の免疫系である消化管の免疫は,これまでブラックボックスであったが,自然免疫の仕組みが解明されてくるに従って,その重要性がクローズアップされてきた.
    本稿では,消化器疾患の中で,若年で発症し,再燃・緩解を繰り返し難治性で,慢性の経過をたどる炎症性腸疾患を取り上げ,粘膜免疫機構からみた補完医療の取り組みについて論じてみたい.
  • 板東 浩
    原稿種別: 【総説】
    2008 年 5 巻 2 号 p. 103-113
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/09
    ジャーナル フリー
    ヒトは石器時代から狩猟などで身体を動かし,倹約遺伝子がプラスに作用していた.しかし,飽食と運動不足の現代ではマイナス要因で,生活習慣病が増加し,運動が必要となる.運動療法の有用性はエビデンスレベル A, B, C で明記され,身体活動量と健康上メリットとは比例する.持続的運動でインスリン抵抗性が改善して内臓脂肪が減少し,筋肉量が少ない高齢者では軽度のレジスタンス運動も併用する.米国心臓学会の運動指針(2007)では,健康維持の運動は日常生活の単なる動作とは別で,強度を上げた運動が必要とした.厚生労働省の「健康づくりのための運動指針 2006」では,身体活動を運動と生活活動に大別し,23 エクササイズ/週を推奨.呼吸リハビリテーションの運動処方では frequency, intensity, time, type (FITT) や目標呼吸困難スコアを活用できる.心臓リハビリテーションは,米国医療政策研究局 (AHCPR) や本邦の合同研究班による指針が有用である.
  • 宮地 元彦
    原稿種別: 【総説】
    2008 年 5 巻 2 号 p. 115-122
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/09
    ジャーナル フリー
    2008 年 4 月から,全国の職場・自治体における,40 歳から 75 歳までの中高年者を対象とした,メタボリックシンドロームの予防・改善のための特定健診・保健指導が始まった.運動・身体活動の指導は,食事の指導とともにこの制度の重要な位置を占めるので,エビデンスに基づいた安全かつ効率的な指導が求められる.それに必要な要件を以下のようにまとめた.(1) メタボリックシンドロームの予防・改善に必要な運動・身体活動量を知ること,(2) 指導対象者の身体活動量を適切に評価できること,(3) 指導対象者の動機付けを高め,行動変容を促すこと,(4) 食事と運動の併用について十分に考慮すること,(5) 事故や傷害を防ぐための十分なリスク管理を講じること,(6) 指導に必要なライセンスを得ること.これらを通して,指導対象者が自らの意志で運動・身体活動に積極的に取り組むことが出来るように導くことが求められている.
  • 林 浩孝, 大野 智, 新井 隆成, 仲井 培雄, 加藤 佳子, 鈴木 信孝
    原稿種別: 【総説】
    2008 年 5 巻 2 号 p. 123-134
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/09
    ジャーナル フリー
    「特定保健用食品」のうち,生活習慣病の 1 つである糖尿病に関連して「血糖値が高めの方に適する」表示をした食品については,現在のところ,再許可等特定保健用食品を含め約 100 種類の商品がある.そのうちのいくつかについて,安全性・有効性について解説する.
原著
  • 寺田 尚友, 中島 優哉, 山崎 功治, 花野 貴子, 山嶋 哲盛
    原稿種別: 【原  著】
    2008 年 5 巻 2 号 p. 135-143
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/09
    ジャーナル フリー
    α-リポ酸とイチョウ葉エキス,および L-カルニチンを含有する健康食品の高次脳機能改善効果を検証するため,摂取前後比較試験を実施した.対象は物忘れ症状を有する 50 歳以上 70 歳以下の成人 31 名(男性 14 名,女性 17 名,平均年齢 57.3±5.8 歳)である.被験品の摂取前と 12 週間にわたる摂取後に日本版アーバンス神経心理テストを用いて高次脳機能評価を行なった.その結果,即時記憶(物語記憶),言語能力(絵呼称と意味流暢性),集中力(数字の復唱),および短期記憶(単語・物語・図形)の各領域において,本被験品の摂取により有意な改善効果が認められた.
  • 高柳 和江
    原稿種別: 【原  著】
    2008 年 5 巻 2 号 p. 145-152
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/09
    ジャーナル フリー
    都市部繁華街に緑陰を置いた場合に,生理的心理的身体的にどう変化するかが本研究の目的である.
    方法:健康な 20–26 歳の大学生 20 人を,秋葉原駅広場に,夏日の朝に樹木および 68 m2 の芝生を敷き詰めた緑陰環境と,コントロールとして同じ西口広場のテントに 10 人ずつを 1 時間すわらせた.介入前後に心理的身体的測定をおこなった.
    結果:緑陰群で介入後,POMS で怒り・敵意が減少した (p<.01).コントロール群で有意の差はみられなかった.ワルテッグ描画テストで緑陰群はプラスの変化または,安定していたが,コントロール群では有意にマイナス方向への変化があった.唾液コルチゾールはコントロール群は下がったが,緑陰群は有意に下がった (p<0.05).
    結論:都市構造の中での緑地は健康に好影響を及ぼすことが結論づけられた.
    この成果は国土交通省が委託し,(財)都市緑化技術開発機構が受託をして,著者が協力して行った調査研究で得られものである.
  • 岡崎 真理, 岩田 直洋, 堀内 重紀, 神内 伸也, 鈴木 史子, 飯塚 博, 日比野 康英
    原稿種別: 【原  著】
    2008 年 5 巻 2 号 p. 153-162
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/09
    ジャーナル フリー
    脳虚血では,局所における過剰の活性酸素種の産生によりアポトーシスが誘発される.本研究では,酸化ストレスによる神経障害に対する霊芝菌糸体培養培地抽出物 (WER) の保護効果について,培養細胞およびマウス脳虚血モデルを用いて検討した.
    PC12 細胞に H2O2 処理を行い,誘発される細胞死に対する WER の作用を MTT assay および TUNEL 法により評価した.また,マウスに WER (1 g/kg) を単回または 7 日間経口投与した後,低酸素脳虚血処置を行い,神経症状,脳梗塞巣体積およびアポトーシスの評価を行った.
    PC12 細胞を用いた実験において,WER は H2O2 処理後の細胞生存率を上昇させ,アポトーシス陽性細胞数を減少させた.WER を 7 日間経口投与したマウス群では,対照群と比較し,虚血後の神経症状の改善が認められ,また脳梗塞巣体積およびアポトーシス陽性細胞数が有意に減少した.これらの結果から,WER は酸化ストレスによるアポトーシスを抑制し,脳虚血障害に対して保護作用を示すことが示唆された.
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