日本補完代替医療学会誌
Online ISSN : 1348-7930
Print ISSN : 1348-7922
6 巻 , 2 号
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総説
  • 西谷 真人, 稲垣 雅
    原稿種別: 【総説】
    2009 年 6 巻 2 号 p. 45-51
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
    紅麹は,古来より中国や韓国等でお酒をはじめとする種々発酵食品に用いられ,日本においても琉球王朝時代より豆腐ように用いられており,紅麹から抽出した「紅麹色素」は「天然着色剤」として普及している.また近年,一部の紅麹菌からコレステロール低下作用を有するロバスタチン(モナコリン K)が発見された.スタチン薬は LDL-コレステロール低下剤として今や世界中で約 3000 万もの人々に使用される処方薬であるが,この天然スタチンが含まれる紅麹を用いた加工食品も利用できるようになり,食生活改善による生活習慣病の一次予防においても注目される.本稿では,紅麹の食品としての歴史,機能性食品素材としての成分とその作用メカニズム,脂質代謝改善などの臨床試験結果などを取り上げ,補完代替医療素材としての可能性や健康維持・生活習慣病の予防における有用性について紹介する.
  • 水上 尚典
    原稿種別: 【総説】
    2009 年 6 巻 2 号 p. 53-57
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
    葉酸代謝拮抗薬(トリメトプリム,トリアムテレン,抗けいれん剤等)は神経管閉鎖障害児妊娠等の危険を押し上げる.妊娠前からの葉酸サプリメント服用はこれら奇形の危険を減少させるとともに,ダウン症児妊娠を減少させる可能性がある.葉酸入りビタミン剤の長期服用は高血圧,大腸癌,乳癌の発症抑制の可能性が指摘されている.高ホモシスティン血症は血栓症,心筋梗塞,痴呆,鬱血性心不全,骨粗鬆症性骨折等の危険因子であるが,葉酸強化食品の摂取は中高年の血中ホモシスティン濃度を低下させる.したがって,葉酸サプリメント服用はこれら疾病予防に効果が期待できる.実際,高齢日本人において葉酸とビタミン B12 服用が骨折予防に有効であることが証明された.葉酸含有天然食品からの葉酸摂取は赤血球内葉酸濃度上昇に関して葉酸サプリメント服用に比し有効でないことが証明されている.葉酸状態改善のためには葉酸サプリメント服用が強く勧められる.
  • 板東 浩, 佐治 順子
    原稿種別: 【総説】
    2009 年 6 巻 2 号 p. 59-67
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
    音楽療法は広義(音楽健康法)と狭義(治療目的)に大別でき,後者では実践を通じて経時的に観察し評価を行う.頻度が高い高齢者対象のセッションでは,長期目標として,健常者には心身の諸機能低下を予防して認知症を回避し,認知症や脳血管障害者には諸機能低下を改善および維持し,重篤な病態や緩和ケアの患者には QOL の向上を目指す.評価法として,板東法では感覚,行動,ADL/QOL など 20 項目を,佐治法では積極性,持続性,協調性,情緒性,知的機能,歌唱演奏,手の操作,歩行式,身体の円滑さ,返答など 10 項目を評価する.松井は音楽療法診断表(一般用)と音楽療法評価表(老人用)をまとめ,北本(卯辰山)式,岡崎・門間式,赤星式などもある.日本音楽療法学会認定の音楽療法士が増加し,2009 年 3 月には東京で第 1 回アジア音楽療法シンポジウムも開催された.音楽療法は補完代替医療の中で他の療法との併用も試みられ,さらに重要となりつつある.
  • 西谷 真人, 赤染 陽子, 神田 智正
    原稿種別: 【総説】
    2009 年 6 巻 2 号 p. 69-74
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
    りんごポリフェノールはりんご幼果より抽出・精製されたプロシアニジンを主成分とするポリフェノールである.近年の研究により,りんごに含まれるポリフェノール類の成分解析が進むと共に,動物試験や臨床試験など数多くの検討により,消化管での膵リパーゼ阻害作用による食後中性脂肪の上昇抑制作用や,肝臓における脂肪酸合成阻害及び β 酸化の亢進作用による中性脂肪あるいは体脂肪の低減作用,さらには HMG-CoA 還元酵素阻害によるコレステロール低減作用など,生活習慣病に対する様々な有用性が示されている.さらに抗疲労効果などの新たな生理機能も見出され,非常に注目される食品素材である.
    安全性についても,りんごとしての長い食経験や反復投与試験,変異原性試験をはじめとする毒性試験,さらには臨床試験によってもその高い安全性が確認されていることに加え,アップルフェノン®として FDA の GRAS に登録承認されている.
    りんごポリフェノールは通常の食生活において継続的にかつ安全に摂取できる食品素材であり,メタボリックシンドロームをはじめとする生活習慣病の予防と改善のための補完代替医療素材として,非常に有用な機能性食品素材である.
  • I. P. LEE
    原稿種別: 【Review】
    2009 年 6 巻 2 号 p. 75-87
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
    アガリクス・ブラゼイ・ムリル(ABM:以下略してアガリクス茸)は日本では“ヒメマツタケ/カワリハラタケ”として幅広く知られており,特に中高年層において非常に人気の高いサプリメントである.アガリクス茸は伝統療法として心血管疾患や糖尿病または癌などの生活習慣病に対して用いられてきた経緯がある.以前からアガリクス茸には免疫刺激性,抗酸化性,抗変異原生,抗腫瘍性などの効能が確認されている.齧歯動物の腫瘍細胞株における抗腫瘍効果と対比してみると,アガリクス茸はヒト腫瘍細胞株に対してはわずかに弱~中程度の抗がん作用を示すにとどまったのに対して,アガリクス茸から抽出された分子量の小さい低分子画分においては,高いがん予防効果が確認されている.アガリチンの安全性問題については,Big Blue トランスジェニック F344 系ラット(遺伝子導入)を用いた試験方法(標的臓器での遺伝子突然変異誘発性の検討)で精査されており,結果アガリチンも K 社のアガリクス茸にも遺伝子突然変異誘発性はなく陰性と報告されている.さらに,アガリチンの代謝物と考えられる4-(hydroxymethyl)phenylhydrazine (HMBD) から生成される既知の DNA 付加体である,8-HMP-dGuo および 8-HMP-dAdo の形成の有無についての DNA 付加体試験も実施されたが,結果としてアガリチンおよび K 社製品を投与した Big Blue Rat の肝臓および腎臓からゲノム DNA を抽出し解析を行ったが 8-HMP-dGuo および 8-HMP-dAdo は一切検出されなかったと報告されている.これら最新の試験結果にはまったく議論の余地はない.以前おこなわれていた K 社アガリクスにおける Ames 試験が陽性であった結果についても,あくまでも偽陽性であったと推測される.したがって,最新の変異原性試験結果と共に 2 年間の長期発がん性試験の陰性結果をもってアガリチンもアガリクス茸(品質管理された検体)のいずれにおいても変異原性も発がん性も全く無い事が強く示唆されたのである.アガリクス茸摂取における,化学療法施行中のがん患者の QOL の改善をみた臨床試験においては,化学療法により免疫抑制状態にある患者の免疫刺激性の改善を示唆している.アガリクス茸摂取後,質問調査形式による 782 人の癌患者の QOL 分析結果によると,アガリクス茸の摂取によりがん患者の QOL が改善している事が報告されている.したがって,がん患者における,がん化学療法(抗がん剤)との組合せにおけるアガリクス茸摂取が相乗効果的にがん化学療法の結果を高める可能性があると推測する事は妥当であろう.従来のがん治療や成人型糖尿病へのアガリクス茸摂取における臨床効果は期待されるものがある.がん治療における補完代替医療としてアガリクス茸摂取の利点やアガリクス F500 分画の化学的がん予防効能を評価分析していく上で,さらなる臨床試験が必要である.
原著
  • 近藤 隆正, 小川 貴志子, 寺田 修, 金 奇人, 奥津 光晴, 鈴木 克彦
    原稿種別: 【原  著】
    2009 年 6 巻 2 号 p. 89-95
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
    スケート選手を対象とし,寒冷環境下での身体活動がサイトカイン応答に及ぼす影響を寒冷適応の有無から検討した.寒冷環境適応者のショートトラックスケーター,寒冷環境不適応者のインラインスケーター,それぞれ男子 10 名を被験者とし,60 分間の寒冷 (5~8℃) または常温 (20~25℃) にて安静状態を維持した後,最大酸素摂取量の 65%強度に相当する自転車エルゴメーター運動を 60 分間負荷し,常温で 120 分間安静状態維持を実施した.採血は,安静時,寒冷ないし常温下で 60 分安静後,運動負荷直後,30 分後,60 分後,120 分後の計 6 回肘静脈より行い,血漿を分離した.サイトカインの濃度は酵素免疫測定法により測定した.寒冷環境適応者が常温で運動すると IL-1ra,IL-10, IL-12p40 などのサイトカインが誘導されるが,これらの運動時のサイトカイン応答は寒冷(冷却)によって抑制できることが評価できた.
  • 上馬塲 和夫, 浦田 哲郎, 鈴木 信孝, 新井 隆成, ストロング ジェフリー・マイケル, 大野 智, 林 浩孝
    原稿種別: 【原  著】
    2009 年 6 巻 2 号 p. 97-103
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
    キウイフルーツの新鮮なジュースを凍結乾燥した食品の高齢者に対する便通促進効果と QOL に対する影響について検討した.軽度から中等度の便秘で悩む 60 歳以上の高齢者 42 名(60~84: 67±6 歳)を医師の判断のもと対象者として,文書による同意を取得した後,1 週間の対照観察期間をおいて,当該食品を 4 週間 1 日 3 回 2 カプセルずつ,計 6 カプセル/日を摂取させ,排便状態と腹部の自覚的所見,全身的な QOL について調査した.その結果,開始後 14 日目からは摂取開始前日と比較し,排便回数や便性が有意に向上し,開始後 28 日目まで持続した.QOL 調査票によっても,皮膚の状態やむくみなど手足の外見所見,腰痛や頭痛などの痛みによる QOL の低下が改善した.結論として,キウイフルーツの新鮮ジュース凍結乾燥食品が,60 歳以上の便秘で悩む高齢者において,便通を促し,腹部の不快感を改善させ,生活の質を向上させる効果があることが示された.安全性の点では,明らかな問題は認められなかった.
  • 林 浩孝, 太田 康之, 新井 隆成, 島野 康子, 高野 文英, STRONG Jeffry Michael, 榎本 俊樹, 上馬塲 和夫 ...
    2009 年 6 巻 2 号 p. 105-110
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
    ハトムギの種皮を除いた種子の部分であるヨクイニンは長年,疣贅に対する伝統的な漢方薬として利用されている.しかしながら,ハトムギの殻,薄皮,渋皮の熱水抽出物についての安全性試験に関する報告は当たらない.そこで,我々はハトムギの殻,薄皮,渋皮,種子のすべての部分を含む熱水抽出物(CRD エキス)を高用量 (2,000 mg/kg) 摂取した場合の急性毒性試験をラットを用いて行った.エキス摂取 2 週間後の体重変化,血液検査,臓器重量測定・組織病理検査,尿検査を行った結果,すべての項目において異常は認められなかった.
    なかった.
  • 伊藤 まゆ, 三樹 美夏, 林 浩孝, 新井 隆成, 鈴木 信孝, 上馬塲 和夫
    原稿種別: 【原  著】
    2009 年 6 巻 2 号 p. 111-118
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
    コラーゲン含有飲料の 1ヶ月間摂取による顔面皮膚の変化を,計測機器による指標を使って予備的に検討した.61 名の健常女性(年齢 25–68,34±8 歳)を対象とし,文書による同意を得た後,コラーゲン 5 g 飲料/日摂取群(30 名)と 10 g 飲料/日摂取群(31 名)に無作為に割り付けし,摂取前と後 1 週目と 1ヶ月目の顔面(両頬部)皮膚水分と下眼瞼の皺数を測定した.皮膚水分と皺数に関して,改善した反応例と変化がない無反応例に分類したところ, 10 g 摂取群では 5 g 摂取群より高い 5 割の反応率が得られた.反応例は無反応例より摂取前において皺数が多く皮膚水分が低いこと,皺数は 1 週間目から有意な改善をみることが示された.また本飲料が安全であることも示された.今後,皮膚の異常性状例を対象にして,コラーゲン 10 g/日を,1 週間あるいは 1 ヶ月月間投与する二重盲検試験により有効性を評価する研究の必要性が示された.
  • 西 修
    原稿種別: 【症例報告】
    2009 年 6 巻 2 号 p. 119-121
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/07
    ジャーナル フリー
    HMG-HCG 療法による排卵誘発法に抵抗性であった難治性排卵障害を有する患者に,L-カルニチン (LC) とデヒドロエピアンドロステロン (DHEA) を投与後 HMG-HCG 療法を行い,排卵,妊娠成立をみた一症例を報告する.
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