本研究は森林音の聴取と森林映像の視聴が前頭前野および自律神経活動に与える影響を明らかにすることを目的とし,近赤外分光法による前頭前野oxy-Hb濃度と心拍変動によるLnHF,LnLF/HF,一般感情尺度の変化から検討した.対象は青年期の健康な男女21名であり,すべての被験者に森林音,森林映像,人工映像の3条件をランダムな順序で曝露させた.条件間比較では,森林音曝露中の前頭前野oxy-Hb濃度は,森林映像,人工映像と比較して有意な低下がみられた
(
p=0.004,
p=0.005).また,森林音の曝露中は曝露後に比べて有意な低下がみられた(
p=0.000).各条件内および条件間のLnHF,LnLF/HFに有意な差はみられなかった.一般感情尺度では,森林音と森林映像の曝露後は前に比べ,安静状態の感情に,森林映像の曝露後は前に比べ,否定的感情に有意な改善がみられた.以上より,森林音と森林映像は主観的な安静状態の感情を高め,森林音では前頭前野活動を鎮静化させる可能性があることが示唆された.
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