Journal of Computer Chemistry, Japan
Online ISSN : 1347-3824
Print ISSN : 1347-1767
ISSN-L : 1347-1767
1 巻 , 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
研究論文
  • 網崎 孝志, 豊田 新次郎, 宮川 博夫, 北村 一泰
    原稿種別: 研究論文
    2002 年 1 巻 3 号 p. 73-82
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/05/02
    ジャーナル フリー
    タンパク質などの生体分子系の分子動力学シミュレーションにおいては, 静電相互作用などの遠距離相互作用の求値に莫大な計算時間が費される. 我々は, 最近, この計算を高速化するための専用計算機 MD-Engine II を開発した. この計算機は, 従来のものとは異なり, 二体相互作用計算のための高速アルゴリズムとの併用を前提に設計されている. そのような併用を効率よく行なうためには, 専用計算機側のハードウェアのみならず, それを制御するためのホスト計算機上のソフトウェアにおいても特別な機構が必要である. 本論文では, そのような目的で開発した二つのアルゴリズムについて報告する. ひとつは, セルリスト管理法についてのものであり, 効率のよい併用を実現するための基礎となるアルゴリズムである. そこでは, ホスト-専用計算機間の通信を低減するために, 三次元巡回バッファを利用した. もうひとつは, 専用計算機上のプロセッサへのタスク割り当てに関するもので, 再帰二分法に基づく静的負荷分散アルゴリズムを開発した. 本論文では, これらのアルゴリズムを紹介し, また, その有効性を検証するために行なった数値実験の結果を報告する.
  • 上田 一義, 駒井 太郎, 優 乙石, 中山 春夫
    原稿種別: 研究論文
    2002 年 1 巻 3 号 p. 83-88
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/05/02
    ジャーナル フリー
    高温・高圧における水の状態である超臨界水は、さまざまな物質を溶解する性質や加水分解の作用に優れる。しかし、超臨界水の構造等、基礎的諸性質は、まだ十分に解明されてはいない。本研究では、臨界点近傍から超臨界状態に至る広い範囲の超臨界水の構造を、分子動力学シミュレーションを用いて検討した。分子動力学計算はKarplusらの開発したCHARMM25を用いた。水分子モデルには古典的な非分極形のtips3pモデルを用いた。水分子512個を立方体中に配置した系を周期境界条件の下で温度・圧力一定(NPT)のシミュレーションを行った。構造解析の方法として部分動径分布解析とブロック解析を行った。ブロック解析では系を縦・横・高さについてそれぞれ5等分して125個の小さい立方体(bin)に区分し、各bin中に存在する水分子数を調べた。その結果、気液平衡線の延長線上に、西川らの見出した超臨界水の密度揺らぎの極大が見られ、揺らぎは高温・高圧になるほど均一化していく傾向を示した。このような密度揺らぎは分解反応速度や溶解性などの物性と関連していることが示唆されており、今後これらの関係解明および反応最適化への利用の試みなどが期待される。
  • 上田 洋輔, 山田 祐理, 片岡 洋右
    原稿種別: 研究論文
    2002 年 1 巻 3 号 p. 89-96
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/05/02
    ジャーナル フリー
    分子動力学法を用いて、8つの分子で構成されたアルゴンクラスターの、凝集相から気相への相転移を調べた。NTPアンサンブルでキャリアガスを用いてシミュレーションを行った場合、キャリアガスの個数と系全体の圧力の設定条件により計算結果が違ってくることが知られている。したがって相転移を観測するのに最適と思われる設定条件を探ってみた。そして最適と思われる設定条件下で分子動力学シミュレーションを行い、さまざまな熱力学量を求めた。さらに分子動力学法から得られた結果が妥当であるか調べるために、モンテカルロ法を用いてシミュレーションを行い、二種類の方法により求められた結果を比較してみた。
  • 桶矢 成智, 若松 寛, 柴原 隆志, 山門 英雄, 西本 吉助
    原稿種別: 研究論文
    2002 年 1 巻 3 号 p. 97-102
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/05/02
    ジャーナル フリー
    5配位錯アニオン、 [PtX(hfac)2]- (X = Cl, Br, I, hfac = hexafluoroacetylacetonate)の、溶液中における分子内配位サイト交換に関するab initio計算を行なった。まず5配位構造の最適化を、考えられる3つの構造について行なったところ、X線結晶解析されている四角錐型構造が最も安定で、計算値は構造データをよく再現することがわかった(Tables 1, 2)。次に分子内配位サイト交換運動(Scheme 1)で考えられる3つの経路の各三角両錐型遷移状体のエネルギーを計算した。このうち、頂点位置のO-ドナーがXに対してシスあるいはトランス位のO-ドナーを置換するPath AとBとが実際に起こると予想され、Path Aの速度は、Cl > Br > I、Path Bの速度は、I > Br > Clとなり、温度変化NMRスペクトルの結果から予測された順に一致した(Table 3)。前者はハライド配位子のシス効果、後者はトランス効果の順を表すものであり、シス効果の順がトランス効果のそれと逆であることは大変興味深い。
  • 田島 澄恵, 長嶋 雲兵, 細矢 治夫
    原稿種別: 研究論文
    2002 年 1 巻 3 号 p. 103-114
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/05/02
    ジャーナル フリー
    新規物質材料の開発を行う実験化学者が、未知の物質の様々な物性を広範囲な角度から評価し、開発目的にあった物質の設計指針を簡単かつ便利に得るための材料設計支援システムとして、Summy(Solutions Utilities for Material Mining by Yourself)の設計と実装を開始した。
    Summyは、物質の特性値を実験化学者がすばやく得ることを可能とするため、広域分散並列処理を可能とするネットワーク数値情報ライブラリNinfを基盤技術として、物理的に離れて設置されている各種データベースや高性能な計算機といった情報資源を実験化学者の活動の場であるベンチサイドからアクセス可能とする。Summyは、分子軌道計算から熱力学的物性の推算まで一貫した操作性を持つため、材料設計者はそれぞれの研究レベルにあった計算機利用が可能となる。
    本稿では、Summyの設計方針、ユーザインターフェイス、ライブラリ設計・実装に関してその概要を述べる。また、いくつかの計算例を示す。
  • 安藤 格士, 目黒 俊幸, 山登 一郎
    原稿種別: 研究論文
    2002 年 1 巻 3 号 p. 115-122
    発行日: 2002年
    公開日: 2003/05/02
    ジャーナル フリー
    タンパク質のBrownian dynamics シミュレーションアルゴリズムを開発した。タンパク質はAMBER91の力場を持つ、ユナイテッド・アトムモデルを用いた。溶媒の効果は距離依存型誘電率/露出表面積モデルで表し計算に組み込んだ。ββα構造を保持する28残基のペプチドをモデルとし(Figure 1)、Brownian dynamics の計算効率およびペプチドの構造変化とダイナミックスの結果を、水分子を顕わに扱った分子動力学法による結果と比較した。Brownian dynamicsシミュレーションは分子動力学計算に比べ53倍と、非常に高速な計算が可能であった(Table 1)。また、5ナノ秒のシミュレーションの間、ペプチドの立体構造は安定に保持されており(Figures 2, 3)、真空中におけるシミュレーションで頻繁に見られるアーチファクトは軽減されていた(Figure 4)。これらの結果は、本Brownian dynamicsアルゴリズムは長時間の計算を必要とするタンパク質折り畳みの研究に広く利用可能であることを示すものである。
feedback
Top