HeH
+は異核2原子分子の最も簡単なモデルであり,その結合形成はHe
+ + H → HeH
+ で表せる共有結合型とエネルギー的に安定なHe + H
+ → HeH
+の配位結合型がある.本ノートでは両者の分子軌道エネルギー準位図を示し,その違いについて説明する.用いた計算方法はHF/6-311++G**である.共有結合型の分子軌道エネルギー準位図では,HeH
+の1σ軌道の軌道エネルギー(-1.6288a.u.)はHの1s (-0.4998a.u.)より低く,安定化しているがHe
+の1s (-1.9983a.u.)より高く,不安定化している.1σ軌道はおもにHeの1s軌道で構成されており,HeH
+のHeとHの形式電荷はそれぞれ約0.3および0.7である.このようにHの電子がHe
+側に寄っているため,He
+の1s軌道から見ると相対的に電子間反発で不安定化するように見える.他方配位結合型の分子軌道エネルギー準位図では,HeH
+の1σ軌道の軌道エネルギーはH
+の1s (-0.4998a.u.)およびHeの1s (-0.9176a.u.)より低く,安定化している.Heの電子がH
+側に寄るため,Heの1s軌道の2つの電子の反発が緩和され安定化する.
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