Journal of Computer Chemistry, Japan
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11 巻, 1 号
Special Issue of the 10th Anniversary 2
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巻頭言
解説
  • 久保 百司
    2012 年 11 巻 1 号 p. A3-A9
    発行日: 2012/04/28
    公開日: 2012/05/10
    [早期公開] 公開日: 2012/03/03
    ジャーナル オープンアクセス
    近年のナノテクノロジーの発展により,ナノスケールで起こる「化学反応」がマクロスケールでの機械特性•性能に大きく影響を与えるようになり,重厚長大な機械システムといえども「化学反応」の電子レベル制御が必須となっている.特に,機械システムは「動き」によって初めて機能が発現することから,「化学反応」と「摩擦,衝撃,応力,流体,電位,伝熱」などが複雑に絡み合ったマルチフィジックス現象の電子レベルでの理解が重要課題である.そこで著者らは,機械工学分野に量子化学を導入するという異分野融合の発想に至り,量子分子動力学法に基づくマルチフィジックスシミュレータの開発に成功した.さらに多様な低炭素化機械システムへの応用を実現した.
総合論文
研究論文
  • Kenji MISHIMA, Koichi YAMASHITA
    2012 年 11 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 2012/04/28
    公開日: 2012/05/10
    [早期公開] 公開日: 2012/02/20
    ジャーナル オープンアクセス
    In this paper, we extend our theoretical work on the pure state entanglement of bipartite or two-mode physical and chemical systems interacting with general static entangling interactions and external electromagnetic fields to include the mixed state entanglement. It is assumed that the Markov approximation is valid in our model system. Based on the partitioning of the entangling interaction matrix, we investigate the effect of the entangling interaction matrix elements and the relaxation constants on the decoherence of the Bell states. Our calculations indicate that only a few elements of the entangling interaction matrix and relaxation constants are dominant for the decoherence dynamics of the Bell states.
  • 岡田 剛嗣, 金子 弘昌, 船津 公人
    2012 年 11 巻 1 号 p. 24-30
    発行日: 2012/04/28
    公開日: 2012/05/10
    [早期公開] 公開日: 2012/04/12
    ジャーナル オープンアクセス
    化学プラントにおいて測定困難なプロセス変数や製品の品質を推定する手法として,ソフトセンサーが広く用いられている.このソフトセンサーを用いることで測定困難な変数yをオンラインで推定することが可能となる.しかしソフトセンサーには,化学プラントの運転状況や触媒性能の変化によってプロセスの特徴が変化し,予測精度が劣化してしまうという問題がある.このソフトセンサーの劣化に対応するため,直近のデータセットで予測モデルを更新することで,プラントの運転状況の変化に対応することが可能なmoving window (MW) モデルを用いることが考えられる.しかし,MWモデルではモデル更新ごとに外れ値の処理や回帰モデルの検証や解釈を行う労力やコストが必要となる.そこで本研究では,そのような労力やコストの削減と予測精度の向上を目指して,モデルを更新することなく時間的に一定に起こる劣化に対応可能なtime difference (TD) モデルとMWモデルをプラントの運転状況を判断しながら使い分けるソフトセンサー識別モデルを提案する.提案したソフトセンサー識別モデルは統計的判別手法であるsupport vector machineまたは複数の時間差分間隔を用いてTDモデルから計算された予測値の標準偏差 (EPM) を指標とする手法を用いて構築される.この提案手法を実際のプラントデータに対して用いた結果, TDモデルからMWモデルへ8.12%の割合で使用することで従来手法より低い更新頻度で高い予測精度を示すことを確認した.
  • 金子 弘昌, 船津 公人
    2012 年 11 巻 1 号 p. 31-42
    発行日: 2012/04/28
    公開日: 2012/05/10
    [早期公開] 公開日: 2012/03/03
    ジャーナル オープンアクセス
    化学プラントにおいては,測定困難なプロセス変数を推定する手法として,ソフトセンサーが広く用いられている.ソフトセンサーとして,プラントにおいてオンラインで測定されている複数のプロセス変数 (説明変数) からある目的変数を推定するモデルが構築されているが,すべての説明変数が目的変数に影響を及ぼすとは限らないため,変数選択を行う試みがなされている.一方,説明変数がある時間遅れを伴って目的変数に寄与していると考えられるが,その時間遅れを正確に求めることは困難である.そこで本研究では,最適な説明変数とその動特性の選択を行う手法を開発すること目的とした.そして我々はソフトセンサーで用いるプロセスデータと同様に,変数間の相関が強いスペクトルデータを扱う分野における波長領域選択手法に着目した.これらの波長領域選択手法をプロセスデータへ応用することで新規なソフトセンサー手法を開発し,高い予測性能と解釈の容易さを同時に達成するモデルの構築を目指した.実際の蒸留塔で測定されたデータを用いて従来手法とモデリング結果や予測結果を比較することで,本手法により少ない変数領域で妥当なモデルを構築可能であることを確認した (Table 2, 3, Figure 11).
  • 櫻沢 繁, 坂田 花, 國田 樹
    2012 年 11 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 2012/04/28
    公開日: 2012/05/10
    [早期公開] 公開日: 2012/03/17
    ジャーナル オープンアクセス
    筋収縮における筋タンパク質の運動を分子レベルで観察して得られる観察像には,筋タンパク質分子が係わる化学反応に関する情報が含まれている.その化学反応に伴う運動と熱ゆらぎに伴う運動とを区別することができれば,化学反応の発生位置を可視化する事が可能となる.そこで我々は,筋タンパク質分子による化学反応の可視化を目指し,滑り運動再構成系のアクチン繊維の運動の中から,熱ゆらぎとは区別される構造化された運動を抽出する事を試みた.再構成系で観察されたアクチン繊維の顕微鏡像に画像解析をして得られるアクチン繊維の骨格データ列から,相関解析によって局所的に伝播している屈曲を抽出して屈曲伝播のベクトルとして可視化した.この手法によって,アクチン繊維の後端方向から先端方向に向かう屈曲の伝播距離と伝播速度がATP濃度の増大に伴って微増する傾向を捕えることができた.他方,後端に向かう屈曲の伝播距離は,ATP濃度に依存せずに一定であった.すなわち,これらの屈曲はATP加水分解反応と関係があり,特に屈曲の生成部位にはアクチン繊維における化学反応の可視化に向けた有用な情報が含まれていると考えることができる.
技術論文
  • 青山 智夫, 神部 順子, 中山 榮子, 長嶋 雲兵
    2012 年 11 巻 1 号 p. 49-77
    発行日: 2012/04/28
    公開日: 2012/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
    2011年3月12日以降に東京電力福島第1原子力発電所から南,北西方向に拡散した放射性物質の4カ月間にわたる変化を次のようにまとめた.空間線量率,環境資料等を文部科学省,地方自治体等が公表した資料から抽出し,5月15日から7月29日間の福島県,関東各県の主要都市の空間線量率が自然界で本来の物理的半減期と異なる速度で半減することを表す指標(滞留半減期)を計算した.また福島県相馬郡飯舘村八木沢地区の土壌,雑草,陸水の放射線強度の時間変化を示して議論した.さらに東京と福島市の下水汚泥の放射線強度の問題点を示した.これにより放射性物質と大気に関する知見として,放射性物質は浮遊粒子状物質(Suspended Particulate Matter, SPM)として移動するが,それは環境省大気汚染物質広域監視システムでは検出しにくいタイプのSPMであること,そして放射性SPM分布には複雑な構造が存在することを示した.またその構造はγ線のエネルギー分布観測で識別できること,加えて放射性SPMの移動には大気境界面が関与していることを示した.さらに沈降した放射性物質と降雨との関連,空間線量率の微細動現象の周期性を示し,同現象と気温の相関を示した.
ノート
  • 八木 徹, 神部 順子, 青山 智夫, 長嶋 雲兵
    2012 年 11 巻 1 号 p. 78-80
    発行日: 2012/04/28
    公開日: 2012/05/10
    [早期公開] 公開日: 2012/04/20
    ジャーナル オープンアクセス
    太陽光の大気の散乱による空の色の変化を見るために,ペットボトルと傘袋に満たした水にワックスを懸濁させ,それに白色LEDの光を当て,白色光の散乱をみる実験を行った.その写真をデジタルカメラで撮影し,デジタル画像解析を行ったところ,赤R,緑G,青B成分のうち,Rは光源から離れるにつれ,緩やかに減衰し遠距離まで到達でき,他方Bは急速に減衰し,GはRとBの中間の減衰傾向を持つことが示された.簡単な道具で定性的に太陽光による空の色の変化をデモンストレーションできた.
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