Journal of Computer Chemistry, Japan
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18 巻 , 1 号
特集号:「触媒・電池の元素戦略研究:理論計算化学からのアプローチ」
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
巻頭言
総合論文
総説
  • 高木 望, 福田 良一, 江原 正博, 榊 茂好
    2019 年 18 巻 1 号 p. 38-48
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/20
    [早期公開] 公開日: 2019/01/12
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    複数の金属元素からなる複合金属クラスターや微粒子は,貴金属減量触媒や卑金属触媒の候補として興味がもたれ,自動車排気ガス浄化触媒,燃料電池電極触媒などの実験分野で活発に研究がおこなわれている.新規な触媒の効率的な設計のためには,電子状態理論計算による複合金属クラスターの電子状態と安定構造, 分子吸着特性, 反応性の相関に対する知見が不可欠である.最近,銅とVIII族からXI族までの金属の複合クラスター(Cu32M6; M = Ru, Rh, Pd, Ag, Os, Ir, Pt, Au) ,および白金とVIII,IX族金属との複合クラスター(Pt42M13; M = Ru, Rh, Os, Ir)に関して統一的な電子状態理論研究がおこなわれ,シェルからコアへの電荷移動がコアシェル型構造の安定性を決める一つの重要な因子であることが報告された.本総説では,それらのコアシェル型構造の安定性と電子状態,安定性を支配する因子に関する議論をまとめて紹介する.

  • 松井 正冬, 榊 茂好
    2019 年 18 巻 1 号 p. 49-63
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/20
    [早期公開] 公開日: 2019/02/14
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    担体表面上に金属微粒子が高分散した担持金属触媒において,金属微粒子と担体表面との間の金属–表面相互作用は,金属微粒子を担体表面上に安定に分散担持するとともに,金属と表面間の電荷移動などの相互作用により電子状態を変化させ,触媒活性に重要な影響を及ぼす.このような金属微粒子と担体表面との界面における電子状態の関与する相互作用を,実験の測定のみから解明することは困難であり,その本質の理解・予測のためには理論計算による検討が有用である.しかし,従来のスラブモデルを用いた平面波DFT法には,軌道間相互作用に基づく解析手法が乏しい,また,高精度電子状態計算の実行がコスト的に困難,という問題がある.このような問題を解決するために我々は,「射影状態密度を用いた軌道–バンド間相互作用解析手法」と「周期的静電ポテンシャルへの埋め込みクラスターモデル」の開発を行ってきた.本総説では,これらの手法の概要を述べるとともに,Rh2/AlPO4,Rh2/Al2O3への適用例を紹介する.

研究論文
  • 近藤 有輔, 高原 里奈, 毛利 広野, 高木 牧人, 前田 理, 岩佐 豪, 武次 徹也
    2019 年 18 巻 1 号 p. 64-69
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/20
    [早期公開] 公開日: 2019/02/07
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    原子クラスターは自由度が高いために多くの構造異性体を持つ.通常の理論研究では,その最安定構造の探索と続く電子物性解析が主であったが,近年の理論化学的手法の発展により,安定構造間の異性化反応や,異性体を含めた触媒活性の研究が可能になってきた.本研究では,金,銀,銅のクラスターを対象として安定構造および異性化反応経路,およびNO解離の触媒反応経路の探索を行いその比較を行った.異性化反応の計算からは,金と銀に比べると銅は異性化反応の障壁が高く,これはバルクのモース硬度と同様の傾向を示していた.NO解離反応の触媒作用に関しては,金と銀は障壁が高い一方で,銅は障壁が低く,安価で豊富な元素による触媒の可能性があることが分かった.

  • 平井 貴裕, 大越 昌樹, 石川 敦之, 中井 浩巳
    2019 年 18 巻 1 号 p. 70-77
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/20
    [早期公開] 公開日: 2019/01/12
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    三元触媒による自動車排ガス浄化反応において,NOxの還元反応の活性や選択性は反応条件に敏感なことが知られている.この反応は,低温あるいは高温条件下,または高O2分圧下で活性が低下する.本研究では,Rh(111)表面におけるNO-CO-O2モデル反応系に対して,密度汎関数理論に基づいて反応速度を解析した.特に,吸着子の表面被覆率を考慮することで,固気平衡に対する温度および圧力の依存性をあらわに取り込んだ.NO還元反応の転化率が温度に対して最大値をとること,温度の上昇に伴ってNO還元反応のメカニズムがN + NO再結合からN + N再結合に変化することを見出した.吸着子の表面被覆率に対する詳細な解析から,N原子の被覆率がNO還元反応の活性および選択性に支配的な因子であることを見出した.

  • 小鷹 浩毅, 籾田 浩義, 喜多條 鮎子, 岡田 重人, 小口 多美夫
    2019 年 18 巻 1 号 p. 78-83
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/20
    [早期公開] 公開日: 2019/02/09
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    スズ化合物は安価かつ大きな理論容量が期待されることから,Naイオン二次電池の負極材料候補として研究される物質の一つである.本研究では,Naイオン二次電池の負極材料となりうるコンバージョン系負極材料として硫化スズに着目し,その電池特性を第一原理計算を用いて調べた.負極材料とキャリアであるNaが反応した場合に生成すると予想されるNa-Sn-S系化合物を計算し,生成エネルギー解析に基づいて評価した3元系相図から充放電反応過程の生成物を明らかにした.計算から得た充放電反応式をもとに電圧容量曲線を作成し,Na / SnSハーフセル実験にて測定された充放電曲線との比較を行ったところ,実験結果をよく再現する結果を得た.さらに,充放電反応過程の生成物を特定するために,硫黄 K端のX線吸収スペクトルを計算し,実測結果と比較した.放電時にNa2S由来のスペクトル形状変化が現れ,それが充電時に再びSnS由来のスペクトル形状に戻ることを確認した.

  • Shunsuke KURAHASHI, Saeid ARABNEJAD, Hiroshi USHIYAMA, Koichi YAMASHIT ...
    2019 年 18 巻 1 号 p. 84-94
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/20
    [早期公開] 公開日: 2019/02/07
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    This article presents a density functional theory (DFT) study that explores the chemical interactions and mechanisms in Li/Na-MXene systems with the aim of improving the performance of rechargeable batteries. Experimental studies indicate the presence of chemical and physical adsorption mechanisms in these systems. To understand the interaction mechanisms in the charging/discharging process, we investigated the ion intercalation/adsorption process and the induced chemical shielding. Different possible surface terminations have been investigated to determine which type of interaction is more likely to exist at the interlayer surfaces. The DFT results obtained in this study suggested the use of various methods, such as surface modification and expansion of the interlayer distance, to enhance the energy storage performance; nuclear magnetic resonance measurements can be used to check whether the ideal surface modifications have been experimentally achieved.

  • Ryoichi FUKUDA
    2019 年 18 巻 1 号 p. 95-101
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/20
    [早期公開] 公開日: 2018/12/31
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    Both rhodium and copper show a catalytic activity for nitric oxide (NO) reduction; however, the reaction mechanisms can be different. Herein, we elucidate the difference in the NO reduction mechanisms between Rh and Cu clusters regarding the electronic structures using DFT computations and small cluster models involving four metal atoms. The computational results show that the dissociative adsorption proceeds on the Rh cluster with the reaction barrier of 33 kcal mol−1. The calculated heat of the reaction is almost zero. On the Cu cluster, the calculated reaction barrier reaches to 78 kcal mol−1 indicating that the dissociative adsorption hardly occurs. Instead of the dissociative adsorption, dimerization of NO initiates the catalytic NO reduction on Cu cluster. The calculated energy barrier for the dimerization is 8 kcal mol−1. The adsorbed NO dimer has a similar stability to co-adsorbed two NO molecules. In contrast, the dimerization hardly occurs on the Rh cluster; the reaction pathway is remarkably endothermic, and a stable adsorbed product is not found. The adsorption structures of NO can explain such differences. On Cu cluster, NO takes bent-nitrosyl conformation that acts as an electron acceptor. On Rh cluster, NO acts as an electron donor having linear-nitrosyl conformation.

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