Journal of Computer Chemistry, Japan
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3 巻, 2 号
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研究論文
  • 川原 俊一, 内丸 忠文
    2004 年 3 巻 2 号 p. 41-48
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/07/13
    ジャーナル フリー
    複数の水素結合形成時、隣り合った水素結合部位間に働く二次的相互作用をフッ酸二量体、三量体をモデルとして用い、ab initio 分子軌道法および密度汎関数法により考察した。二つの水素結合サイト間の二次的相互作用を考えた場合、水素結合の方向が揃っているDD-AA 型錯体(Figure 1 I)で形成される、水素結合供与体(D)-受容体(A)型の二次的相互作用により、水素結合錯体の安定性は25-35%増加する。一方、水素結合の方向が揃っていないDA-AD 型錯体(Figure 1 II)で形成される、二種類の二次的相互作用の内、D-D型二次的相互作用の影響は他の二次的相互作用よりも小さく、5-15%増加する。D-D 型二次的相互作用で水素結合錯体の安定性が増加するというのはJorgensen らによるモデルの説明と一致しないが、これは、本文Figure 5 に示す三次的相互作用の影響と考えられる。一方、A-A型二次的相互作用により水素結合錯体の安定性は10-20%減少する(本文Table 3 参照)。
    上記のモデルによる結果を基にformamide の4つ(水素結合供与部位、水素結合受容部位ともに2つずつ)の水素結合部位の水素結合能の違いをほぼ説明する事ができた。(本文Table 4 参照)。
  • 藤島 悟志, 高橋 由雅
    2004 年 3 巻 2 号 p. 49-58
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/07/13
    ジャーナル フリー
    本研究では,筆者らが先に提案したトポロジカルフラグメントスペクトル(Topological Fragment Spectra, TFS)に対し,生成されたスペクトルの各ピークに対応するフラグメント同定のためのシステムを開発した.本システムでは,専用の化学構造エディタを用いて作画入力した化学構造に対し,TFSの自動生成を行うとともに,スペクトル表示画面上で任意のピークを選択することによって対応する構造フラグメントの同定・表示を可能とした.また,化学構造データマイニングへの応用をねらいとし,複数の構造データを対象としたTFSの合成スペクトルの生成機能も合わせて実装し,その任意のピークに対応する構造フラグメントの同定も可能とした.システム実行例とともに主な機能とピーク同定のアルゴリズムの詳細を述べる.
  • ALIKHANIDI Sokratis, 高橋 由雅
    2004 年 3 巻 2 号 p. 59-70
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/07/13
    ジャーナル フリー
    本研究では420種の農薬の土壌中での半減期(half-life, HL)データを収集し構造活性相関を行った。解析に際しては結果の不確実性等を考慮し、これらデータを3つのクラス(HL(30日をクラス1、30日<HL(100日をクラス2、100日<HLをクラス3)に分けて用いた。315化合物を訓練集合とし、31種の構造記述子を用いて構造‐生分解性相関のモデル化を行った。その結果272化合物(86.3%)の活性クラスを正しく予測できた。一方、38化合物は隣接クラスへの誤分類であり,非隣接クラスへの誤分類は5化合物であった。一方、予測集合105化合物に対しては82化合物(78.1%)が正しく予測され、非隣接への誤分類は3化合物であった。また、得られたモデルをもとに生分解性予測システムEKeeperを作成した。
  • 城石 英伸, 岡田 達弘
    2004 年 3 巻 2 号 p. 71-76
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/07/13
    ジャーナル フリー
    連続自動測定のためのマクロ言語を装備したオープンソースの電気化学測定システム(ElectroCHemicalANalyzer, ECHAN)を作成した。この測定システムは,サイクリックボルタモグラム,回転リング-ディスク電極測定,ポテンシャルステップ測定ならびに定電位での電流値の回転数依存性を自動的に連続して測定することができる。データベース的機能として測定データのキーワード・測定条件検索を装備した。また,データ演算機能としてFFT(高速フーリエ変換)によるローパスフィルタ,単純移動平均とSavitzky-Golay法による平滑化,測定データ(トラック)間の演算を備える。更に,データ解析機能として,Koutecky-Levich解析,Levich解析,酸素還元反応における反応電子数解析,Cottrell式による解析,Coulomb数計算,Tafel解析機能を備える。
    また,データサンプリング部はA/Dボードベースであり,従来のレコーダーベースの電気化学測定装置と容易に組み合わせることができるほか,オープンソースであるため,任意の装置にあわせてユーザーが自由にプログラムを書き換えることができる。このプログラムはhttp://www.vector.co.jp/vpack/browse/person/an034990.htmlにて公開する。
技術論文
  • 荒川 正幹, 船津 公人
    2004 年 3 巻 2 号 p. 77-84
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/07/13
    ジャーナル フリー
    近年のコンピュータの進歩にともない、化学の分野においては日々多くの数値データが蓄積されている。そして、これらのデータから効率的に意味のある知識を抽出するために、多くのケモメトリックス手法が開発、提案されている。通常これらのデータは多次元/多変量であり、従来の統計ソフトウェアでは扱うのが困難であった。そこで、本研究ではこれらのデータを直接扱うことを目的とした、多次元データモデリングソフトウェアの開発を行った。本ソフトウェアを用いることにより、多次元の数値データを用いた解析が可能となる。ユーザは散布図、棒グラフ、折れ線グラフなどの様々なグラフを描くことによって、データの構造を視覚的に捉えることができる。また、Multi-way PLS法やKohonenニューラルネットワークといったモデリング手法を用いて、より詳細な解析を行うことが可能である。
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