Journal of Computer Chemistry, Japan
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6 巻 , 5 号
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研究論文
  • 金 完起, 伊藤 隆宏, 山登 一郎, 安藤 格士
    2007 年 6 巻 5 号 p. 253-262
    発行日: 2007/12/15
    公開日: 2007/12/28
    ジャーナル フリー
    ブラウン動力学(Brownian Dynamics;BD)法は溶媒を明示的に扱わないため計算を高速化することができる。従来のBD法は水環境でのタンパク質シミュレーションを対象にしていたため、膜タンパク質には適用できなかった。本研究では膜環境をも非明示的に再現することによってBD法を膜タンパク質のシミュレーションに適用できるように拡張した。αヘリックス構造のポリアラニンペプチドやパピロマーウイルス由来のE5タンパク質、蜂毒のメリチンをモデルとしてシミュレーションした結果、疎水性であるポリアラニンとE5膜タンパク質は膜中で安定に存在した。また、両親媒性であるメリチンペプチドは膜表面に安定に結合していた。これらの結果から、本膜モデルを用いたBD法は膜タンパク質のシミュレーションに有効であると考えられる。
  • 青山 智夫, 神部 順子, 長嶋 雲兵, 梅野 英典
    2007 年 6 巻 5 号 p. 263-274
    発行日: 2007/12/15
    公開日: 2007/12/28
    ジャーナル フリー
    階層型神経回路網は因果関係が不明な現象の多変量解析に用いられる.主な用途は薬理活性解析,環境問題解析などである.しかし,それらには欠測問題が存在する.多変量解析を行う場合、データの欠測は単に欠測を含む説明変数の削除による説明変数の減少に止まらず,複数の説明変数の中の一変数の部分的欠測がそのデータの組を棄却することで、値が存在する他の説明変数の該当部分を使用不可にし、情報の減少を引き起こす.本論文では,欠測率約50%までの欠測部を補完し多変量解析を可能にする神経回路網を用いた新手法CQSARを提案した.
    CQSAR処理の第1段は欠測部を各説明変数,対象現象の観測値を独立に補完することである.補完法の選択は観測数に依存し,観測値の分布と不連続点の有無に関係する.それぞれの状況に応じた可変絶対値関数法,過去の測定データを関数の離散表現としてパラメータを付加した観測ベクトル補完法を提案した.さらに神経回路網と等差数列を使う補完法を示し,観測数7以上での補完値の妥当性と,11点以上では偏微分値も求められることを数値実験で示した.
    CQSAR処理の第2段は完全化したデータの神経回路網QSARである.第一段の補完誤差がQSAR結果に与える影響も考察した.QSAR用の神経回路網学習ではsimulated annealing操作が必要である.一般的なback propagation学習よりもreconstruction learningが推奨できる.Reconstruction learningのニューロン間結合強度消去操作の複数表現を示した.第1,第2手段を通しての欠測補完率は最大50%であった.
  • 土屋 恭平, 寺前 裕之, 渡邊 寿雄, 石元 孝佳, 長嶋 雲兵
    2007 年 6 巻 5 号 p. 275-282
    発行日: 2007/12/15
    公開日: 2007/12/28
    ジャーナル フリー
    タンパク質の折れ畳み過程や構造をシミュレーションする手法である分子動力学法をより効率よく行うために生体分子の分子動力学シミュレーションプログラム:PEACHに高次元アルゴリズム(HA: Hamiltonian Algorithm)を組み込み、従来の分子動力学法との差異を比較検討した。Leu-EnkephalinとMet-Enkephalinの二種類のタンパク質を計算対象とした。HAを用いると従来法のエネルギー分布よりも低いエネルギー値を多く取ることが観測され、探索空間が広がっている事が判った。
  • 徳永 大輔, 下茂 徹朗, 橋本 浩晃, 大戸 朋子, 染川 賢一
    2007 年 6 巻 5 号 p. 283-294
    発行日: 2007/12/15
    公開日: 2007/12/28
    ジャーナル フリー
    共役ジエノン環系の2-ピリドン (1) が示す、フロンティア分子軌道(FMO)法で判断できにくい多様な光付加環化反応性(励起種、ぺリ、位置、配向、立体選択性等)の原因を、主にMOPAC2002-PM5法を用いた全反応過程の遷移状態(TS1、TS2、TS3等)解析シミュレーションにより明らかにした。
    直接光照射による励起一重項 1sからのanti-3,6-ht(head-to-tail)[4+4]二量体 (3) の生成は、FMOでは説明できない。この反応は励起二量体(Excimer)を経由し、第一遷移状態(TS1)のエネルギーが選択性を支配しており、その構造(r3-6=2.14Åなど)は四中心協奏反応的と推定された。静電相互作用と軌道相互作用の競合が示唆される。1sとアクリル酸エステル (2) などとの光交叉付加の主付加物(endo-3,4-ht[2+2]付加体:4) などの生成も、励起錯体(Exciplex)を経由し、TS1エネルギー支配で、四中心協奏反応的である。新規な付加による八員環アゾシノン体 (5) の生成では、励起ビラジカル関与の過程(TS4)が示唆された。光増感反応で生じる 1の三重項 1t2などとの主付加物(exo-5,6-hh(head-to-head)[2+2]付加体:7) などは、二中心的ねじれ配座のTS1が選択性を支配し、ねじれ配座のビラジカルを経て、TS2(閉環)のエネルギーがTS3(解離)より低いことで生成していると判断された。
    以上のように選択性の決定される反応段階や遷移状態の構造とエネルギーを推定した。
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