Journal of Computer Chemistry, Japan
Online ISSN : 1347-3824
Print ISSN : 1347-1767
ISSN-L : 1347-1767
8 巻, 4 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
研究論文
  • 神部 順子, 長嶋 雲兵, 高妻 孝光, 中山 栄子, 青山 智夫
    2009 年 8 巻 4 号 p. 127-138
    発行日: 2009/12/15
    公開日: 2009/10/10
    ジャーナル フリー
    我々は、粒子状浮遊物質(Suspended Particulate Matter: SPM)等の環境汚染物質の測定にデジタル画像解析を用いることを始めている。そこで、晴天はデジタル画像解析でどのようにとらえられるかを、オーストラリアのシドニー、日本の九州南東部(宮崎市)、美ヶ原(松本市)、及び関東東北部(水戸、土浦、つくば)そして都内(三軒茶屋)で撮影した晴天のデジタル画像を解析することによって明らかにすることを試みた。
    雲一つ見られない晴天は、人間の眼で晴天に感じられる空であっても、デジタル画像の青/赤(B/R)比でみると場所による違いが見られ、デジタルカメラの感度の良さが確認された。デジタル画像のB/R比では宮崎市では3.9、 高原の美ヶ原では3.0を超える値となり、またシドニーや水戸および土浦、つくばなどの平地では2.0を超える値を取ることが判った。都心(三軒茶屋)でも天頂付近は2.0を超えるが、地上に近づくにつれSPM濃度が高くなりすぐに白濁する。航空機から撮影した画像でも、天頂付近は2.0を超える値となる。大まかに言えば晴天のデジタル画像はカメラに依存するとはいえB/Rが2より大きく、緑/赤(G/R)と青/赤(B/G)がほぼ等しく、それぞれ1.5程度の値をもつということができた。
    航空機から撮影した画像では、赤道付近には対流圏と成層圏の境に浮遊粒子状物SPMとおぼしき暗い雲が漂っていることが判った。
  • 青山 智夫, 神部 順子, 長嶋 雲兵, 中山 榮子
    2009 年 8 巻 4 号 p. 139-152
    発行日: 2009/12/15
    公開日: 2009/10/10
    ジャーナル フリー
    大気中の濃度十数ppbオーダのエアロゾル分布を,近赤外線(760∼1000 nm)カメラで可視化する方法を提示する.デジタル一眼レフカメラ内部の赤外線カット・フィルタをロングパス・フィルタに交換して赤外線カメラとした.カメラのRGB成分に関する特性を調査し,大気中の霞状のエアロゾルを強調するRGB要素間の演算を示した.その演算を組合せた2つの画像処理法を示し,それらを線画諧調法,等高線描画法と命名した.機能は以下である.
    線画諧調法:エアロゾル散乱光を数本程度の等輝度像と濃淡像で表示する方法.
    本法で表示した雲はエアロゾルの霞の中に存在している.雲からは希薄な霞が流出していることがある.霞は雲と同期して流動せず濃度も形状も変化している.変化は秒単位で観測できる.
    等高線描画法:エアロゾル散乱光を十数本以上の等輝度線により表示する方法.
    本法は一種の微分画像表示法である.線画諧調法では示すことのできない発熱体周辺の大気の流動が表示できる.1 km以上の遠方から航空機エンジン排気の動き,地形による大気流の変化が分かる.丘陵稜線伝いの大気の流れ,乱気流,渦なども可視化できる.
    これらの方法は可視光カメラでは表示困難な大気構造の詳細を明らかにする.
  • 青山 智夫, 神部 順子, 長嶋 雲兵, 中山 榮子
    2009 年 8 巻 4 号 p. 153-164
    発行日: 2009/12/15
    公開日: 2009/10/24
    ジャーナル フリー
    大気中の浮遊粒子状物質(Suspended Particulate Matter: SPM)はエアロゾルの一種である.その量を推測するためデジタルカメラで空の色を撮影する方法がある.この方法の物理的意味を明らかにする.
    Red-Green-Blue (RGB)加色三原色と波長との関係を定義し,色相環と紫色の存在理由を示す.B/RG/R比と散乱光の波長依存性について議論する.実例として,空がヘイズ状態にある場合のB/RG/R比を示す.B/RG/R比の強度の空間分布を画像化する方法を示し,従来の方法では画像化できない大気中の希薄なSPM層の存在を明らかにする.
    デジタルカメラで空の色を撮影するのは容易である.同一地点の継続的な画像を記録すると.それは大気汚染の変遷を示す資料になる.
  • 崎山 博史, Yuka MATSUKAWA, Kotaro FUKUDA, Yuzo NISHIDA
    2009 年 8 巻 4 号 p. 165-172
    発行日: 2009/12/15
    公開日: 2009/10/31
    ジャーナル フリー
    The molecular structures in solutions were predicted for a chiral copper(II) complex [Cu(R-mben)2]2+ [R-mben = N-(methylbenzyl)ethylenediamine] based on the circular dichroism (CD) spectra in an acetonitrile solution and a pyridine solution. Each CD spectrum was analyzed to obtain the spectral components, and the coordination geometry around the copper(II) ion was estimated to be square-pyramidal on the basis of the observed spectral components. The structures of twelve probable conformers were optimized by DFT computation, and the CD spectrum was predicted for each structure by the TD-DFT method. Then, comparing the observed CD data with the predicted CD data, the structures in solutions were estimated.
  • Aya OUCHI, Shin-ichi NAGAOKA, Umpei NAGASHIMA
    2009 年 8 巻 4 号 p. 173-178
    発行日: 2009/12/15
    公開日: 2009/11/21
    ジャーナル フリー
    We have studied antioxidant reactions of vitamin E (α-tocopherol) with an aroxyl radical in several organic solvents (ethanol, diethyl ether, benzene, hexane, and heptane) by using a stopped-flow spectrophotometer. The reaction mechanism is electron-transfer followed by proton-transfer from vitamin E to the radical, and the rate constant (ks) decreases with increasing solvent-polarity. To clarify the reason for the solvent-polarity dependence, we calculated atomic charges of hydrogen atoms in the solvent molecules. A linear relationship between the ks values and the atomic charges was obtained except for the point of ethanol. The reason for the deviation in ethanol is that ethanol solvent has strong intermolecular hydrogen-bonding and is not easy to be reorganized. It was found that the reorganization energy of Marcus theory has an important influence on the ks value. As the solvent-polarity and the reorganization energy increase, the curvature of the potential curve increases and therefore the ks value decreases.
  • Kohei WATABE, Yusuke SETO, Hiroyuki MIURA
    2009 年 8 巻 4 号 p. 179-182
    発行日: 2009/12/15
    公開日: 2009/12/12
    ジャーナル フリー
    The crystal structure of the intermediate phase (3MgO·2CO2) of synthetic nesquehonite (MgO·3H2O) following heat treatment was solved by Monte Carlo simulation using powder X-ray diffraction data and was confirmed by Rietveld refinement. The phase is cubic with space group I4¯3m and cell constants of a = 8.516(13) Å. The unit cell consists of independent atoms such as magnesium, carbon, and two oxygen atoms. The magnesium atom is surrounded by six oxygen atoms in octahedral coordination, and four symmetrically identical MgO6 octahedra in a edge-sharing arrangement form an Mg4O17 block in the (100) planes of a unit cell. These Mg4O17 blocks share edges with other Mg4O17 blocks to form a framework structure. A CO3 triangle that exists on the three-fold axis connects three Mg4O17 blocks.
技術論文
  • 吉村 季織, 茂谷 明宏, 高柳 正夫
    2009 年 8 巻 4 号 p. 183-188
    発行日: 2009/12/15
    公開日: 2009/12/15
    ジャーナル フリー
    近年、化学データを数学的・統計的手法により解析する「ケモメトリクス」が盛んに用いられるようになってきた。しかし、日本の大学の化学教育の場ではほとんど取り上げられていない。ケモメトリクスや数値計算の専用ソフトウェアを使うことなく、現在最も普及しているソフトウェアのひとつであるMicrosoft Excel(Excel)の基本機能を用いてケモメトリクス計算を行うことができれば、多くの教育・研究機関で役立つものと思われる。シリーズ2回目は、主成分分析を行う際に必要となる固有値問題の求解を例に、Excelの基本的な機能だけで反復計算を実行する方法について解説する。固有値問題の解法には、単純な計算を反復することで最大の固有値とこれに対応する固有ベクトルを同時に求めることができる累乗法を用いた。Excelの特徴的な動作である貼り付けを行ってもコピーした範囲が有効のままであること、および直前の動作の繰り返しを利用することにより、ワークシート上での反復計算を実現した。
エラータ
feedback
Top