中国経済経営研究
Online ISSN : 2436-147X
Print ISSN : 1348-2521
1 巻, 2 号
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小特集:エレクトロニクス・ITビジネスのいま(情勢分析研究会報告)
研究ノート
  • 中国総合社会調査(CGSS)および日本版総合的社会調査(JGSS)のミクロデータを用いた分析
    米田 泰隆, 黎 翰丹
    2017 年 1 巻 2 号 p. 18-37
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/08/17
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、中国総合社会調査(以下、CGSS)のミクロデータを用いて、中国における主観的 な幸福感の要因と経年の変化を分析することを目的としている。また、日本版総合的社会調査(以下、JGSS)の利用可能な最新年分であるJGSS-2012のミクロデータを用いた分析も併せて行い、中国と日本の文化的な違いを比較検証する。本稿の回帰結果から、主に以下の3点が指摘できる。まず相対所得は、CGSS-2003・2005・2008・2012・2013の全てのデータに関して、正に有意となっている。これは、Easterlin(1995) が提示している「相対所得仮説」を支持するものといえる。次に絶対所得について、CGSS2003・2008は負に有意となっており、他の年分は有意ではない。これは、中国における持続的な高度経済成長の中で名目の所得に対する信頼が薄まり、相対所得に重きを置くようになっているものと解される。最後に各省におけるジニ係数について、CGSS-2003・2005とCGSS2008・2012・2013で係数の符号条件が有意に逆に出ている。一般的に、所得格差を表す指標であるジニ係数は、幸福感に負の影響を与えると解される。しかしながら、中国全体が急速に経済発展し、世界における存在感も高まっている中では、一部起業家に富が集中し貧富の差が拡大したとしても、社会全体を覆う期待感や起業による一攫千金の機会等により人々の幸福感は上昇する可能性が示唆されている。一方、JGSS-2012とCGSS-2012の比較においては、以下の3点が特に興味深い。すなわち、まず日本では相対所得・絶対所得とも幸福度に有意な影響を与えていないではないこと、次に日本では大学ダミーが有意ではないこと、最後に離婚・死別ダミーについて、中国では離婚ダミーは有意ではなく死別ダミーは5%水準で有意に正である一方、日本は両方とも 1 %水準で強く負に有意であり、文化的な違いがあると考えられること、である。
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