電球用硝子の風化防止策として上記貯藏方法及び風化抵抗劑に關し實驗したる結果概要を述ぶれば次の如し。
(イ) 硝子球の貯藏に際し風化防止を目的とせる包裝の改良及び防濕劑の應用は經費を大にするのみならず梅雨季に於てはその防止極めて困難なり。
(ロ) 貯藏前硝子球をPN硝子の場合は鹽酸の五〇〇分の一規定液にて又CN硝子の場合は醋酸の一〇〇分の一規定液にて洗滌すれば風化傾向を防止し得べし。
(ハ) 貯藏前硝子球を攝氏七〇度の温湯を以て洗滌する時は風化作用を防止し殊に鉛曹達硝子に有效なり。
(ニ) 硝子成分中にアルミナ或は硼酸の三%を混入する時は風化抵抗力を増加せり。
(ホ) 硝子成分中にチタン、 ジルコニウム、 錫及びトリウムの一、 五%を混入する時は風化作用を遲延せーむべし。
(ヘ) 硝子成分中アルカリとして存在する曹達の一部を同量の加里を以て置換する時は風化抵抗力を増加す、 而して鉛曹達硝子にありては全アルカリの四〇乃至五〇%の加里を最良とし石灰曹達硝子は五〇乃至六〇%の加里を含む時最も良好なり。
抄録全体を表示