大日本窯業協會雑誌
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45 巻, 533 号
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  • CaO-Fe2O3系の研究
    山内 俊吉
    1937 年 45 巻 533 号 p. 279-299
    発行日: 1937/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ポルトランドセメントのセリツト部分は4CaO・Al2O3・Fe2O3なる化合物であると唱へてゐるが尚ほ不可解な點が多く理論的或は技術的立場から今一段の研究が希望されてゐる現状である。
    著者はこの樣な見界からセリット部分の研究に手を染めることにした。
    そこでセリット部分の研究に先だつて確めておかねばならぬ基礎的な部分はCaO, Fe2O3, CaO-Al2O3系CaO-Fe2O3系等に關する正しい知識である。 CaO-Al2O3系については著者等は度々本統に報告してきたので本報ではCaO, Fe2O3, CaO-Fe2O3系等についての結果を報告することにした。
    即ち本報に於てはCaCO3, Fe2O3等の加熱による構造の攣化, CaCO3:Fe2O3が3:1, 2:1, 1:1, 1:2の4種調合物を1000-1470℃の各種温度で燒成してCaO-Fe2O3系の化合物の種類等を顯微鏡及びX線的に確かめ最後にCaO-Fe2O3系の純化合物の水和作用をしらべた結果を報告した。
    その結果は大約次の様であつた。
    (1) 2CaO3・Fe2O3等は著者の様な實驗條件では温度によつて構造の變化なしと考へて差支えない。
    (2) CaO-Fe2O3系には2CaO・Fe2O3, CaO・Fe2O3の二種の化合物が存在する。 之等の合成に於ては著者の實驗條件では温度による變態及び解離は考へなくてもよい。
    (3) 2CaO・Fe2O3は熔融點以下で或る量のCaOと固溶體を作り熔融點以上では2CaO・Fe2O3とCaOとに解離することを新に發見した。
    (4) 2CaO・Fe2O3は水を加ふれば可なり早く水和する。 20日に於てX線的には殆んど原化合物は認められない位に水和し盡してゐることが分る。 2CaO・Fe2O3は水と作用し水セメント比が普通工事程度の水量の時は水和生成物として2CaO・Fe2O3・5H2Oを作る。 この水和物は多量水を以て抽出すれば加水分解を起し次第に低石灰化合物となり最後にはCa(OH)2とFe2O3・nH2Oとになる。
    (5) CaO・Fe2O3は水和しない。
    終りに臨み本研究を行ふに當り直接御指導御助言を賜はつた恩師東京工業大學教授近藤清治博土並に本研究を熱心に援助された近藤教授研究助手小西幸平君に對し衷心の謝意を捧るぐ次第である。
  • 永井 彰一郎, 長枝 春平
    1937 年 45 巻 533 号 p. 299-312
    発行日: 1937/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    第1報以來の繼續研究として普通の曹達石灰硝子を中心にして硝子の化學成分と其の水溶性乃至は耐水性を粉末法に依つて研究して來たもので本第5報には更に之に熱處理の如何が耐水性にどんなに影響するかを檢討しやうとして初めたものの一部を報告したものである。 其の要點を摘録すると
    (1) 曹達石灰硝子の基本硝子としてNa2O 15%, CaO 13%, SiO2 72%の硝子 (略々Na2O・CaO・5SiO2) をSCN4-K0とし此のNa2O 1分子の1/4宛をK2Oで置換したSCN3-K1, SCN2-K2, SCN1-K3, SCN0-K4と合計5種の硝子を珪砂, 炭酸石灰, 炭酸曹達, 長石から試製し其の0.49-0.75mmの粒子で常壓 (1氣壓) 5氣壓 (約156℃), 10氣壓 (約181℃) の加壓水蒸氣壓の下に其の水溶性を試驗しNa2OとK2Oとの等分子比のもの即ちSCN2-K2のものが最も耐水性が優れ, 又各試料を200℃, 8時間加温すると稍K2Oの多いSCN1-K3の方へ耐水性の優れた點が移動することを認めた。
    (2) 市販の化學實驗用硝子としてビーカー硝子, 試藥壜硝子, 燃燒管硝子の各1種宛を試料に供し其の0.49-0.75mmの粉末で (I) 其儘, (II) 550℃に熱すること45分間の後20℃/hrの速度で徐冷し, (III) 此の徐冷の途中300℃から80℃の水に急投冷却した3種の試料で比重を見ると概して (II) が最大, (III) 之に次ぎ (I) 最小, 而もビーカー硝子に特に大小の差が著しいのはアルカリ分の多いため及び吸藏瓦斯の多いためであらふ。 尚是等の各試料を粒子法で常壓, 5氣壓, 10氣壓の水溶性を試験し, (II) 又は (III) の熱處理したものが (I) の原試料より耐水性がよいことは前節の結果と一致し, 殊にビーカー硝子の様なアルカリの多い硝子に著しいことは斯様な硝子に熱處理を充分に行ふことの必要なことを示し, 特にビーカー硝子が水, 各種水溶液を取扱ふのに斯く耐水性不良の硝子の多いことは注目すべき點である。
    (3) 磨板硝子と其の燒入安全硝子とは佛, 日, チエッコの3個國の製品を得て其の化學成分を比較しチエッコ品に苦土の多い特性を見, 夫等燒入品の破碎情況を見, 20%HClと20%NaOH溶液に依る溶解性が酸とアルカリとで特徴のある差を示し, 0.49-0.75mmの粒子で (I) 原試料, (2) 550℃から急冷, (3) 550℃から60℃/hrの速度で緩冷の試料で常壓, 5氣壓, 10氣壓の水溶性を比較檢討して燒入の如何は耐水性に大差がないが幾分耐水性がよくなること, (I) 原試料よりも (2) 急冷, (3) 緩冷で水溶性が著しく減じ, 佛, 日, チェッコの各製品に依つて水溶性に相當の差があるが之は主に化學成分に關係し珪酸が少く從つてアルカリが多いものは自然水溶性が大きい。 是等各種の硝子系列に就ての化學成分と水溶性, 殊に本報には之に更に熱處理の如何を加へた各種の比較試驗に依りつて化學成分の外尚熱處理の如何が重大な關係のあることを認め殊に曹達石灰硝子に於て石灰又はアルカリの一部を苦土, 礬土で置換してアルカリの中の曹達を加里にすることと熱處理とには最も密接な關係があることを認めたので次の第6報には此の點を一層深く研究試驗した結果を報告するつもりである。
    終に此の研究には文部省自然科學研究奨勵補助費に負ふところが多いことを茲に明記して深く感謝の意を表したい。
  • 加熱に依る強度の變化
    近藤 清治, 山内 俊吉, 稻村 泰
    1937 年 45 巻 533 号 p. 313-319
    発行日: 1937/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    水硬性耐火セメントの加熱による強度の減退状況を知るために3C:5A及びC:3A燒成物等について熱天秤による加熱減量の測定, 加熱による強度の變化及び強度低下の防止方法等に關し實験した。
    (1) 熱天秤による減量は何れも200-300℃で極めて大きくその後は微小である。 200-300℃の減量はAl, O3nH2O及びアルミン酸カルシウム水和物の脱水によるものゝ様である。
    (2) 加熱によつて400℃位で著しく強度を減退し1000℃位までは殆んど變化なく1000℃位から又次第に強度を囘復する。
    (3) 常温強度及び耐火性等に對してはポルトランドセメントより全體的に優秀である。
    (4) 加熱による強度低下の防止策としては燒成後フリット等低融點物質を添加するよりも原料中にFe2O3又はMnO2等の様なCaO, Al2O3以外の第三成分を加へて燒成したセメントの方が優秀性を示す様である。
  • 内田 宗義
    1937 年 45 巻 533 号 p. 319-320
    発行日: 1937/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 熊澤 治郎吉
    1937 年 45 巻 533 号 p. 321-323
    発行日: 1937/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 森安 靜太
    1937 年 45 巻 533 号 p. 324-330
    発行日: 1937/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1937 年 45 巻 533 号 p. 331-344
    発行日: 1937/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1937 年 45 巻 533 号 p. 347-354
    発行日: 1937/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 熊澤 治郎吉
    1937 年 45 巻 533 号 p. Plate1-Plate2
    発行日: 1937/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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