(1) 一般にパイロフイライトを主成分とし遊離珪酸を含有する蝋石はSK10の燒成にて, 良く燃け締つた煉瓦となる. 但し之れをSK18に再燒きするも其れ以上たいして耐壓強度は増さない.
(2) 風化の進まざるカオリナイトを主成分とする原料を生にて使用したる場合は極めて燒け締りの惡い煉瓦となる. 然しカオリナイトを主成分とするも風化進み可塑性大なる原料を使用したる場合は極めて燒き締りの良い煉瓦となる.
(3) 單味煉瓦としてSK10に燒成したる場合耐壓強度の著しく低い原料にて作りたる煉瓦は其の煉瓦をSK18に再燒きしても耐火強度は殆んど増さず時には反對に耐壓強度が減ずる事もある.
(4) 煉瓦素地を燒成したる場合及び煉瓦を再燒きしたる場合に起る膨脹收縮の割合は燒成による比重の變化割合とは異る種類間に於ては平行しない. 而して比重の變化に比し收縮の大なるものは耐壓強度が大となる.
(5) 粒子間を結ぶ作用をなすべき物質が少い場合は勿論なれど燒成による膨脹收縮の異る物質が不均一に混入し, 爲に燒成に際し内部に歪を生ずる如き配合の煉瓦は, 相當高温に燒成するも耐壓強度の大なる煉瓦とはなり難い.
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