(1) 著者等は既報 (第4報) に掲載した本邦に於ける珪藻土礦床一覽表の記載を更に補遺説明する目的を以つて, 前報 (第9報) に引續きき九州北部地方 (主として大分縣下) の各珪藻土礦床に就て實施した現地調査結果の詳細を此處に報告した.
(2) 大分縣下の珪藻土礦床に就て著者河島が實施した現地調査の詳細として, 大分縣下に於ける珪藻土礦床の地理的分布, 同縣珪藻土工業の沿革及現状に就て報告し, 更に大分縣速見郡中山香町, 大分縣速見郡北由布村, 大分縣玖珠郡野上村, 大分縣直入郡阿蘇野村及び大分郡南庄内村に賦存する十數ケ所の礦床に就て, 礦床の積層状況, 地質, 原土の産出状況並に採取試料原土の性状等に關して多數の現地寫眞及顯微鏡寫眞を掲げてこれを説明した.
(3) 著者の現地調査及び原土の顯微鏡觀察によつて大分縣下の礦床は總て淡水湖成層のものなる事が判明し, 縣下の珪藻土原土中に含まれた珪藻の種類は殆んど總て圓形のCyclotella, Stephanodiscus等であるが, 速見郡北由布村の礦床のみは全く他の礦床と相違しNavicula, Pinnularia, Epithemia等の羽状珪藻族からのみ構成され居る事を發見した.
(4) 大分縣下の各地珪藻土礦床の現地調査に於て採取した試料並に磯床に於ける積層状況及び原土の性状等に關する特異性に就て詳細に檢討批判を加へた.
(5) 本報掲載の現地寫眞は何れも著者等の一人河島が實地調査の節に現地で撮影したものである.
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