酸化鉛を相當量含む鉛ガラスの一群に就て, 0.5N鹽酸を用ひて100℃前後の耐酸性を干渉色利用の表面法と粉末法を併用して調べた. 温度の影響は著しく, 70-100℃でArrheniusの式によく從ふ. この式の恒數を各ガラスに就て算出し, 一定温度に於る耐酸性との一定の關係を認め, 之より任意の温度の耐酸性を誘導推察し得る事を示した.
次で組成との關聯に於て, 恒數より溶解熱 (Q kcal) を算出し主としてPbO/SiO
2 (比重比) の値との關係を調べるに, 此の値1.5の所でQが急に減少する. 且つ反應時間との關係に於ても此の變化點が現れる事を確めた. 又PbO含量が大きくなりPbO/SiO
2≒1.2以上の組成となると反應速度式がそれ以下の組成ガラスが示す簡單な抛物線式で無くなる.
粉末法を併用して試驗するに, 處理温度が高くなる程酸に溶かされる量が増大するがPbO含量の差の影響が小さくなる傾向は表面法でも認められる所と一致する.
100℃以上の表面試驗法として, キシロール蒸氣浴を利用して觀測する裝置を工夫し, 高温で酸の作用が著しく増し, PbO含量の低い比較的酸に強いガラスの試驗に供し得て好適であつた.
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