窯業協會誌
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85 巻, 985 号
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  • 田中 尚文, 高木 慧
    1977 年 85 巻 985 号 p. 427-433
    発行日: 1977/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    本研究はモノマーとして, スチレン, メタクリル酸メチル, 重合促進剤として, イソシアヌル酸トリアリル, 重合開始剤として, アゾビスイソブチロニトリルを用いたポリマー含浸煉瓦の製造方法に関する報告である.
    重合促進剤としてのイソシアヌル酸トリアリルは, 本研究の条件では, 添加量4%以上で非常に効果のあることがあきらかとなった.
    吸水率は, 少量のポリマー含浸率で著しく減少するが, さらにポリマー含浸率が増加しても吸水率に大きな変化が認められない.
  • 平島 碩, 吉田 哲郎
    1977 年 85 巻 985 号 p. 434-440
    発行日: 1977/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    標題のガラスの直流導電率を100-300℃で測定した. 多くのガラスでは直流分極は見られず, 活性化エネルギーは, 電子伝導性とされているFeO-, CuO-P2O5ガラスと同程度であった. Fe2O3含有ガラスの導電率はCuO含有ガラスの約103倍で, Fe2O3含有量, [PbO]/[B2O3] 比と共に増加した. このガラスの熔融体中ではFe3+オキシ酸イオンが [PbO]/[B2O3] 比の増加と共にその濃度を増すことを前報で報告した. Fe3+オキシ酸イオンはガラス中の4配位Fe3+に対応すると考えられるので, [PbO]/[B2O3] 比と共に導電率が増加することから, 4配位Feの伝導への寄与が重要であることが推定された. またEPMAによるガラス中のFeLα, CuLα発光X線スペクトルの測定結果により, これらのガラスは4および6配位Fe3+または6配位Cu2+を含むことがわかった.
    導電率とFeイオン間距離の関係はMottによるホッピング伝導式に従い, この関係から算出したトンネル係数は, 数種のFe3+含有ガラスの電荷移動吸収帯から計算した値にほぼ等しかった. CuO含有ガラスの導電率はこの式に従わず, 低CuO含有ガラスでは直流分極も見られた. 従って他の導電機構が優先すると考えられた.
  • 鈴木 一孝, 浅川 邦治, 土田 幸宏, 伊藤 祐敏, 福尾 券一
    1977 年 85 巻 985 号 p. 440-447
    発行日: 1977/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    チャート岩 (珪石A), 砂岩 (珪石B) および変成岩 (珪石C) 質原料を試料とし, これらは粉砕, 塩酸処理, 水洗, 乾燥を行い, CaO/SiO2モル比が0.8になるようCa(OH)2と混合した. この試料に対し, オートクレーブの飽和水蒸気圧下において160℃および180℃で0.5, 1, 2, 4, 6, 8および16時間水熱処理を行った. 反応率は, 結合したCaOとSiO2の全CaO, SiO2量に対する比で与え, かつt/t0.5値はそれらの比から求めた. これらの実測して得たt/t0.5と [1-(1-α)1/3]n=K(t/t0.5) の式から計算して求めたt/t0.5を比較することによって, この水熱反応はCaO/SiO2比の大きいlath状組織の中をCaOが拡散することにより進むことを結論した.
    反応の初期では繊維またはlath状トバモライトがすべての試料に生成し, 2-4時間後には葉状結晶が試料Aに, また板状結晶が試料Cに生成した. しかし試料Bにはlath状, 繊維状トバモライトがえられたのみであった.
    圧縮強度を円柱形水熱合成体について測定した. 葉状結晶を生成する珪石Aは最強強度を示し, 珪石Cは板状組織を生成してそれより低い値を示した. 珪石Bは反応をおくらせ, 強度を増すのには効果が少なかった.
    強度に効果をもたらすのは, 珪石の水熱反応においての反応性と, 生成する組織であることが結論され, 珪石の反応性においてC>A>Bの順に低くなることはそれらの湿潤熱の大きさの順B>A>Cと関係があり, それらは格子歪みと関係があることが推測された.
  • 主として耐アルカリ性と屈折率
    野上 正行, 守屋 喜郎
    1977 年 85 巻 985 号 p. 448-454
    発行日: 1977/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    金属アルコレートを出発原料にして, SiO2をほぼ50mol%以上含むTiO2-ZrO2-SiO2系の透明な非晶質膜を作成し, 膜の耐アルカリ性および屈折率を測定した. 特に耐アルカリ性におよぼすZr4+イオンとTi4+イオンの効果を赤外線スペクトルの測定結果を参考にしながら検討した.
    膜の屈折率は加熱温度の上昇とともに増加し, 500℃以上でほぼ一定の値に達した. 非晶質膜の屈折率は, TiO2-SiO2およびZrO2-SiO2系とも, TiO2あるいはZrO2含有量の増加とともにほぼ直線的に増加した. 一方, 非晶質膜の耐アルカリ性は, TiO2-SiO2系ではTiO2量の増加とともに徐々に向上したのに対し, ZrO2-SiO2系では少量のZrO2の導入により著しく向上し, ほぼ20mol%で最も優れた耐アルカリ性を示した. また, TiO2-SiO2系に比較して非常に優れていた.
    アルカリ溶液に浸漬した非晶質膜の赤外線スペクトルの測定から, Ti4+イオンはSi4+イオンとともにSi-O-Ti結合を形成することにより, Zr4+イオンはシリカ網目構造の空間に入り構造全体を充填度の高いものにすることにより, 非晶質膜の耐アルカリ性が向上すると説明された.
  • 元山 宗之, 田中 稔, 橋詰 源蔵
    1977 年 85 巻 985 号 p. 454-464
    発行日: 1977/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ミクロ領域における不均質で, ガラス状態の物質のキャラクタリゼーションを特に目的としてEPMAにより, 数種酸化物とそれらの熔融混合物のOK, BKスペクトルを測定した. 超軟X線を測定する際の問題点のうち, コンタミネーション, 真空蒸着時に生成すると考えられる酸化物の影響について検討した. 単純酸化物のOKバンドは比較的幅が狭く, 低エネルギー側にサテライトを有し, 熔融混合物のものは成分酸化物のものを重畳したスペクトルであった. BKスペクトルは幅も広く, かつ主バンドの両側にサテライトを持ち, これらは化学結合に対し敏感に変化した. 特にPbOと化合したB2O3のBKスペクトルの高エネルギーサテライトの強度変化が著しかった.
    これらのスペクトルの特徴を利用し, 相分離を起こしたPbO・1.8B2O3・3.2SiO2系の破断面を解析した. その結果, 二次電子像で輝度の高い領域はPbOに富み, PbO-B2O3系化合物が存在し, 輝度の低い領域はSiO2に富み, B2O3・SiO2が生成していることが類推された.
    このようにX線分析や電子顕微鏡的な一般的なEPMAの手法に加えて, 同時に超軟X線による状態分析を行って有効なキャラクタリゼーションが行えた.
  • 小林 弘旺, 尾山 竹滋
    1977 年 85 巻 985 号 p. 464-468
    発行日: 1977/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    熔融した多成分系スラグ中へのジルコンの溶解速度を円柱状試片 (20φ×30mm, 見掛気孔率15.5%) をスラグ中で回転することによって1500℃, 100rpmの一定条件下で研究した.
    FeO-CaO-SiO2 3成分系スラグ (CaO/SiO2=1) 中への溶解速度V(cm/s) はスラグ中のFeO含有量F(100wt%=1) が減少するにつれて著しく減少し, このVFとの関係は次式で表わされた.
    logV=1.9F-4.4
    溶解速度はまたスラグの塩基度 (CaO/SiO2) によっても著しい影響を受け, 20%FeO-CaO-SiO2-10%MgOの4成分系における塩基度1のスラグ中への溶解速度は0.5のスラグの1.5倍であった. 30%FeO-CaO-SiO2-10%MgO-10% Al2O3の5成分系スラグでは塩基度が0.5-3の間で溶解速度は塩基度に比例して増大し, 3での溶解速度は0.5での約6倍であった. しかし, 塩基度4では3の場合に比較して逆に小さくなり, 溶解速度は塩基度が3近辺で最大になるものと推測される.
  • 佃 康夫
    1977 年 85 巻 985 号 p. 469-471
    発行日: 1977/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Y2O3焼結体を露点-36℃の水素ふん囲気中, 1800℃以上で加熱すると, 焼結体は黒色となった. この黒色化はF-centerに起因するものであるといわれている. 本研究ではこの黒色化について検討した.
    Y2O3焼結体を露点-36℃の水素ふん囲気中, 2000℃において5, 15および25分間加熱し, 濃度の異なる黒色体を得た. これらの試料の分光特性を波長0.2-2.6μmにおいて調べた.
    Y2O3-0.1mol%Eu2O3圧粉体を2270℃で焼結した. これらの試料の一部を露点-36℃の水素ふん囲気中, 2000℃で15分間加熱することによって黒色化した. 温度-195.8-20℃における熱発光を測定した.
    黒色Y2O3試料の吸収ピークは458, 524, 646および2240nmの波長に見られた.
    Y2O3焼結体の熱発光は認められなかったが, 黒色Y2O3-Eu2O3試料の発光が約210Kにおいて認められた. この発光は, Y2O3試料がoxygen vacancyのような構造的欠陥を有していることを示唆するものである. 発光から計算されるトラップ準位の深さは1.478eVであった.
  • 高嶋 廣夫, 斎藤 肇
    1977 年 85 巻 985 号 p. 472-474
    発行日: 1977/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 85 巻 985 号 p. A49-A52
    発行日: 1977/09/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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