窯業協會誌
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86 巻, 990 号
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  • 工業用ケイ酸カルシウム水和物に関する研究, 第8報
    久保 和彦, 高木 茂栄
    1978 年 86 巻 990 号 p. 45-50
    発行日: 1978/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    著者らはスラリー法でつくられるケイ酸カルシウム水和物の球状2次粒子はこれを脱水成形すれば乾燥のみで変形収縮のない強固な成形体と成し得ることを既に報告している. 本研究ではこの2次粒子の組織形態が成形体の強度にどのような作用を及ぼしているか, 各種の組織を有する2次粒子をスラリーで合成し, このスラリー中の固相について, 電子顕微鏡及び走査電子顕微鏡などにより2次粒子の組織形態を, また2次粒子のかさ比重や空隙率あるいはDOP吸油量などを測定してそのキャラクターとプロパティーを検討した. これらの結果2次粒子からなる水性スラリーより成形された成形体の強度の発現は, 2次粒子の大きさ, 2次粒子の表面における結晶の突起状態, 1次粒子 (単結晶) の大きさ, 比表面積, 2次粒子の空隙率などが2次粒子内に包含される水の挙動と関連し, 粒子相互間の接触性に影響を及ぼし粒子相互の結合力を強めていることが確認され, 粒子相互の形態と接触性が強度発現の主要因であることなどを明らかにしている.
  • 元山 宗之, 田中 稔, 石間 健市, 橋詰 源蔵
    1978 年 86 巻 990 号 p. 51-57
    発行日: 1978/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    粘土素地上で, 平面状, 球状, 及び繊維状の形態で生成する, いぶし瓦表面炭素の微細構造を, X線スペクトル, X線小角散乱, 高分解能電子顕微鏡で調べた.
    平面状炭素のX線スペクトルは, 結晶子がbasal planeと平行に配向したグラファイトのスペクトルの形状に類似していた. 球状及び繊維状炭素は結晶子が平行に配向していないカーボンブラック同様のX線スペクトルを示した. X線小角散乱法によれば, 表面炭素の結晶子が多く集まり, 大きなクラスターを形成していることがわかった. すべての高分解能電子顕微鏡像に乱層構造が認められた. また平面状炭素の電子線回折像は, 結晶子が (002) 面の方向に配向していることを示した. 一方, 表面炭素の結晶子の大きさは, カーボンブラックと同様であり, 非常に小さい. 球状及び繊維状炭素では, 乱層構造は3次元的に広がっていた. 一方, 平面状炭素では乱層構造をした結晶子が沈着面に平行に配向し, 大きな平面を形成し, これがさらに積み重なって層を形成していることが明らかになった. 平面状炭素の中で結晶子が配向していることが, いぶし瓦表面炭素を最も特徴づける因子であることが明らかとなった.
  • 黒鉛るつぼの製造に関する研究, 第3報
    伊藤 宇太郎, 宝田 恭之, 窪 正一, 半沢 保, 加藤 邦夫
    1978 年 86 巻 990 号 p. 58-66
    発行日: 1978/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    炭化ケイ素質黒鉛るつぼは, 熱衝撃抵抗性が極めて大きく, また, 適度の熱伝導性をもっているが, 高温における耐酸化消耗性が非常に悪い. この欠点を補うため, 各種の無機質結合剤が黒鉛るつぼに添加されている.
    黒鉛るつぼの耐酸化消耗性はるつぼ材に対する種々の無機質結合剤のぬれ性によって影響されるものと考えられる.
    本研究では, ホウケイ酸ガラスと種々のフッ化物からなる無機質結合剤の炭化ケイ素質黒鉛るつぼ材に対するぬれ性を調べた. つぎに, 上記の無機質結合剤をケイ素鉄-炭化ケイ素質黒鉛るつぼ材に添加した場合の耐酸化消耗性を調べた.
    その結果, ケイ素鉄の含有量が多く, 黒鉛の含有量が少ないほど, ぬれ性はよいこと, また, 無機質結合剤中に氷晶石を含むものが, ぬれ性がよいことがわかった.
    黒鉛るつぼ材の耐酸化消耗性は, 無機質結合剤中に氷晶石を含むものが非常によく, 黒鉛を60%以下含む場合のるつぼ材の酸化消耗率は, 15%以下であった. また, 一定温度における耐酸化消耗性と, フッ化物を含む無機質結合剤のるつぼ材に対するぬれ性にはよい相関がうかがわれた.
  • 野村 勁, 石堂 善彦, 小野 修一郎
    1978 年 86 巻 990 号 p. 67-72
    発行日: 1978/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Mg-Ca系の唯一の金属間化合物Mg2CaとH2の系の平衡圧力が, 最高圧力70kg/cm2まで, 400°, 350°, 320℃の各温度において測定された. この系は3段のプラトーを示すことから, 次の3種類の反応が逐次水素化に伴って起きていることが明らかになった.
    i) Mg2CaH2→CaH2-x+2Mg
    ii) Mg+CaH2-xH2→MgCaH3.72
    iii) MgH2→MgH2-y
    新しく見出された水素化物MgCaH3.72はMgとCaの1:1合金を400℃, 50kg/cm2のH2中で水素化するか, MgH2とCaH2の混合物を同一条件で処理することにより得られるやや灰色を帯びた白色の, 極めて細かい粉末で, 空気中では不安定である.
    粉末パターンを指数づけした結果, この化合物は六方晶系に属し, 格子定数a=6.300, c=6.882Å, 理論密度1.92g/cm3, Z=4である.
  • 門間 英毅, 金澤 孝文
    1978 年 86 巻 990 号 p. 72-76
    発行日: 1978/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    α-リン酸カルシウム粉末をCa(OH)2及びCaCl2各水溶液中に分散させ (初期pH 6-12.8), 最長15日まで煮沸処理を行い, 反応過程, 生成アパタイトの組成とその熱的性質, などを検討した.
    処理液中でのリン酸カルシウムの反応は, (I) Ca/Pモル比1.50の非化学量論性水酸アパタイトへの構造変化を伴う水和反応, (II) アパタイト構造を保持したままでのCa/P比の増加反応, の2過程に分けて説明, 把握できた. 反応Iは初期pH 6-9では容易に進行し, 一方pH 12.8では完結しにくい傾向にあった. また処理液中にCa2+がほとんど含まれない場合でも, IIの反応は進行するものの, アパタイトの理論Ca/P比 (1.67) への到達は困難であった. [Ca2+] を高めることによって反応IIの速度は大となり, 容易に理論Ca/P比に近づくことが分った. また液中に塩素イオンが共存すると, これはアパタイト構造中に固溶しうることが明らかになった. 生成したアパタイトのCa/P比の増加とともに, 水分の含量は減少し, 加熱分解性も小さくなった. α型に比べて非常に遅い同様の水和現象が, β-リン酸カルシウムについてもやはり観察された.
  • 陶磁器素地と釉薬との適合性に関する研究, 第3報
    稲田 博
    1978 年 86 巻 990 号 p. 76-85
    発行日: 1978/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    (1) 陶磁器釉応力の室温から700℃までの変化を偏光装置付高温加熱顕微鏡を用いて測定した. 無貫入品はすべて同一傾向の変化を示した. 昇温とともに圧縮応力は減少し, 400-560℃のTSで応力0の横軸と交差してから, 引張り応力側で小さなピークを示した後, 620℃近辺のTRで再び応力0の横軸と交差し, 圧縮応力の小さなピークを示した後, 最後に670℃近辺で, 完全に応力が開放されて0となった. 貫入品は約530℃まで室温時の引張り応力の値がほとんど変わらずに推移した後, 応力は急減して約620℃のTRで応力0の横軸と交差し, 圧縮応力の小さなピークを示した後, 最後に670℃近辺で応力が開放され0となった.
    (2) 応力0の温度では, 釉と素地の寸法は等しいという仮定の下で, 素地の上に薄層でついている釉の熱膨張曲線を計算した. このようにして得られた曲線と, 素地の実測熱膨張曲線をTR点で重ね合わせることにより, 釉応力-温度曲線の変化過程を良く説明することができた.
    結局, 釉応力発生の起点は, 釉の最低なまし温度ではなく, 釉の転移温度より更に20-100℃高温のTR点とすべきことが分った. また, 素地の上に薄層でついている実際の釉は, かなりの変質をしているらしいことも推察された.
  • 河村 淳一, 楠瀬 洋, 山田 徳一
    1978 年 86 巻 990 号 p. 85-92
    発行日: 1978/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    マグネシア煉瓦の組織のち密性, 組織の透過性及び組織結合度としての強度等の耐食性の要因と, スポーリングに対する, 坏土の粒度分布依存性の研究を行った結果, (1) 組織のち密性は, 4mm以下の坏土についてのAndreasenの連続粒度分布係数のqが0.2から0.4がよい. (2) 組織の透過性は, 通気率及び, Zagarの透過に関する組織構造関数 (Ftext) の傾向から, qが0.3以下がこのましい. (3) 結合強度はqが0.2以下が高く, q依存性が明らかであるが, Ftextともきわめてよい相関を示した. (4) 熱スポーリング抵抗はqが0.3以上で良好となり, q依存性が高い. また機械的スポーリングは, 結合強度によると考えられ, 構造スポーリングは透過性によると考えられる.
    以上のごとく, Zagarの透過に関する組織構造関数は耐用性にきわめて関係が深いと考えられる. またキャラクターとしての坏土の粒度分布係数qはきわめて重要な意味をもち, 調和のとれたマグネシア煉瓦はqが0.3付近で得られると結論した.
  • 元井 操一郎
    1978 年 86 巻 990 号 p. 92-95
    発行日: 1978/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 86 巻 990 号 p. A6-A14
    発行日: 1978/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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