ZnO-Al
2O
3-SiO
2系ガラスから透明結晶化ガラスを得る目的で一連の研究を行った. 基礎ガラス組成は本系の共融組成の付近の次の二つの組成とした. No. 3: 38 ZnO, 11 Al
2O
3, 51 SiO
2 mol%, No. 5; 44 ZnO, 11 Al
2O
3, 45 SiO
2 mol%, 均一に結晶化したガラスを得るため, 核形成剤としてZrO
2を用いた. 析出相及びガラスのbulk-crystallizationに対するZrO
2添加の影響を調べるため, DTA, XRD, 電子顕微鏡を用いた. 得られた結果は次のとおりである.
(1) No. 5組成ガラスからは, 急熱した場合も, また徐々に加熱した場合 (例えば, 15℃/minで900℃まで) も, 準安定β-Zn
2SiO
4固溶体と準安定β-石英固溶体が析出した.
(2) No. 3組成ガラスからは, 室温から徐々に加熱した場合 (例えば, 15℃/minで900℃まで), No. 5組成ガラスの場合と同じ相が析出した. 770℃以上で急熱するとβ-Zn
2SiO
4固溶体の他に, Zn-ペタライトが析出した. この結果から, これら二つの相の核形成及び結晶成長温度域の差によって以上のことが引き起こされると思われた.
(3) ZrO
2を添加したガラスでは, 析出したZrO
2とともに同じ相がみられた. いずれのガラスも9wt%以上のZrO
2の添加でbulk-crystallizationを起こす. その機構は次のように考えられた. 9wt%以上のZrO
2の添加で分相が起こり, ガラス中のdropletから正方晶ZrO
2が析出する. ガラスとZrO
2結晶間の界面が, 主結晶相の核形成に寄与する.
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