窯業協會誌
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87 巻, 1011 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 藤田 一美, 伊藤 志津子, 星野 千鶴子, 香山 勲
    1979 年 87 巻 1011 号 p. 547-551
    発行日: 1979/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    硫酸アルミニウムと尿素, アルミン酸ナトリウムとエチレンクロルヒドリンによる均一沈殿法を用いて合成したアルミナ水和物ゲルの有機試薬水溶液内での結晶化に及ぼすゲル調製法, 有機試薬の種類, 量の影響を粉末X線回折により検討した. その結果は次のようであった.
    (1) グリセリン, エチレングリコールの添加量が多くなるほど, 結晶化が困難になった.
    (2) エチルアルコール, 1,4-ジオキサンの添加は有機試薬無添加のときと同じ結果が得られた.
    (3) 硫酸アルミニウムと尿素とから合成したアルミナ水和物ゲルは, 有機試薬無添加のときバイヤライトに結晶化した.
    (4) アルミン酸ナトリウムとエチレンクロルヒドリンとから合成したアルミナ水和物ゲルは, 有機試薬無添加のときバイヤライト, ハイドラルジライト, 擬ベーマイトに結晶化した.
    以上の結果からゲル調製法, 加える有機試薬の種類, 量が均一沈殿法により合成したアルミナ水和物ゲルの結晶化に影響を与えることを明らかにした.
  • 梅林 正気, 小林 和夫, 大河原 晃
    1979 年 87 巻 1011 号 p. 551-558
    発行日: 1979/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    シラスに40, 50及び60wt% Alを添加した混合粉末をいったん1400℃, 10時間窒化し, 次いで, 1600°-1900℃, 200kg/cm2, 1時間, 熱間加圧焼結を試み, Si-Al-O-N系焼結体を得た. 各Al量を添加した混合粉末から得た焼結体をHS 40, HS 50及びHS 60と称する. HS 40, HS 50及びHS 60とも, 1600℃で見掛け気孔率は0.07%, かさ比重は3.37 (HS 40) 及び3.50 (HS 50, 60) となった. 加熱温度の上昇とともに, 重量の減少量は増加し, 見掛け気孔率は増し, かさ比重は低下した. 各焼結体を構成する相は, β'-Si3N4, α-Al2O3, 15R-AlNであったが, Al添加量及び加熱温度によってその量比は変化した. すなわち, HS 40は温度の上昇とともにβ'-Si3N4を主成分とする焼結体となり, HS 50はβ'-Si3N4と15R-AlN, HS 60は15R-AlNを主成分とする焼結体となった.
    1600℃における焼結体の組織は, ガラス相の存在のため, 微構造は明らかでなかったが, 1800℃でガラス相が分解し, β'-Si3N4及び15R-AlNの粒形が明らかとなった.
  • 高ケイ酸ガラスの製造と応用に関する研究, 第4報
    江口 清久, 植月 倫夫, 垂水 修二
    1979 年 87 巻 1011 号 p. 558-564
    発行日: 1979/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    分相したホウケイ酸ガラスを酸で処理したときのガラス試料の長さの変化を測定した. 著しい膨張又は収縮が観察され, これらはガラス組成, 熱処理, 酸処理条件によって影響された.
    熱処理時間の短い試料は酸処理中に収縮し, 熱処理時間が増すと収縮が減少し膨張に変わり平衡値に達する. この平衡値は熱処理温度に関係なく一定であるが, これに必要な熱処理時間 (t3) はその温度が高いほど短い. このt3の対数と熱処理温度の逆数とは直線関係があり, これから求めた見掛けの活性化エネルギーは62kcal/molである.
    熱処理時間の短い試料は酸処理中に割れが多いが, これはケイ酸骨格の未発達によるものと考えられる.
    ガラス中のNa2O/B2O3が0.2-0.4の間では平衡値は膨張であり, 0.4以上で急激に収縮に変わり, 割れが多くなる. この比の所で4配位のホウ素が飽和するので, これ以上Na2Oが増えるとその分だけケイ酸骨格が切断され, 酸処理中に収縮が起こり割れが発生するものと推察される.
    ホウケイ酸ガラスにAl2O3を添加すると酸処理中の膨張の平衡値が減少し, 添加量約3.5%で伸縮を示さないことを見いだした
  • 清水 紀夫, 柳田 博明, 堀 正芳, 橋本 甲四郎, 西川 泰男
    1979 年 87 巻 1011 号 p. 565-571
    発行日: 1979/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    KDC法によって得られる四チタン酸カリウム繊維は水と反応して水和チタン酸カリウム繊維 (2K2O・11TiO2・3H2O) となる. この水和チタン酸カリウム繊維は更に水と反応して, カリウムを溶出し, ついに水和酸化チタンとなる. 水和チタン酸カリウム (2K2O・11TiO2・3H2O) と水和酸化チタンの間にはX線回折パターンの特徴より, 五つの水和チタン酸カリウム相を分類区別することができた. そのうち単独相と考えられるのはTiO2/K2Oモル比が約7, 9, 10の3相であった.
    また水和酸化チタンには酸化カリウムを5-1%含んでいるため, カリウムにより安定化されていると考えられる.
  • 横田 良助
    1979 年 87 巻 1011 号 p. 571-575
    発行日: 1979/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    石英ガラス, 5Na2O・95GeO2ガラス, Ca(PO3)2ガラス, ソーダ石灰ガラス及びパイレックスガラスの光弾性定数 (以下Bと略す) を測定した. 石英ガラスのBがソーダ石灰ガラスのBの1.33倍であることはWeyl説では説明できない. 石英ガラスでは主としてSiO44面体の6員環からなり, 環内には透き間がある. この構造への, 圧縮において共有する角頂の結合角が変化する変形によって透き間を埋める変形が起こり, これが8を正で大きくしているとして, Bへの寄与に対する新しい機構を提案した. GeO2, 5Na2O・95GeO2ガラスも同様である. ホウ酸塩ガラス, ホウケイ酸ガラスではtetraborate群及びdiborate群の透き間のある構造があって, 圧縮によってこれらめ群の透き間を埋める変形が生じてBが正で大きくなるのである. Ca(PO3)2ガラスやソーダ石灰ガラスでは新機構によるBへの寄与が消失しているかほとんど消失しているためにBが小さいのである. すなわち, Weyl説によるイオンの分極率の変化によるBへの寄与以外に, 透き間のある “群” の透き間を埋める変形によるBへの寄与のあるガラスがガラスの中には相当数あると結論した.
  • 長谷 貞三, 鈴木 弘茂, 井関 孝善
    1979 年 87 巻 1011 号 p. 576-582
    発行日: 1979/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    金属AlあるいはAl化合物を添加してSi, SiOあるいはSiO2でカーボンブラックをケイ化した. この調製法で得たSiC粉末の比表面積測定, Al定量分析及びX線回折から, SiOとSiO2を用いて得た両粉末ではAl添加によって比表面積の増加及び2H多形の生成を生じたことが判明した. これらの粉末は少量のホウ素と炭素の添加により約1900℃以下の温度で理論密度の90%以上へ常圧で焼結できた. このような易焼結性は2Hの固相内転移に伴う原子の移動度の増大 (いわゆるHedvall効果) あるいは液相り存在によってもたらされたと考えられた. 低温焼結体の特徴はほぼ等量の3Cと4H多形から成ることであった.
  • 高橋 克明, 三浦 嘉也
    1979 年 87 巻 1011 号 p. 583-590
    発行日: 1979/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Na2O-B2O3 (Na2O: 15.7-38.7mol%) 2成分系ガラス融液における, 微量金属イオン (Cd2+, Ni2+, Co2+及びCr6+イオン) の拡散挙動を, 720°-1040℃の温度範囲で, クロノポテンショメトリーで調べた. いずれのイオンについても, 解析可能なクロノポテンショグラムが得られた. 拡散係数のアレニウスプロットは, いずれのイオン種の場合でも, それぞれの組成のガラスの液相温度以上で屈曲した. また, 拡散係数はガラス組成に対して, Na2Oが約20mol%で極小を示した. 拡散イオン種のイオン半径と拡散係数の間には明りょうな相関が認められないことから, ガラス融液ではStokes-Einsteinの関係式は成立しないことが分った. 一方, 拡散の活性化エネルギーは, 高温部で25-35kcal/mol, 低温部で35-45kcal/molであり, 母体ガラスの電気伝導の活性化エネルギーより大きく, 粘性の活性化エネルギーよりは小さかった. しかし, 活性化エネルギーと拡散イオンのIon-Oxygen Attractionとの間には相関は認められなかった. 拡散係数は, いずれのイオンについても, 母体ガラスの単位体積中の酸素イオンの数が増すにしたがって減少した.
  • 加藤 悦朗, 大門 啓志
    1979 年 87 巻 1011 号 p. 590-595
    発行日: 1979/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    無水硫酸アルミニウム, Al2(SO4)3, の詳細な結晶構造が結晶性の良い粉末試料のX線回折から決定された. この結晶粒子は {0 1 1 2} 面の結晶面から成る菱面体である. 単位格子はa0=8.032Å, c0=21.360Å及びZ=6の六方対称で空間群はC3i2-R3である.
    すべての原子パラメーターが若干の仮定と純粋に幾何学的計算から決定された. これらのパラメーターから計算された回折強度比は観測されたものと良い一致を示した.
    各S原子はSO4正4面体を形成する. 単位格子中このSO44面体の方位は, 2回対称軸の一つが (0 0 l) 面に平行でかつa軸の一つに16°の角度を成し, またこの対称軸に垂直な二つの稜は (0 0 l) 面にそれぞれ約80°及び約10°の角度を成す.
    各Al原子は6個のSO44面体に囲まれSO44面体当たり1個の酸素を取って6個の酸素を配位する. AlO68面体はわずかにひずみ, 形状と対称とから2種に区別される.
  • 1979 年 87 巻 1011 号 p. A72-A78
    発行日: 1979/11/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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