窯業協會誌
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88 巻, 1016 号
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  • 長谷 貞三, 鈴木 弘茂
    1980 年 88 巻 1016 号 p. 161-168
    発行日: 1980/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    緑色 (GC) 及び黒色 (BC) 炭化ケイ素研磨材からサブミクロン粒子を得, フッ化水素酸処理 (-F粉末) 及び混酸処理 (-FN粉末) した粉末の焼結性, 構成多形の変化及び得られた焼結体の組織を調査した. 混酸処理によって比表面積が約2倍に増加する効果が見いだされ, -FN粉末は-F粉末より収縮開始温度が100°-150℃低下した. 酸処理粉末はHe中2030℃, 1時間の焼結で96-98%TDに達した. GC-F焼結体の組織は平均粒径2μmの等軸形状粒子から成っていたが, GC-FN焼結体のそれは大きく伸長した粒子を多数含んでいた. BC-FとBC-FNの2030℃焼結体はGC-FNのそれと似ていたが, 2130℃焼結体はすべて伸長形状の粒子から成る粗い組織であった. この組織は粒界相を経路とする物質輸送がAl不純物によって促進されたためと考えられ, Al不純物の影響は焼結体を構成する多形が4Hに富んでいたことで裏づけられた.
  • 頓行 宏
    1980 年 88 巻 1016 号 p. 168-175
    発行日: 1980/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    R2O-MgO-B2O3系 (R=Li, Na, K) ガラス中に溶存させたVO2+の光吸収スペクトルを測定し, Na2O-MgO-B2O3系ガラスに関するNMRからの知見を参考にして, それらガラス系におけるマグネシウムの存在形態を検討した. その結果, ガラス中のマグネシウムは, アルカリイオンと同様, ガラスの網目構造を修飾するイオンとしても振る舞うが, 一部はガラスの網目構造に入り, その網目結合中のπ電子の非局在化に寄与し得る構造群を形成すると考えれば, 光吸収スペクトルのガラス組成依存性が説明できることが分った. また, それらガラス系における3配位ホウ素の4配位化は, ガラス中のマグネシウムイオンとアルカリイオンの電場に基づくポテンシャルやR2OとMgO含有率に支配されることが考えられた. なお, ガラスの網目構造中に入ったマグネシウム原子 (Mgnet) の構造群としては, Mgnet-O結合にπ性が認められたことから, 四角平面型の結合形態をとった [MgO4] 群が考えられた.
  • 飯泉 清賢, 久高 克也, 花澤 孝, 北 均
    1980 年 88 巻 1016 号 p. 175-178
    発行日: 1980/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    酸化チタンと金属チタンの混合粉末より出発し, 1350℃, 真空度10-4Torrで本焼結したO/Ti=0.91-1.11の非化学量論組成のTiO焼結体の物理的諸性質及び微構造を支配する諸因子について調べ, 次の結果を得た.
    (1) 生成相は主として立方晶TiO相であるが, TiO0.94-TiO1.02では複雑な規則格子構造のTiO相がわずかに生成し, このため格子ひずみが増加する. (2) TiO相の酸素濃度の減少とともに結晶の大きさは増加し, 見掛け密度も増加する. (3) TiO相の酸素濃度の減少とともに焼結体の硬さ, 曲げ強さは増加するが, これは格子ひずみの効果によると考えられる. (4) 電気抵抗は, TiO0.94-TiO1.02ではほぼ一定, O/Ti>1.02では酸素濃度の増加とともに増加する. (5) 焼結体の研磨面の色調は, TiO相の酸素濃度の増加にしたがって色相 (2.5Y) は変化しないが, 明度は低下する.
  • 井原 将昌, 弓削 雅司, Jan KROGH-MOE
    1980 年 88 巻 1016 号 p. 179-184
    発行日: 1980/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    B2O3とLiFを白金るつぼ中で750℃, 10h加熱し, 気相の介在する反応を利用して, Li2O・3B2O3の単結晶を合成した. この結晶を用いて, X線回折法によりその結晶構造を研究した. ワイセンベルグ写真の逆格子はん点の消滅則よりこの結晶の空間群は斜方晶系のPna 21又はPnamであると判定した. 単位格子の大きさはa=8.4473±0.0007Å, b=7.3788±0.0006Å, c=5.1395±0.0005Åである. 式量単位数を2としたときの理論密度2.48g/cm3, 密度実測値は2.40g/cm3である. Picker自動単結晶回折計を使用し, CuKα線によって298面の回折データを集め, これに基づいて, 信頼度因子0.097の構造を得た. この結晶の陰イオン原子群は三ホウ酸塩群のみで構成されている. この三ホウ酸塩群は頂点で互いに結合しあってc軸に平行なら旋鎖を形成している. 更に, これらのら旋鎖はB-O結合によって連結して3次元無限網目を形成している.
  • 山口 明良
    1980 年 88 巻 1016 号 p. 184-190
    発行日: 1980/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    高純度Cr2O3粉末成形体の炭素粉末中における焼結について, 1000°-1500℃の範囲で調べた.
    出発原料粒子が微細な時 (平均で0.5μm程度), 初期に急激な収縮が生じた. 1350℃以下では, 初期焼結は体積拡散機構で起こった. しかし, 70-90分後に温度に応じた一定収縮値になった後には収縮しなくなり, 焼結は蒸発-凝縮機構で進んだ. 最終収縮値の対数は温度とともに直線的に増大した.
    1400℃以上では, 20-35分後に異常粒成長が生じ, 閉口気孔が焼結体中に残された. 同時に少量のCr2(C, N) 結晶が粒界に析出した. 出発原料の粒子径が大きくなると, 収縮速度は遅くなり, 析出Cr2(C, N) の量は増加した. 更に最終焼結体中の粒径は小さくなった. この粒成長は析出するCr2(C, N) によって抑制されたようであった. その結果, 気孔のないほとんど理論密度の焼結体が得られた. しかしながら, 平均粒子径が4.5μm以上になると, もはや1500℃の焼成でさえほとんど収縮しなかった.
  • 高屈折率ガラスの着色に関する研究, 第1報
    金 炳勲, 山根 正之
    1980 年 88 巻 1016 号 p. 191-196
    発行日: 1980/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    高屈折率ガラスにおいて不純物の影響を除いた紫外部吸収端とガラス組成あるいはそのガラスの固有の物性との関係を調べるため, 含鉛ケイ酸塩, ホウ酸塩及びゲルマン酸塩の2成分系において非常に純度の高いガラスを作製した. その光学的物性は次のとおりである.
    (1) 超高純度ガラスは一般のガラスに比べ, 同一吸光度を与える波長が短波長側にあり, 比較する吸光度が小さいほど, またPbO含有量の多いほどそれが顕著になる.
    (2) 超高純度ガラスの紫外部吸収端は同じ系ではPbOの含有量の増加によって長波長側へシフトし, PbOの含有量が同じならB2O3<SiO2<GeO2の順で長波長側へシフトする.
    (3) 屈折率と分散が大きいガラスほど紫外部吸収端が長波長側にある.
    (4) 超高純度ガラスでは固有吸収帯のすそにおける吸光度に対する不純物の影響は無視しうるほど小さく, ある吸光度を与える波長は固有吸収波長を用いて近似的に記述でき, これより1cmの厚みの鉛含有ガラスの透過率が80%になる短波長限界をガラスの固有吸収波長を用いて表すことができた.
  • 安江 任, 椎野 宏明, 荒井 康夫
    1980 年 88 巻 1016 号 p. 197-203
    発行日: 1980/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Ca(OH)2懸濁液にSO2ガスを吹き込む方法において生成する亜硫酸カルシウム半水和物 (CaSO3・1/2H2O) のX線回折図形中に多数の未知ピークが出現することに注目して, これらの新相の生成条件, その結晶学的形態及び諸性状について詳細に検討した.
    この新相はCa(OH)2懸濁液の温度とSO2ガス流速などの合成条件によって2相 (I及びII相とする) に分離することができる. しかし, IあるいはII相を含むCaSO3・1/2H2Oの化学組成はSO3 0.6-0.8%, H2O 6.8-7.0%であり, X線回折図形中の未知ピークに該当する他のカルシウム化合物が見当たらない. したがって, 新相の形態はCaSO3・1/2H2Oと同質多形の生成に起因することが示唆された. また, I及びII相の晶系はX線回折からHull-Davey図表を使用することによっていずれも六方晶系に属することが明らかとなった. 新相の単位格子はI相 (りょう面体型格子) でa=17.08Å, c=15.46Å, II相 (単純三方型格子) でa=6.773Å, c=12.94Å, それゆえ2相の結晶構造は本質的に相違する. また, I相はCaCl2-Na2SO3系の湿式反応によっても生成するが, II相は生成しない. このことは新相中には2形態が存在することをよく裏づけている.
  • 西川 直宏, 北島 圀夫, 浅賀 喜与志, 大門 正機, 近藤 連一
    1980 年 88 巻 1016 号 p. 204-212
    発行日: 1980/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    フッ素四ケイ素雲母系固溶体 [(NaxK1-x)Mg2.5Si4O10F2] 及びフッ素ヘクトライト系固溶体 [(NaxK1-x)1/3Mg8/3Li1/3Si4O10F2] (0≦x≦1) の合成を試み, その固溶限界, 各固溶体の熱的安定性, 結晶析出過程及び膨潤特性について, 粉末X線回折法, DTA及びSEMを用いて検討した. 更に前報のテニオライト系固溶体 [(NaxK1-x)Mg2LiSi4O10F2] との比較検討も行った.
    フッ素四ケイ素雲母系及びフッ素ヘクトライト系は, テニオライト系と同様に限定固溶系をなし, 二つの型の固溶体雲母 (K型固溶体, Na型固溶体) が生成する. これら2相の固溶体雲母が共存する組成領域は, フッ素四ケイ素雲母系, テニオライト系, フッ素ヘクトライト系の順に広がるが, この相違は主にK型固溶体側で起こる. またNa型端成分へのK+イオンの固溶限界は, いずれの系においても, 約15mol%程度であった.
    各系の結晶析出過程は, テニオライト系と著しく異なり, フッ素四ケイ素雲母系におけるNa型固溶体は, 準安定相と考えられ, 平衡的な条件下では, K型固溶体, フッ素マグネシウムリヒテライト及びα-クリストバライトに分解する. 他方, フッ素ヘクトライト系においては逆に, まず非平衡的にフッ素マグネシウムリヒテライトが生成した後, これがNa型固溶体に変化する.
    膨潤性を示すのは, いずれの系でも, Na型端成分とNa型固溶体であり, かつ膨潤度は, K含有量の増加とともに減少した. なお, この膨潤度の減少傾向は, フッ素ヘクトライト系, フッ素雲母系, テニオライト系の順に著しくなった. これら膨潤特性の相違は, 層間イオン種のほかに, 層間イオン量, 8面体層の相違に起因すると考えられる. 更に, これらの組成面の相違は, Na型固溶体の熱的安定性や結晶析出過程にも影響を及ぼしている.
  • 高瀬 光寛, 佐多 敏之
    1980 年 88 巻 1016 号 p. 212-216
    発行日: 1980/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    NH3ガスとAlCl3水溶液の反応 (G-L法) により得られた粉体のDTA曲線上には360℃に鋭い発熱と引き続く吸熱が観測された. これらの変化はNH4OH水溶液とAlCl3水溶液との反応 (L-L法) によって得られた粉体では観測できなかった. その発熱ピークは不純物として含まれているNH4Clの結晶化熱であり, 吸熱ピークはNH4Clの昇華熱に相当する. 顕著な減量が吸熱ピークに対応してTG曲線上に観測された.
    非常に小さなピークがG-L法のDTA曲線上の710℃, 800℃に観測されたが, L-L法では観測できなかった.
    G-L法により作られた粉体を800℃に加熱したX線ピークはL-L法によるものよりかなり広がった. この広がりはG-L法による粉体の粒径が小さいためである.
  • 河本 邦仁, 水田 進, 柳田 博明
    1980 年 88 巻 1016 号 p. 217-227
    発行日: 1980/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ZnO-CoO-Al2O3及びZnO-NiO-Al2O3系スピネル固溶体のZnOの蒸気圧を, クヌーゼン分子流出法により1330°-1530℃の温度範囲で測定した. Znイオン, 陽イオン空位の濃度と, スピネル格子中での分布をZnOの蒸気圧と関係づける式を, 中野の方法に従って導き, この式により陽イオン空位濃度に対するZnO蒸気圧の依存性が満足に説明された. また蒸発エンタルピーの値から, ZnOの蒸発メカニズムに対する二, 三の推論を行った. 更に, ZnOの濃度と蒸気圧の関係を調べる実験を行ったが, ここで導出した式では簡単に結果が説明できず, 式中のエンタルピー項を結晶構造と関連づける努力が必要であることを提案した.
  • 1980 年 88 巻 1016 号 p. A18-A24
    発行日: 1980/04/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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