窯業協會誌
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88 巻, 1018 号
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  • 三橋 武文, 高橋 洋一
    1980 年 88 巻 1018 号 p. 305-311
    発行日: 1980/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    99.99%の純度のルチルの単結晶の熱容量をレーザーフラッシュ熱量計を用いて80Kから1100Kまで測定した. データの再現精度は800K以下では±0.5%, 800-1100Kでは±1%以内であり, データの不確実さも同程度と推定された. データの平滑値はJANAF Tables (1975) の値と130-700K間では±0.7%, 700-1100Kでは-0.3--0.7%以内で一致した.
    ルチルの高温定積熱容量 (〓400K) は一つずつのデバイ及びアインシュタイン項, 更に温度の1次式で示される負の非調和項の和として表現できた. この際, アインシュタイン温度として607Kが求められ, また, 非調和項の温度の係数として-1.24×10-3J・mol-1・K-2が得られた.
    非調和項の大きさは, 格子振動の代表的なモードの振動数の温度変化率と半定量的に結びつけられる. その結果, 熱容量の非調和項に最も大きく寄与をするのはA2uモードで, 非調和項が負であるのはA2uモードがソフト化することに支配された結果であると考えられる.
  • 石間 健市, 元山 宗之, 橋詰 源蔵, 田中 稔
    1980 年 88 巻 1018 号 p. 312-316
    発行日: 1980/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    いぶし瓦の製造でみられる表面汚染物を分析し, その予防策を検討した. 汚染により製品表面の光沢が低下する. 赤外線吸収スペクトル, ガスクロマトグラフ及び質量分析計による測定の結果, 汚染物質は主として芳香族化合物であり, 2-4個の縮合環で構成されていた. 燻化ガスの炭化水素ガス濃度の増大につれて汚染量も増加した. 製品での汚染は冷却過程で煙道に残存する燻化ガスと400℃近辺で接触することで発生する. 希釈した燻化ガスの使用により汚染防止ができた.
  • 佐佐 嘉彦, 宇田 応之
    1980 年 88 巻 1018 号 p. 316-321
    発行日: 1980/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    一軸板状配向したヘキサフェライト系磁石の異常な回折強度を, 著者らが開発したテクスチャーパターン法により, 配向度の関数として説明することに成功した. この方法では, 配向体内の微結晶の分布を, 基本的にはガウス型であると近似し, 試料の配向度を二つのパラメーターによって定量的に表した. 同法の解析によれば等方性と呼ばれている試料でさえも, 完全な無配向体とは見なし得ないことが分った. また, この方法では, 回折線の重なりをも勘案しているので, Lotgering法よりも正確な配向度を見積もることができる.
    5種のヘキサフェライト磁石について, テクスチャーパターン法で見積もった配向度と, 磁気測定から得られる配向の指標Br/4πMsとの間, 及び, 最大エネルギー積 (BH)maxとの間に, いずれも良い直線関係が得られた.
  • 水野 正雄, 野口 哲男
    1980 年 88 巻 1018 号 p. 322-327
    発行日: 1980/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ヘリオスタット式太陽炉を用いて試料を溶融した後急冷し, その際の冷却曲線から試料の凝固点を求め, Al2O3-Yb2O3系の液相線を決定した. 溶融後急冷した試料についてX線回折及び化学分析を行い生成相を調べた.
    ガーネット構造の3Yb2O3・5Al2O3の単一相は, 1600℃に加熱処理した試料と溶融後急冷した試料とに観察された. 単斜型の2Yb2O3・Al2O3の単一相は, 1700℃に加熱処理した試料と溶融後急冷した試料のいずれにも認められた.
    3Yb2O3・5Al2O3及び2Yb2O3・Al2O3の凝固点は, 2000±20℃及び2002±20℃であった. これら化合物の格子定数は, それぞれa0=11.951Å及びa0=7.278Å, b0=10.310Å, c0=11.040Å, β=108.30°であった.
    これらの化合物は高温X線回折の結果, 結晶転移は認められず安定相であった.
    Al2O3-Yb2O3系における共晶点は, Yb2O3が18mol% (1845℃), 52.5mol% (1875℃) 及び82mol% (1890℃) 組成で認められた.
    Al2O3, 3Yb2O3・5Al2O3及び2Yb2O3・Al2O3の冷却曲線は冷却の進行に伴い過冷却現象が現れ, 次いで凝固による発熱現象が明瞭に観察された. 一方, Yb2O3の冷却曲線は, 冷却の過程において凝固点と固相における構造変化を示す2個の発熱ピークが認められた.
    これらの結果から, Al2O3-Yb2O3系に対する高温平衡状態図を推定した.
  • 山本 和直, 熊田 虔, 並河 洋
    1980 年 88 巻 1018 号 p. 327-330
    発行日: 1980/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    CdOを含む酸化物ガラスは, 吸収端に相当するフォトンエネルギーをもつ光にさらされると, 顕著な光伝導性を示す. このことから, 暗中での電気伝導も電子的過程で生じることが期待される. このタイプのガラスの電気伝導の機構を知ることを目的として, 47.5CdO・47.5SiO2・5Na2Oガラスの電気伝導と誘電緩和を測定した.
    バンド間遷移を仮定して電気伝導の活性化エネルギーから計算されるエネルギーギャップに比べて, オプティカルギャップははるかに大きかった. イオンの拡散運動によって生じ, 電気伝導と密接に関連した誘電緩和が観察された. これらの結果とこのガラスがNa+イオンを含むことから, 電気伝導はNa+イオンの輸送過程に起因すると結論される.
  • 温度域による生成物の状態について
    斎藤 肇, 山井 巌
    1980 年 88 巻 1018 号 p. 330-336
    発行日: 1980/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    含フッ素ケイ酸塩融体と炭素との反応により発生した気相種よりのβ-SiCウイスカーの気相成長を広い温度範囲で研究した. ここでは, キャリアーガス及び吸引の二つの方法で, 反応ガスを発生室から反応域へ導いた. 流動法では, ArガスをSiOのキャリアーガスとして用い, このSiOはSiO2-NaF融体と炭素との1350℃又は1400℃での反応で発生させた. 1350℃から800℃の温度範囲の黒鉛基板上に, このSiOガスとCOガスの反応により, β-SiCウイスカーは広い温度範囲に生成した. 同時に, Arの高流速の時には, 炭素が中間の温度域で, ケイ素がより低い温度域でCOとSiOの不均化反応により, それぞれ析出した. 更に, ガラス状の物質が最も低温側に析出した.
    吸引法の場合には, SiOガスは1450℃でのSiO2-Na3AlF6融体とCとの反応により生成した. この場合, AlF3ガスが融体内部から大気圧以上で発生するはずであり, これはSiOガスの発生を促進することになろう. SiOとCOの反応により, 多量のβ-SiCウイスカーが1350℃から1190℃の反応域に生成した. この時, Na3AlF6のSiO2に対するモル比は約1で, 吸引はわずかに減圧で行った. 以上の結果を熱化学データから詳細に考察した.
  • 高橋 克明, 三浦 嘉也
    1980 年 88 巻 1018 号 p. 337-345
    発行日: 1980/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ナトリウムホウ酸塩融液におけるCd2+, Ni2+, Co2+及びCr6+イオンの拡散係数, 更にアルカリ土類ホウ酸塩, リチウム及びカリウムホウ酸塩融液におけるNi2+イオンの拡散係数は, 測定されたほとんどすべての組成について, 非アレニウス的挙動を示したので, “修正されたFulcher式”, log (D/T1/2, η/T1/2, λT1/2)=A+B/(T-T0) による評価を試みた. “修正されたFulcher式” を満足するT0は, 拡散, 粘性及び電気伝導について, いずれの系においても存在することが確認された. 得られたT0はガラス転移温度より低温であり, Tg/T0は1.2前後の値であった. また, Na2O-B2O3系での種々のイオンの拡散に対するT0は40K以内で一致した. Ni2+イオンの拡散に対するジャンプ距離は5-10Åの範囲の値であった. また, Na2O-B2O3系での拡散については5-13Å程度の値が得られた. 一方, 粘性から得られたアルカリホウ酸塩の流動単位の大きさは約4Åであり, BO3又はBO4のような比較的小さな単位で移動する可能性があるとの知見を得た.
  • 加藤 哲郎, 平野 真一, 吉村 昌弘, 宗宮 重行
    1980 年 88 巻 1018 号 p. 345-352
    発行日: 1980/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    窒素1気圧中, 1600℃におけるCr-B-N 3成分系の反応及び相関係が研究されている.
    領域Cr5B3-B-Nにおいて, CrとBNあるいはCr2NとBNの反応及びCrBあるいはCrB2の熱分解反応により, Cr5B3が最終生成相 (平衡相) として生成した. 領域Cr2B-Cr5B3-Nにおける最終生成相はCr2BとCr5B3であり, 領域Cr-Cr2B-Nにおける最終生成相はCr2NとCr2Bであった.
    それゆえ, 窒素1気圧, 1600℃におけるCr-B-N 3成分系の等温断面図は三つの3相領域; Cr2N-Cr2B-N, Cr2B-Cr5B3-N及びCr5B3-BN-Nに分けられた. また, 格子定数の測定結果は, 窒素と共存している固相間; Cr2N-Cr2B, Cr2B-Cr5B3及びCr5B3-BNにおける固溶関係がほとんどないことを明らかにした.
  • 猪股 吉三, 田中 英彦, 井上 善三郎, 川端 治雄
    1980 年 88 巻 1018 号 p. 353-355
    発行日: 1980/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    SiC-Al4C3-B4C 3成分系の1800℃における相関係を実験により調べた. 3元系のカーバイドとして, Al4SiC4, Al4Si2C5及びAl8B4C7がこの系で生成し, Al4B8C7は, 1780℃でかなり多量の液相を生成する. Al4Si2C5はSiC-Al4C3 2成分系よりもホウ素を含むSiC-Al4SiC4-Al8B4C7偽3成分系で明りょうに生成した. この化合物はSiC-Al4C3 2成分系では不安定であった. 平衡関係はSiC-B4C-液相, SiC-Al4SiC4-液相, Al4C3-Al4SiC4-液相で表されるものと予測される. この系におけるAl4Si2C5の安定性は不明である.
  • 丸田 俊久, 武井 明彦, 須藤 儀一
    1980 年 88 巻 1018 号 p. 356-358
    発行日: 1980/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 笠井 清, 窪田 吉孝, 月舘 隆明
    1980 年 88 巻 1018 号 p. 358-359
    発行日: 1980/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 88 巻 1018 号 p. A32-A38
    発行日: 1980/06/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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