含フッ素ケイ酸塩融体と炭素との反応により発生した気相種よりのβ-SiCウイスカーの気相成長を広い温度範囲で研究した. ここでは, キャリアーガス及び吸引の二つの方法で, 反応ガスを発生室から反応域へ導いた. 流動法では, ArガスをSiOのキャリアーガスとして用い, このSiOはSiO
2-NaF融体と炭素との1350℃又は1400℃での反応で発生させた. 1350℃から800℃の温度範囲の黒鉛基板上に, このSiOガスとCOガスの反応により, β-SiCウイスカーは広い温度範囲に生成した. 同時に, Arの高流速の時には, 炭素が中間の温度域で, ケイ素がより低い温度域でCOとSiOの不均化反応により, それぞれ析出した. 更に, ガラス状の物質が最も低温側に析出した.
吸引法の場合には, SiOガスは1450℃でのSiO
2-Na
3AlF
6融体とCとの反応により生成した. この場合, AlF
3ガスが融体内部から大気圧以上で発生するはずであり, これはSiOガスの発生を促進することになろう. SiOとCOの反応により, 多量のβ-SiCウイスカーが1350℃から1190℃の反応域に生成した. この時, Na
3AlF
6のSiO
2に対するモル比は約1で, 吸引はわずかに減圧で行った. 以上の結果を熱化学データから詳細に考察した.
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