窯業協會誌
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90 巻, 1046 号
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  • 金子 泰成, 中村 英樹, 山根 政博, 杉之原 幸夫
    1982 年 90 巻 1046 号 p. 557-562
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ガラス中に存在する異なった結合状態の酸素を識別することができるESCAは有力な分析法である. しかしESCAスペクトルを分離解析する場合, ガウス関数又はローレンツ関数や他の関数を用いるかが問題となる.
    アルカリ及びアルカリ土類ホウ酸ガラスのO1sスペクトルを解析することによって, 同ガラス中に存在する酸素の状態分析を行い以下の結論を得た. なおO1sスペクトルは, 非線形最小2乗法を用いて二つ又は三つのガウス関数で近似した.
    (1) アルカリホウ酸系においては, 蓄積域では〓B3-O-B3〓結合と〓B3-O-B4〓結合が, 切断域においては〓B3-O-B4〓結合と〓B3-O-結合が存在する可能性が高く, 〓B4-O-B4〓結合の存在する可能性は低いと思われる.
    (2) アルカリ土類ホウ酸系では, 蓄積域においては〓B3-O-B3〓結合と〓B3-O-B4〓結合及び〓B4-O-B4〓結合が存在する可能性が高いと考えられる. 切断域においては, 〓B3-O-B4〓結合及び〓B4-O-B4〓結合と〓B3-O-結合が存在する可能性が高いと考えられる.
  • 露木 尚光, 笠井 順一
    1982 年 90 巻 1046 号 p. 562-569
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    CaSO4・2H2O, Ca(OH)2が共存したときのCaO・Al2O3の水和, 特にCa(OH)2が存在したときのエトリンガイトの挙動を検討した. これは3CaO・Al2O3の場合にも重要な情報を与える. 本報では固-液間の相互関係を解析し, 次のような結論を得た.
    CaO・Al2O3にCa(OH)2を混合すると水和直後に4CaO・Al2O3・13H2OとAl(OH)3ゲルとが生成される. その量比はCa(OH)2の添加量によって変動し, 凝結は瞬結にも過遅延にもなり, 未水和粒子表面にAFm相を形成する. これにCaSO4・2H2Oが存在すると凝結は遅延される. この原因は, Ca(OH)2のCa2+のみならず, 同種イオンであるCaSO4・2H2OのCa2+及びSO42-とも急速に反応してエトリンガイトを生成するため, CaO・Al2O3から溶出されるAl(OH)4-を消費するからである. エトリンガイトを生成するにはCaO・Al2O3から溶出される3molのCa2+に対して, 2molのAl(OH)4-があれば十分で, それ以上は反応に寄与しないで爆発的な溶出となって現れる. この時点でAFt相の形成は顕著になり, 残存Al(OH)4-はその後Al(OH)3ゲルに変わる. したがって, 3成分共存の初期水和は, 生成する4CaO・Al2O3・13H2O及びエトリンガイトの結晶性水和物とAl(OH)3ゲルとの量化によって著しく変動する. Ca(OH)2の存在はAFt相の形成, 更にはモノサルフェイトへの転化を促進する.
  • 木下 真喜雄, 板谷 清司
    1982 年 90 巻 1046 号 p. 570-575
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    酸化マグネシウムに二リン酸ケイ素を0.1-3.0mol%添加したときの焼結について, 昇温法 (昇温速度10℃・min-1, 室温~1400℃) 及び定温法 (1400℃, 5h) によって検討した. 昇温法では熱膨張計で収縮率を測定し, 定温法では焼成体のかさ密度を調べた. また両法で得られた焼成体の微細構造を調べた.
    昇温法による焼結結果は定温法の結果とほぼ一致した. 昇温法において, SiP2O7添加MgO試料の収縮率曲線はMgO単味試料の曲線に類似していた. しかしながら, SiP2O7を添加した試料の収縮は初期及び中期過程 (900°-1300℃) で遅れ, 最終過程 (1300°-1400℃) で促進された. 一方, 定温法におけるMgO試料のち密化はSiP2O7の添加量の増加につれて抑制されたが, SiP2O7 0.1mol%添加MgOのち密化はMgO単味のものと同程度であった. 焼結中の反応生成物は無定形相, Mg2SiO4, Mg3(PO4)2及びSiO2 (α型石英) であった. ペリクレースの粒成長はこれら生成物によって1300℃まで抑制された. また, 1300℃以上で生成する微量の液相によってMgOのち密化と粒成長が促進された.
  • 山本 和直, 熊田 虔, 並河 洋
    1982 年 90 巻 1046 号 p. 576-585
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    CdOを含む酸化物ガラスの光伝導とフォトクロミズムの関係を調べるために, 47.5CdO・47.5SiO2・5Na2Oガラスの光電流と光吸収を同一試料で同時に測定した. 顕著な光電流と着色は, ともに吸収端付近の光によって誘起される. また, 着色を誘起する光による光電流たは, 非常に長い応答時間をもつ成分が観察される. 特に立ち上がり応答における長い応答時間をもつ光電流成分は, 定常値付近を除いて, 着色の大きさと光強度に比例する.
    このガラスの光伝導がバンド型の電子伝導であることを前提として, 実験結果の解釈を試みた. ガラス中に含まれる何らかの捕獲中心が光電子を捕えて着色中心を形成し, また捕獲された電子が光によって伝導帯へ再励起されるとして, 光伝導とフォトクロミズムの密接な関係を説明することができる. また, 電子遷移の確率が1分子反応型の速度式に従うと仮定して着色と光電流の立ち上がり応答を計算すると, 計算結果と実験結果はかなり良く一致する.
  • 作花 済夫, 神谷 貴志, 神谷 寛一
    1982 年 90 巻 1046 号 p. 585-593
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Eガラス (微量のアルカリを含むカルシウムアルミノホウケイ酸塩ガラス) の低温粘度に対する微量の水分の影響を研究した. 1400°-1450℃の高温で溶融ガラス中に水蒸気を吹き込むか, その雰囲気にさらすことによってガラス中の水分含有量を増し, また乾燥窒素を吹き込むか, その雰囲気にさらすことによって水の量を減少し, 水分含有量が0.0014wt%-0.105wt%の範囲のガラスを作った. 赤外スペクトルの測定の結果Eガラスでは水分含有量の変化が起こるとともにこれらの処理でB2O3含有量に変化が起こることが分った. したがってEガラスの粘度に対する水の含有量の影響を明らかにするために, B2O3含有量の異なるガラス及びアルカリ含有量の異なるガラスを作って粘度に対するそれらの含有量の影響を明らかにし, そのデータに基づく補正を加えた. その結果, 水はソーダ石灰ガラスの場合と同様Eガラスの粘度を著しく低下させることが分った.
  • 小久保 正, 平田 俊夫
    1982 年 90 巻 1046 号 p. 593-597
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    10NaO0.5, 20BaO, 20AlO1.5, 50TiO2, 0.5ZnO組成 (モル比) のガラスを, 室温から750°-950℃の種々の温度まで5℃/minの速度で加熱処理すると, 同ガラスは750℃以上の温度まで加熱処理したときにフォトクロミズムを示し, 900℃以上の温度まで加熱処理したときに不透明になった. したがって, 750°-850℃まで加熱処理した試料は, 透明-半透明で, しかもフォトクロミズムを示した. 暗化度 (光学密度差) は, 900℃まで加熱処理したときに最大となり, 0.25であった. この試料を暗化させるのに, 最も有効な光の波長は400nmであった. 暗化度は, 室温では減少しにくいが, 160℃では約1.5分で1/2になった. その退色の活性化エネルギーは0.27eVであった. 室温での退色は, 600nm以上の波長の光を照射することにより促進された.
  • 植松 敬三, 木枝 暢夫, 桜井 修, 水谷 惟恭, 加藤 誠軌
    1982 年 90 巻 1046 号 p. 597-603
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    本研究ではTiNx (x=0.67-0.95) の不定比性が焼結性に及ぼす影響を1026°-1392℃の温度範囲で検討し, 不定比性の減少に従って焼結速度が著しく低下することをみいだした. 実験結果に初期焼結の理論式を適用して焼結を律速する原子種の拡散係数を概算したところ, 実験条件内において不定比性の変化に従って拡散係数が数けた変化することが分った. 拡散係数と欠陥の濃度との関係について詳しく検討し, TiNxの焼結は体積内における窒素の拡散によって支配されることを推察した.
  • 渋谷 徹
    1982 年 90 巻 1046 号 p. 603-609
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Mg-Alの合金ペレットを使用して純水中で火花放電を行い, その水和化合物を合成した. 反応生成物は主として1-2μmの多角形板状粒子を含むものであったが, これら粒子は加熱処理によって徐々に崩壊し約1100℃でスピネル単一相の0.1-0.2μmの均一微小粒子を形成した.
    粉末X線回折及び熱分析より求めた同粉末の挙動はMgとAlそれぞれの金属ペレットを用いて同法によって製造されるMg(OH)2とAl(OH)3のスピネル化学量論組成の混合物とは明らかな相違を示した.
    化学分析では, 不純物量及びMgO:Al2O3の組成比率につき原料合金組成より算出される各値とほぼ一致した. 総不純物量は0.1wt%以下であった.
    更に加熱処理粉末の焼結特性についても一部試験を行った. この焼結用試料として調製した1000℃及び1100℃熱処理粉末の1000kg/cm2加圧成形体は, 添加物を全く含まず, しかも1.60g/cm3以下の低い圧粉体密度であるにもかかわらず, 1500℃, 3時間保持の常圧酸化雰囲気条件下で3.5g/cm3の比較的高い焼結体密度値を示した.
  • 宮田 謹一, 澤岡 昭
    1982 年 90 巻 1046 号 p. 610-615
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    チタン又はジルコニウムを放電爆発させる際, これに接して炭素, ホウ素, 窒化ホウ素をおくことによって, 炭化物, ホウ化物, 窒化物が生成することを明らかにした. 以下の組み合わせによる実験を行った. (1) チタンはく (箔) とフェルト状に成形した炭素繊維, (2) チタン又はジルコニウムのはく (箔) とホウ素粉末, (3) チタン又はジルコニウムのはく (箔) と窒化ホウ素粉末. 基板に付着した生成物のX線回折の結果, それぞれに対応して, (1) TiC1-x, (2) TiB2及びZrB2, (3) TiN1-xとTiB2の混合物及びZr(N, B)1-xとZrB2の混合物が生成することが分った. 放電爆発装置に取り付けた溶射材のモル比に対する微小ビッカース硬さ, HvとX線回折図形よりその反応の最適条件を求めると, (1) 溶射材のモル比, C/Ti=2でHv≒2500kg/mm2, (2) B/Ti=6でHv≒3100kg/mm2, B/Zr=8でHv≒2800kg/mm2, (3) BN/Ti=4/3でHv≒2100kg/mm2, BN/Zr=2でHv≒1900kg/mm2であった. X線回折はホウ素との反応物が一番鋭く, 次いで炭素との反応生成物であった.
  • 梅林 正気, 岸 和司, 小林 和夫, 宮崎 憲治, 大山 隆
    1982 年 90 巻 1046 号 p. 615-621
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    α-Si3N4, AlN及びα-Al2O3を出発原料として, 熱間加圧焼結法により製造したSi6-zAlzOzN8-zz=3近傍組成のβ-サイアロン焼結体の室温及び1400℃における曲げ強度の測定及び破断面の観察を行い次の結果を得た.
    (1) z=3単相領域より酸素を多く含むβ-サイアロン焼結体中の結晶相は, β-サイアロンと少量のX相であり, 室温における曲げ強度は約26kg/mm2であった.
    (2) z=3単相がそれより窒素を多く含む側に出発原料の組成が移行するにつれて, β-サイアロン中の結晶相は, β-サイアロン単相からβ-サイアロン+少量の15R-AlN相へと移行した. β-サイアロン単相及びβ-サイアロン+15R-AlN相からなる焼結体の室温における曲げ強度は, 30-35kg/mm2であり, β-サイアロン+X相からなる焼結体と比較し, 約30%の増加があった.
    (3) z=3近傍組成のβ-サイアロン焼結体の1400℃における曲げ強度は, いずれも室温強度の約90-95%にあり, 高温における強度の低下は少ない.
    (4) 各焼結体とも, 破壊の発生源として, 焼結体内の黒い斑点の存在が認められた.
    (5) 焼結体の破断面の微構造は, いずれも粒内破断が支配的であるが, 室温ではβ-サイアロン単相組成より酸素を多く含む組成をもつ焼結体に, また, 室温破断試片より1400℃破断試片に, 粒界破壊の部分が多く見受けられた.
  • 山根 正之, 井上 悟, 中沢 桂一
    1982 年 90 巻 1046 号 p. 622-624
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 藤木 良規
    1982 年 90 巻 1046 号 p. 624-626
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 90 巻 1046 号 p. A59-A64
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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