窯業協會誌
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91 巻, 1050 号
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  • A型ゼオライトからのウルトラマリン合成過程の研究 (第2報)
    石田 信伍, 藤村 義和, 藤吉 加一, 若松 盈
    1983 年 91 巻 1050 号 p. 53-62
    発行日: 1983/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ウルトラマリンはLinde Aモレキュラーシーブ (MS5A, MS4A) から, 以下の操作を経て合成される. (1) Na2S飽和水溶液中でMSにNa2Sを含浸させ, 生成したMS-Na2Sの乾燥, (2) 500℃におけるMS-Na2S上の硫黄の吸着, (3) MS-Na2S-S (500℃) の820℃への加熱及び (4) MS-Na2S-S (820℃) の500℃以上での空気酸化.
    上記操作におけるNa2S, S及びH2Oの化学的役割を明らかにするために構造及び機構論的研究がなされた.
    MS-Na2S-S (500℃) のX線回折パターンは700°-820℃まで昇温すると (17℃/min), ウルトラマリンのそれに変化した. MS4AとMS4A-Na2Sを800℃まで加熱したらカーネギー石が生成した. 上述の事実は, 約700℃でαケージ中のNa2Sxがβケージに押し込まれ, βケージ中の2Sxの存在はβケージの崩壊を妨げていることを示唆する. 2Sxが約700℃でβケージの入口を通って移動することは, もしSO22Sxが共存すれば容易にSO2の分解反応が起こるが, これがMS-Na2S-S (820℃) 上で700℃から起こった事実によって確認された.
    ウルトラマリンの酸化においては, 分子状酸素は空気酸化過程で形成された硫黄酸化物よりも活性がなかった. 硫黄酸化物はβケージの狭い入口をほとんど通過できないから, 酸化は主として硫黄酸化物から生成した原子状酸素ラジカルあるいは・OHラジカルによってひき起こされていると推論するのが合理的である.
    500℃における空気酸化によって, MS-Na2S-S (820℃) から得られたウルトラマリン中に・O2Hと帰属することができるESRシグナルが認められた. この事実は空気酸化過程における・OHラジカルの存在を示唆する.
    MS4A-Na2S-S (820℃, S: 5wt%, 黄色), 硫黄及びH2Oの混合物をN2気流下で800℃まで加熱するとH2Sの発生とウルトラマリンの青色の着色化が起こった. この場合, ウルトラマリンの硫黄含量は変化しなかった. H2Sの発生はH2Oからの酸化剤の生成を必然的に伴うから, これらの事実は, 高温及び硫黄存在下では, H2Oがウルトラマリンに対して酸化剤として機能することを示す.
  • 西野 忠, 山内 英子
    1983 年 91 巻 1050 号 p. 62-67
    発行日: 1983/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    前報に引き続き, 等モル比混合物CaSO4+SrCO3, CaSO4+BaCO3の加熱時における交換反応を調べた. また, 上記2系の単純交換生成物対に相当するCaCO3+SrSO4, CaCO3+BaSO4についても検討し相互固溶を考察した. 次いで, CaSO4に対するSrCO3とBaCO3との交換速度を比較するため等モル比固溶体 (Sr, Ba) CO3を作製し, CaSO4との交換反応に供試した.
    反応はCO2気流中で行い, 加熱試料のX線分析, HCl-CH3OHを用いた抽出液の陽, 陰両イオンの定量から反応過程を検討した. 得られた結果を要約すると,
    (1) CaSO4+SrCO3は前報のSrSO4+BaCO3と同様, 交換生成物同士が相互に少量ずつ固溶した2相を与え, CaSO4+BaCO3では両陽イオンの単純交換型で進行する. 交換開始温度, 交換率を比較すると後者の単純交換型が速い.
    SrCO3, BaCO3の粒径効果を除去するため固溶体 (Sr, Ba) CO3を用いても同様な結果が得られた.
    (2) 交換反応の駆動力は交換されるべき両陽イオンの半径の差に基づくものと考えられる.
  • 飯島 賢二, 丸茂 文幸, 武居 文彦
    1983 年 91 巻 1050 号 p. 67-72
    発行日: 1983/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    BaZnGeO4には室温以上の温度領域で, I, II, III相の三つの相が知られており, III相が室温相である. この結晶の相転移に伴う構造変化を単結晶X線回折法により調べ, 次の結果を得た.
    I相は六方晶系で, 空間群P6322に属し, 900℃における格子定数はaI=5.407 (2) Å, cI=8.975 (5) Åである. II相もまた六方晶系に属し, 空間群はP63で, 420℃における格子定数はaII=9.320 (1) Å, cII=8.866 (5) Åである. I相とII相の格子の関係はaI=2/3aII+1/3bII, bI=1/3bII-1/3aII, cI=cIIである. 格子定数及びX線回折強度の温度変化より, II相からI相への相転移点で, 大きな構造変化があることが明らかにされた, 相転移点をはさみ, 420℃, 710℃, 800℃, 及び900℃で構造解析を行い, それぞれR因子0.076, 0.062, 0.052及び0.061を得た. 構造はトリジマイト類似の3次元骨格構造を基本とし, II相においてもIII相と同様に4面体陽イオン席でのGe4+イオンとZn2+イオンの秩序配列がみられた. 原子間距離の温度変化から, 両イオンの無秩序化はII相からI相への転移点で急激に生ずることが明らかにされた.
  • 大田 陸夫, 加藤 哲也, 曽我 直弘
    1983 年 91 巻 1050 号 p. 73-81
    発行日: 1983/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    一定速度で冷却する過冷却液体から均一核生成と等方的結晶成長によって析出する結晶相の体積分率X(0) を与える理論式を導いた.
    過冷却液体のガラスの生成に関与する液体の動力学的パラメーターの役割を明確に示しかつ理解するためには, X(0) をこれらのパラメーターの簡潔な方程式で表すのが望ましく, X(0) の近似式を作成し, 提出した. この近似式においてX(0) を最小一定値に等しいとおくと次の式によってガラス化のための臨界冷却速度Q(K/s) を推定することができる.
    logQ≅-logηL-0.06Eη/TL-3T0/TL+2logTL
    -logV-38α3ΔSf-0.25logX(0)+5±0.5 (1)
    ηL (poise): 液相粘度, Eη (cal/mol): 粘性の活性化エネルギー, T0 (K): Fulcher式の定数, TL (K): 液相温度, V(cm3/mol): 分子容 (流動単位), ΔSf(cal/K・mol): 融解エントロピー, α: 0.3-0.5の定数.
    (1) 式は単成分液体に対して導いたものであるが, 定性的には多成分系にも適用できると考えて, B2O3-Na2O系の臨界冷却速度の実測値からΔSfを算出した.
  • 神崎 修三, 平尾 喜代司, 大津賀 望, 斉藤 勝一, 中川 善兵衛, 浜野 健也
    1983 年 91 巻 1050 号 p. 81-86
    発行日: 1983/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    硝酸マグネシウムと硝酸アルミニウムの化学量論組成スピネルの水-メタノール溶液を噴霧熱分解して得たスピネル粉末の性状について検討した.
    合成温度800℃以上で単一相のスピネル粉末が得られ, この粉末は粒子間に数十Åの細孔を有する数百Åの1次粒子が集合して中空の球状粒子を形成し, 更にそれらが集合した最大20μm前後の集合粒子からなる.
    集合粒子の大きさは, 溶液濃度が低いほど, また溶媒中の水含有量が少ないほど小さくなる傾向を示した.
    得られた粉末の細孔特性は溶液濃度にほとんど依存しないが, 溶媒中の水/アルコール比に依存し, この値が小さくなるほど比表面積, 細孔容積が増加する. またこの比の値の減少に伴い, 集合粒子は成形により壊れやすくなる.
    0.3M W50溶液を800℃で噴霧熱分解した結果, 比表面積109m2/gの微細な多孔質のスピネル粉末が得られた.
  • 芦塚 正博, 坂井 敏彦, 岩田 章
    1983 年 91 巻 1050 号 p. 86-94
    発行日: 1983/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    メタリン酸塩ガラスの密度, 弾性率, 硬度, 熱膨張係数を測定した. 平均モル容と修飾陽イオンの半径の3乗 (アルカリ金属では, 陽イオシ半径の3乗の3倍) の間には2組の直線関係が成立した. それらは, それぞれノーマルタイプ (Ca, Sr, Ba, Li, Na) 及びアノーマラスタイプ (Mg, Zn) のガラスに対応する. これらの直線の比較よりアノーマラスタイプはノーマルタイプより空げきの多い構造であると推測される. 各種弾性率の対数と平均原子容の対数の間には3組の直線関係が成立した. それらは, それぞれLi, Naグループ, Ca, Sr, Baグループ及びアノーマラスタイプのグループに対応する. 硬度と陽イオンー酸素間引力 (2Z/d2) の間にも2組の直線関係が成立した. それらはノーマルタイプ及びアノーマラスタイプに対応する. 熱膨張係数と陽イオンー酸素間引力の逆数の間には, ノーマル及びアノーマラスタイプというガラスの構造上の差違とは無関係に1組の直線関係が成立した.
  • 浜野 健也, 大矢 豊, 中川 善兵衛
    1983 年 91 巻 1050 号 p. 94-101
    発行日: 1983/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    チタン酸アルミニウムセラミックの機械的強度を改善するための基礎的研究として, 種々のアルミナとチタニアの等モル混合物からチタン酸アルミニウムセラミックを作製し, 微構造と曲げ強さの関係を調べた. 曲げ強さはいずれの原料を用いた場合も140kgf/cm2以下であった. 微構造は3-4μmの1次粒子が100-200μmの領域で結晶の軸方向をそろえて配向しているドメイン組織をしており, 個々のドメインの境界に大きいき裂が存在して, そのために曲げ強さが弱くなった.
    ドメインの大きさは急熱や合成チタン酸アルミニウム粉末を微量に添加することで小さくなり, これとともにき裂も小さくなり, 曲げ強さが大きくなった. チタン酸アルミニウムの生成反応は結晶核生成が律速であり, 最初に生成した結晶核を中心に結晶軸をそろえて合成反応が進行する. この反応速度が個々の粒子成長速度よりも著しく速いために, ドメイン組織を形成するようになるものと思われた.
  • 1983 年 91 巻 1050 号 p. A8-A12
    発行日: 1983/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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