窯業協會誌
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91 巻, 1053 号
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  • 高橋 克明, 尾坂 明義, 古野 隆一
    1983 年 91 巻 1053 号 p. 199-205
    発行日: 1983/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    xR2O・B2O3rSiO2系ガラス (0<x<1.3; r=1及び2; R=Na及びK) 並びにyNa2O・(1-y)B2O3系ガラスの弾性的性質をパルス伝ぱ法で測定した. ナトリウムホウ酸塩ガラス及び5mol% MgOを含むこの系のガラスの弾性率は (MgO+Na2O)/B2O3=0.5において最大値となった. この組成はこれらのガラス中の4配位ホウ素の割合N4N4=(MgO+Na2O)/B2O3の関係よりはずれる組成と一致する. したがって, 弾性率はN4が最大となる組成あるいは非架橋酸素の発生を告げるインジケーターとしての働きがあることが示唆される. このアルカリホウ酸塩系ガラス中での結果をホウケイ酸塩系ガラスに適用し, N4が最大となる組成の推測やK2OがNa2Oと同じ働きをしているかどうかの確認を行った. 体積弾性率と平均原子対体積とをlog-logプロットした結果から, ホウケイ酸塩系ガラスに関する前報のモデル (Takahashi et al., J. Non-Cryst. Solids, 印刷中) が確かめられた. またホウケイ酸塩系ガラスの弾性的性質に及ぼすSiO2含有量の影響について検討した.
  • 高塩 治男
    1983 年 91 巻 1053 号 p. 206-214
    発行日: 1983/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    結晶質の酸化物ソルダーによるサファイアとNb及びTa金属との封着を行った. そして封着界面部を光学顕徴鏡やX線マイクロアナライザーにより調べた.
    得られた結果は次のとおりであった.
    (1) 本酸化物ソルダー法はサファイアとNb及びTa金属とを真空気密に封着することができた.
    (2) 封着に使用される前のソルダーは, CaO, Al2O3, MgO, B2O3の各結晶で構成された混合物であった. このソルダーは封着後, 結晶化ガラスになった. 封着金属としてNb金属を使用した場合とTa金属を使用した場合とでは, このソルダーの結晶化の様相は異なっていたが, それらの結晶構成は同じであり, その主結晶は3CaO・Al2O3, CaO・Al2O3及びMgO・Al2O3であった.
    (3) NbとTa金属が使用された場合に, NbとTaのソルダー中への拡散状態は異なり, Nb濃度に比較して, Ta濃度は界面から約10μmまでについて比較的高かった. このことに関連して, 封着界面近傍部の様相等にも差がみられた. 封着時のNbとTa金属の酸化の差がこのような差異をつくったものと考えられた. そして, このことは熱化学的計算により確認された.
    (4) ソルダー成分のB2O3が封着及びその歩留まりに効果的に作用した.
    (5) サファイアとソルダーとの封着は, 封着時に溶融状態になっているソルダー中にサファイアが溶出拡散し, 遷移層をつくることにより完成されると解釈された.
    (6) Nb及びTa金属とソルダーとの封着は, Nb及びTa金属表面層が雰囲気中の酸素等により酸化され, 酸化ニオビウム, 酸化タンタルとなり, これらの生成された金属酸化物がソルダー中に溶出拡散し, 遷移層をつくることにより完成されると解釈された.
  • 黄 占杰, 横尾 俊信, 神谷 寛一, 作花 済夫
    1983 年 91 巻 1053 号 p. 215-221
    発行日: 1983/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    溶融法によって調製した微量 (0.004-0.177wt%) の水を含むLi2O-SiO2系ガラス粉末及び金属アルコキシド溶液の加水分解によって作ったリチウムケイ酸塩ゲル粉末の結晶化過程を示差熱分析, X線回折, 赤外分光法によって研究した. その結果, 水含有量が増すにつれて, ガラス転移温度及び核形成速度は低下し, 結晶成長速度は増加することを見いだした. また, 同一の酸化物組成でもガラスとゲルの結晶化過程は異なり, ガラスでは加熱の際に安定相のLi2Si2O5, ゲルでは準安定相のLi2SiO3が析出することが分った. いったん溶融してガラスにすると, 出発原料が炭酸塩又は酸化物結晶性粉末であるかゲルであるかに関係なく似た水含有量のガラスは似た結晶化挙動を示すことが確かめられた.
  • 山本 雄二, 牧田 研介, 神谷 寛一, 作花 済夫
    1983 年 91 巻 1053 号 p. 222-229
    発行日: 1983/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    光吸収スペクトルを測定することによって, ゾルゲル法で作製した遷移元素酸化物-シリカ系コーティング膜中の遷移元素の原子価並びに配位状態を調べ, Schultzによって火炎加水分解法を用いて高温で作られたシリカガラス中の遷移元素イオンの挙動と比較した. 得られた結果を以下に示す.
    (1) 均質なコーティング膜が得られる遷移元素酸化物の上限の濃度は, Cr2O3で10mol%, Mn2O3で20mol%, Fe2O3で45mol%, CoOで45mol%, NiOで55mol%, CuOで45mol%であり, この濃度における厚さ0.2-0.5μmのコーティング膜の555nm (人の視感度が最大となる波長) の透過率は, Crで81%, Mnで68%, Feで63%, Coでほぼ0%, Niで59%, Cuで95%であった.
    (2) 遷移元素イオンのコーティング膜中での原子価及び配位状態のほとんどは, 高温で作られたSiO2ガラス中での原子価及び配位状態と同じであることが分った. しかし一つの遷移元素についてある原子価あるいは配位状態の占める割合 (濃度) は, 高温で作られたものと同一ではなかった. コーティング膜中でクロムは6配位のCr3+, マンガンは6配位のMn3+, 鉄は6配位のFe3+, コバルトは4配位のCo2+, ニッケルは6配位のNi2+, 銅は6配位のCu2+として存在することが分った.
  • 越智 康雄, 森川 日出貴, 丸茂 文幸, 野崎 浩司
    1983 年 91 巻 1053 号 p. 229-235
    発行日: 1983/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    希土類を層間に含む一連のメリライト型化合物Ln2GeBe2O7 (Ln=Y, La, Pr, Sm, Gd, Dy, Er) を合成した. 粉末X線回折図形から, これらの化合物はすべてメリライトと同形であり, 空間群P421mに属することが明らかとなった. Cu Kα線を用いて粉末X線回折図形の強度をステップ走査法 (15°≦2θ≦100°, ステップ幅: 0.05°) で測定し, プロファイル解析法によりこれらの化合物の結晶構造を解析した. c軸の長さは層間にある希土類イオンのランタノイド収縮に対応して短くなる. またa軸の長さもランタノイド収縮に対応してBe2O7 4面体グループが小さくなるために短くなる. 本研究で解析したメリライト型化合物の層間の8配位席は他の同形化合物と比べてひずみが小さい. 希土類を含む化合物は低温で特徴的な磁性を示すことが多いが, これらの化合物は4.8Kまで磁気相転移を示さなかった.
  • 虎谷 秀穂, 吉村 昌弘, 宗宮 重行
    1983 年 91 巻 1053 号 p. 235-240
    発行日: 1983/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ハフニア (HfO2) の水熱反応焼結を圧力100MPa, 温度1300℃までの条件下で検討した. ハフニウム (Hf) と水 (H2O) からHfO2が生成し, 900℃以上, 3時間の加熱で焼結体が得られた. 焼結体の密度, 及び結晶子径は900℃から1200℃まで温度とともにほぼ直線的に増加し, 1200℃でその密度は理論密度の約98%に達した. HfO2の水熱反応焼結は次の特徴をもつ3段階を経て進行した. (1) 密度の増加が大きく, 結晶子の成長が大きい, (2) 密度の増加が大きく, 結晶子の成長が小さい, (3) 密度は漸増するが, 結晶子はほとんど変化しない. 結晶子の成長は高温高圧水の存在と熱処理温度に大きく依存している. ち密化は水熱反応焼結の第2及び第3段階で顕著であり, 熱間等方圧加圧の効果により主に気孔の排除によって進行すると考えられた. 時として小さい結晶子径をもち, 灰色を呈したよりち密な焼結体が得られたが, この原因は微細なHf水素化物が分散しているためであると考えられた. したがって水素化物の分散は粒成長の抑制, 及びち密化に効果的であると期待される.
  • 西川 友三, 岡本 泰則, 稲垣 茂樹, 桑畑 研二, 田崎 学
    1983 年 91 巻 1053 号 p. 240-250
    発行日: 1983/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Ni-Znフェライト及びBaフェライト焼結体の室温から1000℃までの破壊靱性KIcを測定した. Controlled Surface Flaw法によって得た室温KIcはNi-Znフェライトで1.50±0.12MN/m3/2, Baフェライトで2.97±0.16MN/m3/2であった. Indentation Fracture法ではビッカース押し込み荷重や評価式の点で問題が認められ, 適用に充分の配慮の必要なことが指摘できた. 室温破面の様相は, 平坦な粒内割れ破面を示すNi-Znフェライトに対してBaフェライトは粒界割れ又は個々の粒子内での特定面のへき開に基づくとみられる凹凸の多い破面を示した. 高温下では. Ni-Znフェライトの場合600℃から導入傷先端の鈍化によるKIcの上昇がみられ, 900℃以上では破壊源が粒界へ移り, KIc, 破壊応力ともに低下した. 900℃以上の破面はほとんどすべて粒界割れとなり, 導入傷以外の異常大粒子からの破壊が多く見られた. Baフェライトでは, 昇温に伴うKIcの一様な低下が見られた. しかし, 800℃以上では導入傷先端の鈍化がやはり推定できた. 破面の様相は温度によつて大きな差がなかったが, 高温での大粒子よりの破壊は更に頻繁であった. Ni-Znフェライトでは, 傷を導入しない抗折試験から曲げ強度価もKIc同様の温度依存が認められ, 加工傷の鈍化による強度の最大点が~700℃に観察された.
  • 伊熊 泰郎, Dinesh K. SHETTY, Ronald S. GORDON
    1983 年 91 巻 1053 号 p. 251-257
    発行日: 1983/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    鉄をドープした多結晶体アルミナとマグネシァの高温変形をデッドロードクリープ法と応力緩和法により研究した. 線形・非線形の粘弾性が応力緩和法に重要な影響を与えるため, これら2方法から求めた見掛けのひずみ速度と応力指数にはかなり差があった. しかし, 粘性域でのひずみ速度の温度, 粒径のような主変数に対する依存性は両方法で同じであった. すなわち, 粘性域でのひずみ速度は両方法とも体積及び粒界拡散の組み合わせによる拡散クリープで律速される変形であった. マグネシァの非粘性域 (非ニュートン域) ではひずみ速度の温度, 粒径に対する依存性は両方法とも同じ結果が得られた. しかし鉄をドープしたアルミナの非粘性域では応力緩和法は温度に依存せず, 非線形粘弾性の影響を強く受けていた.
  • 1983 年 91 巻 1053 号 p. A28-A32
    発行日: 1983/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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