出発原料にSi
3N
4又はSiO
2を添加してBaTiO
3系磁器の焼結を行った. 得られた試料について抵抗率を測定した. 焼成温度が低く, かつSi量が低い領域では, Si
3N
4を添加した試料の室温抵抗率は, SiO
2を添加した試料よりも低い. 昇温過程で急冷した試料の表面の組織から, 1wt% Si
3N
4を添加した試料では, 共晶点で著しい粒成長が起こることが分った. 1wt% SiO
2を添加した試料ではこの温度では, 組織変化はほとんどみられなかった. SiO
2量を3wt%と増しても, この温度では不均一な粒成長しか起きなかった. しかしN2中で加熱すると, 1wt% SiO
2を添加した試料はこの共晶温度で著しく粒成長し, その表面の形態からは液相の存在が示唆された. 250-1400℃の温度範囲で行った熱分析からは, SiO
2を添加した試料よりもSi
3N
4を添加した試料の方が多量の液相が形成されることが示唆された. これらの結果は, Si
3N
4から発生した窒素が粒成長を促進することを示している. 抵抗率対Si量の関係は, 共晶温度で形成される液相の量で説明することができる.
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