窯業協會誌
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93 巻, 1077 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 細野 秀雄, 阿部 良弘
    1985 年 93 巻 1077 号 p. 217-224
    発行日: 1985/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ガンマ線を照射したガラス状及び多結晶メタリン酸塩中の不対電子がリン上に局在する放射線誘起常磁性中心をESRを用いて調べた。 31P核による70-120mTの分離をもつ一対の超微細構造の線形を解析した. ガラス中に生成した中心のESRパラメーターの平均値とそのゆらぎはガラス中の構造の分布を考慮した実測線形のシミュレーションによって決定した. 得られた結果は以下のようにまとめられる.
    (1) 4配位のP4+中心が77Kで照射されたままのガラス及び多結晶中で観測された. この中心はPO42-グループ中のリンが一つの電子を捕獲することによって生成したものと考えられた.
    (2) 77Kで照射されたガラスを昇温すると, 上記の中心は酸素を一つその配位球から放逐することによってC3vに近い対称性をもつ3配位中心に転化した. その結果, 生成した中心はSiO2中のいわゆる “E'-中心” に類似であり, 不対電子はほとんどリンのsp3混成軌道からなる非結合性準位を占有する.
    (3) 4配位中心の生成及びその3配位中心への構造の熱的緩和は相似の電子配置を有するAs(V) と類似であり, これらの性質は5価のNWFの放射線誘起常磁性中心に固有の特徴であることが示唆された. これは5価のNWFは原子価がその配位数よりも大きいので電子捕獲のためのクーロン・ポテンシャルをもつことによると考えられた.
  • 藤木 良規, 佐々木 高義, 小松 優
    1985 年 93 巻 1077 号 p. 225-229
    発行日: 1985/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    高レベル放射性廃液処理の観点から水溶液中の2価遷移金属イオンの固定化がイオン吸着材として結晶性チタニア水和物 (H2Ti2O5nH2O) 繊維を用いて研究されている. 各金属イオンは2価遷移金属酢酸塩の水溶液から吸着材に飽和吸着させた. 吸着金属イオンは焼結処理により種々なチタン酸塩鉱物の主成分として格子中に固定化された. 銅イオンはルチル及び複雑な結晶構造を有するCu2TiO3相とCu3TiO4相の鉱物集合体に固定化された. 亜鉛イオンはルチルと逆スピネル構造のZn2TiO4相の鉱物集合体に固定化された. マンガン, コバルト, ニッケルの各金属イオンはルチルとイルメナイト構造のMTiO3 (M=Mn, Co, Ni) 相の同じ鉱物集合体に固定化された. これらの固定化体中のルチルは最も多量でマトリックス鉱物として存在している.
    固定化体中の各金属イオンの浸出率が大気圧及び水熱条件下で測定された. 前者の結果はマンガンイオンの最大3.2×10-9g・cm-2・d-1高浸出抵抗で非常に安定であることを示した. 後者の結果はまたニッケルイオンの最大9.1×10-9g・cm-2・d-1で非常に安定であることを示した.
  • 李 成元, 浜野 健也, 中川 善兵衛
    1985 年 93 巻 1077 号 p. 230-236
    発行日: 1985/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ZnOに2mol%のSm2O3を添加した焼結体の電気的性質について検討した.
    ZnO単味に電圧を印加すると, 低密度焼結体 (750℃, 1h以下) では, 電流値は時間とともに減少した. しかし, Sm2O3を添加したものでは, このような経時変化は認められなかった. これらの試料の比抵抗値は相対密度が低くなると著しく増大した.
    焼結体の相対密度と粒径を用いて, 初期焼結モデルとKakerによる立方体モデルより粒子間のネック半径を算出した. このネック半径による比抵抗値の変化量は二つの直線に分かれており, その直線の交点からデバイ長さを見積もった. 得られたデバイ長さは, ZnO単味で0.31μm, Sm2O3を添加したもので0.53μmとなった.
  • 山本 修之, 上垣外 修己
    1985 年 93 巻 1077 号 p. 237-243
    発行日: 1985/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    出発原料にSi3N4又はSiO2を添加してBaTiO3系磁器の焼結を行った. 得られた試料について抵抗率を測定した. 焼成温度が低く, かつSi量が低い領域では, Si3N4を添加した試料の室温抵抗率は, SiO2を添加した試料よりも低い. 昇温過程で急冷した試料の表面の組織から, 1wt% Si3N4を添加した試料では, 共晶点で著しい粒成長が起こることが分った. 1wt% SiO2を添加した試料ではこの温度では, 組織変化はほとんどみられなかった. SiO2量を3wt%と増しても, この温度では不均一な粒成長しか起きなかった. しかしN2中で加熱すると, 1wt% SiO2を添加した試料はこの共晶温度で著しく粒成長し, その表面の形態からは液相の存在が示唆された. 250-1400℃の温度範囲で行った熱分析からは, SiO2を添加した試料よりもSi3N4を添加した試料の方が多量の液相が形成されることが示唆された. これらの結果は, Si3N4から発生した窒素が粒成長を促進することを示している. 抵抗率対Si量の関係は, 共晶温度で形成される液相の量で説明することができる.
  • 吉田 哲郎, 平島 碩, 加藤 宗則
    1985 年 93 巻 1077 号 p. 244-251
    発行日: 1985/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    結晶化に伴うメモリースイッチングに着目して, CuO-V2O5-TeO2系ガラスを熱処理して結晶化し, ガラス及び結晶化ガラスの導電率を検討した.
    2元系ではCuOあるいはV2O555mol%以上のガラスは見いだされなかったが, 3元系では遷移金属酸化物を最も多量に含有するガラスとして, 60CuO, 20V2O5, 20TeO2なる組成のものが得られた. ガラスの導電率は, TeO2を一定としてV2O5をCuOで置換するとき減少し, V2O5を一定としてTeO2をCuOで置換するとき, 増加した. 25CuO, 45V2O5, 30TeO2なる組成のガラスを熱処理するとき, V2O5, 未知相A及びCuTeO3を析出し, 150℃における導電率は10-3から10-0.5Ω-1・cm-1に増加した. 導電率を高くする析出晶はV2O5及びA相であった. 55CuO, 15V2O5, 30TeO2なる組成のガラスを結晶化するとき, 導電率はもとのガラスとほとんど変わらなかった. このときもう一つの未知相Bと, 少量のV2O5及びCuOを析出した. EPMA分析より, A相及びB相の組成はそれぞれ50V2O5, 25CuO, 25TeO2及び20-25V2O5, 40-45CuO, 35-40TeO2であることが見いだされた.
  • 菖蒲 一久, 渡辺 忠彦, 山本 秀樹
    1985 年 93 巻 1077 号 p. 252-256
    発行日: 1985/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    TiN及び複合粉のTi(C0.3N0.7) とTi(C0.5N0.5) の3種を主成分とし, TiB2を添加剤とした系の焼結条件及び焼結体の機械的特性及びCの固溶による効果を調べた. 主な結果は次のとおりである.
    (1) TiN-TiB2系と同様に, Ti(CN)-TiB2系でもTiB2の添加量が30-50wt%の領域で, 高密度かつ高強度の焼結体が得られる.
    (2) TiN-30wt% TiB2, Ti(C0.3N0.7)-30wt% TiB2及びTi (C0.5N0.5)-30wt%TiB2の三つの系を調べた結果, Cの固溶比率の増加に伴い, 抗折力, 硬度, 靱性とも改善され, また最適焼成温度も下がる. 抗折力の向上原因は, Cの固溶により, 微粒子自体が強化されたことにある.
    (3) Ti(C0.5N0.5)-30wt% TiB2系において, 抗折力約800MN/m2, 空げき率0.34vol%, 室温ビッカース硬度2050kg/mm2及び室温破壊靱性値約4MPa・m1/2という特性を持つ焼結体が得られた.
  • 坂村 博康, 川辺 尚巳, 安井 至
    1985 年 93 巻 1077 号 p. 257-260
    発行日: 1985/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Li2O・2SiO2ガラスを結晶化させて, その内部摩擦を1Hz付近のねじり振動と40kHz付近の縦振動を用いて測定し, 結晶化に対する低温及び高温ピークの挙動について調べた. これらのピーク高さは結晶化の進行で減少していくことが観察された. また結晶度が50%を超えたところで両ピークとも消滅することが分った. これらのピークの減少, 消滅はガラス質中の緩和要素, すなわちピークに関与している不安定なアルカリイオン及び非架橋酸素の減少, 消滅に対応しているものと考えた. 結晶化が更に進むと新たなピークが高温ピークの温度域より高いところで発生するのが観察された. このピークは結晶化とともにピーク高さが増加することから, Dayらのいうガラスの不均質構造に基づくクラスターの存在のため又はガラス相と結晶相との相互作用のためという考え以外に, 結晶粒界のすべりのためという考えもあり得ることを示した.
  • 池本 正, 植松 敬三, 水谷 惟恭, 加藤 誠軌
    1985 年 93 巻 1077 号 p. 261-266
    発行日: 1985/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Ti(OC2H5)4の加水分解による単分散チタニア微粒子の合成に及ぼす諸因子の影響について検討した.
    Ti(OC2H5)4のアルコール溶液が中性で濃度はそれぞれ, Ti(OC2H5)4が0.1mol/l, H2Oが0.3mol/lのときにだけサブミクロンの単分散チタニア微粒子が得られること, 粒子は室温では加水分解後約10分で0.7μmに成長すること, 非晶質の水和物であること, 及びpH≅11のアンモニア水中で超音波分散させるのが, 粒子の凝結を防ぐのに効果的であることなどを見いだした. 更に, アルコキシドの加水分解によるチタニア微粒子の核生成と粒成長について考察した.
  • 高嶋 廣夫, 長江 肇, 杉山 豊彦
    1985 年 93 巻 1077 号 p. 267-271
    発行日: 1985/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 木村 邦夫, 石橋 修, 陣内 和彦, 立山 博, 恒松 絹江
    1985 年 93 巻 1077 号 p. 272-274
    発行日: 1985/05/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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