著者らは, 先にホトクロミズムを示す縮合多環芳香族化合物であるベンゾ [1, 2, 3-kl : 4, 5, 6-k'l'] ジキサンテン (1a) の硫黄類似体 (1b) および, そのエンドペルオキシド体 (2b) を合成し, ホトクロミック特性を測定して報告を行った.その中で, (2b) は (1a) の消色型化合物 (2a) と比較して, 着色体を再生する相対反応速度が著しく小さいことが分った.この実験事実を, 計算化学の手法を用いて得られた, (1a) のキサンテン環同士のなす二面角, (1b) のチオキサンテン環同士のなす二面角の差をもとに説明を試みた.
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