ジオシンセティックス論文集
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15 巻
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  • 長束 勇
    2000 年 15 巻 p. 1-27
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ダムやため池の遮水工法の一つである表面遮水工法には,様々な性能を持つジオメンブレン(GM)が導入されつつある。しかしながら,これらGMを用いた表面遮水工法は,開発されつつある材料に限らず,現場使用条件を与件とした的確な性能試験法,適正な設計法,確実な施工法,合理的な維持管理法が未確立である。そこで本論では,材料選定のあり方を検討する上で必要なGMの温度依存性や引張速度依存性,多様な現場敷設条件下でのGMの接着・接合部の力学的安定性と水密性,繰り返し水圧負荷を受ける貯水池運用条件下でのGMの耐水圧性,供用されている貯水池におけるGMの耐久性などを検討するため,室内試験や施工事例調査を実施し,それらを通じて得られたGM表面遮水工法の設計施工上の留意点について述べる。
  • 井沢 淳, 木村 博憲, 桑野 二郎, 高橋 章浩, 石濱 吉郎
    2000 年 15 巻 p. 28-37
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    現在、日本でも多くの種類のジオグリッドが使用され、盛土構造物の安定性に大きく寄与している。それぞれのジオグリッドについて材料特性や引き抜き特性などが個々に調べられているが、相互比較は必ずしもなされておらず、異なる材料特性が補強効果にどのように影響するかについては十分に調べられていない。そこで、形状・破断強度・伸び特性などの材料特性や摩擦特性の異なるジオグリッドを作製し、土中引き抜き試験を行い、ジオグリッドの材料特性が引き抜き特性に及ぼす影響を調べた。
  • 巻内 勝彦, 峯岸 邦夫, 山口 慎吾
    2000 年 15 巻 p. 38-43
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ジオシンセティックスファイバーを地盤中に攪拌混合させるファイバー混合土工法は,盛土の斜面保護および堤体や基礎地盤の補強などに使われている。原位置土や建設残土が不良土の場合に資源節約を図るため現場発生土の活用が促進でき,化学的変化を伴わない物理的土質改良であるため環境面においても有効である。ファイバー混合補強土工法の中で短繊維補強土工法は,有限長のファイバーを分散混合するものであり,連続長繊維補強土工法に比べて新しい工法である。ファイバーの幾何学的条件,材質素材の種類と表面摩擦特性の影響などの定量評価は明らかでなく,ファイバーと土の補強メカニズムについても十分に把握されていないため経験的に施工されているのが現状である。
    本研究では、現場発生土を想定した山砂を試料土としてファイバー(ナイロン繊維補強材)の繊維長、表明性状などの変化が,補強メカニズムに及ぼす影響を調べるために大型一面せん断試験、一軸圧縮試験を行いその結果について考察した。
  • 原田 道幸, 加賀 宗彦
    2000 年 15 巻 p. 44-49
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    この論文は、引抜き力が土中に埋設されたジオテキスタイルに作用した時、ジオテキスタイルに発生する引張力分布を検討した。この引張力分布の統一的な見解はまだない。そのため、二つの力学モデルを解析し、二つの式を得た。
    今回、この力学モデルから得た2つの式が実用的に使用できるかどうかを検討するため引抜き試験を実施した。
    結果として、もしジオテキスタイルと土間の摩擦係数を知ることが出来るなら、解析によってジオテキスタイルに発生する引張力分布からひずみ分布の傾向を予測することは可能となった。
    これらの解析法は変形を考慮した設計法に役立つことが期待できる。
  • 稲垣 雅一, 森影 篤史, 熊谷 幸博, 横田 善弘, 伊藤 修二, 川村 國夫
    2000 年 15 巻 p. 50-57
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    高含水比粘性土を用いた大規模な高盛土工事の中で、盛土内排水工として帯状排水材を採用しており、排水材の圧密促進効果により良好な結果を得ている。これまでの動態観測結果では、施工中および施工後の水平変位が鉛直変位に比べ著しく小さいことから、盛土の変形を拘束する効果(補強効果)が働いているものと考えられた。そこで盛土内に敷設された帯状排水材にプレート型ひずみ計を取り付け、排水材に働く応力を計測し補強効果の確認を行った。この他に、伸縮計による盛土表面の変位計測や傾斜計、沈下板による盛土内部の変形計測などの動態観測を実施した。
    ここでは、実施した計測結果から盛土内に千鳥状配列された帯状排水材の排水効果と補強効果について検討した結果を報告する。
  • 長原 久克, 鶴山 直義, 今井 努, 伊藤 雅夫, 石黒 健, 藤山 哲雄, 太田 秀樹
    2000 年 15 巻 p. 58-67
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    能登空港用地造成工事では、高含水比粘性土を高さ55mまで急速盛立する必要があることから、人工水平排水材を用いて圧密促進を図りつつ盛立を行っている。本論文では、排水材を敷設した盛土体の応力変形挙動や盛土の安定性を合理的に解析する手法の確立を目指し、弾粘塑性FEMの適用性を検討した。この結果、応力・沈下挙動は実測値と良好な整合を示し、今回用いた解析手法が盛土の応力変形予測手法として妥当であること、しかし実測の水平変位はほとんど生じず、解析には見込まれていない土と排水材の摩擦による補強効果が実際には相当発揮されている可能性があること、などがわかった。
    また、能登空港造成盛土を対象として、盛立施工速度や排水材の有無などの現場条件の組み合わせによって盛土安定性が大きく変化することを試計算により示し、現場毎の材料特性や施工条件、境界条件等を詳細に反映できるFEMを用いた合理的な水平排水材の敷設設計の可能性を示している。
  • 嘉門 雅史, 松本 哲, 赤井 智幸, 諏訪 靖二, 福田 光治, 下野段 朋恵, 村上 譲二, 深沢 健, 井戸口 清孝
    2000 年 15 巻 p. 68-77
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    粘性土盛土を対象にした水平排水補強材(GHD材)の配置方法は,斜面安定と排水性の両面から決定される。このうち排水性に関しては,全面敷設に対して一次元鉛直流を仮定したGiroudの式が,千鳥配置に対して水平放射流を仮定したBarronの式が適用されている。しかし,水平排水材周辺では排水材に向かう重力場での鉛直流と水平流が混在している。またGHD材の幅に比べて,敷設間隔が狭いので,GHD材周辺では円形状の放射流ではなく,偏在した楕円状になることが予想されるので千鳥配置に対する理論的背景を確認する研究が必要と考えられる。本論文では全面敷設と千鳥配置の通水量を検討する。全面敷設に関しては理論的に整合性があるのでGiroudの式の統合を図り,設計に必要な圧密度~通水量の関係を容易に計算できるようにする。またこの結果と宮田の提案式との関係を求める。千鳥配置に関してはFEM解析によりGHD材周辺の水理条件を検討し,Barron式の適用精度を分析する。これらの結果を踏まえてドレーンレジスタンスを考慮した通水量と敷設間隔の関係,及び圧密初期段階の最大通水量を求める式を提案する。
  • 嘉門 雅史, 諏訪 靖二, 福田 光治, 陳 国華, 下野段 朋恵
    2000 年 15 巻 p. 78-85
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    バーチカルドレーンの改良地盤を対象にした沈下計測と解析結果等から,スミヤー効果のためドレーン近傍の透水係数あるいは圧密係数が減少し圧密遅れが生じるが,この影響は打設間隔にも依存する。本論文はサンドドレーン,プラスチックボードドレーン,パックドレーンなど幅広い工法を対象に,スミヤー効果をパラメーターにした圧密解析を行い,この解析結果をもとにしてスミヤー効果の圧密遅れに対する影響度を工法別に示した。さらにドレーン径,打設間隔,スミヤー幅,透水係数の低減からなる透水係数低減比の算出式を提案し,この低減比によって工法毎のスミヤー効果の影響度がある程度統一的に表現できることを示す。またこのような整理結果からスミヤー効果の圧密遅れに対する効果も評価した。スミヤー効果の存在は種々のデータから明白で,設計手法も提案されている。しかしこれらは工法に依存しており,スミヤー効果を考慮した設計法の普及を妨げている。本研究はこのような観点から透水係数低減比を共通の尺度にする可能性を示した。
  • 水野 克己, 市川 隆文, 大塚 義一, 本郷 隆夫, 成島 誠一
    2000 年 15 巻 p. 86-95
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    近年,最終処分場から漏水する有害物質により引き起こされる環境汚染の問題が発生している。このため,常時しゃ水工構造の健全性を保持し,また異常時の早期発見と早期修復機能をあらかじめ組み込んだ安全性の高い処分場が求められている。我々は,ジオメンブレンとジオコンポジットの構成からなるしゃ水工構造にスメクタイト系粘土鉱物を主材とした水分散コロイド溶液をあらかじめ充填し,ジオメンブレン穿孔時に直ちに修復と検知を行うシステムの開発をおこなってきた。本研究では室内修復実験より,修復に必要とされる土質条件を求め,また塩水飽和状態の土質での修復の確認や新たに開発した泥膜促進用ジオテキスタイルの効果を確認した。さらに実規模修復実験では,実規模モデルのしゃ水構造と配管延長で,コロイド溶液を制御装置にて圧力制御して循環した状態で,ジオメンブレンを穿孔させ,修復の確認を行ったので報告する。
  • 巻内 勝彦, 峯岸 邦夫, 椛澤 竜生
    2000 年 15 巻 p. 96-101
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ジオテキスタイルの重要な基本機能のひとつに面内方向の通水性および面外方向の透水性がある。すなわち土塊内に浸透した土中水や高含水粘性土の余剰水をシート面で集水・排水・透過させる機能を有する。特に,盛土堤体の浸透水の排除や地盤や補強盛土においての圧密促進をおよび強度増加を目的として,ジオテキスタイルを盛土内に水平敷設し間隙水の排除と過剰間隙水圧の低下を効果的に行うものである。
    本研究では、ジオテキスタイルを盛土内に敷設したときの水理特性を把握する基礎的実験として室内土槽排水試験を行い、ジオテキスタイルの敷設条件(厚さ、上載圧力)、試料土(火山灰質粘性土、山砂),水頭条件などが集排水特性に与える影響を調べた。
  • 三浦 哲彦, 柴 錦春
    2000 年 15 巻 p. 102-111
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    5つのプラスチックドレーン(PD)に対する粘土拘束下での長期的な通水性能試験の結果を報告する。粘土拘束下では、PDの通水性能は経過時間に伴って著しく減少した。その原因として、PDフィルタのクリープ変形とPDコア通水路の“詰まり”が考えられた。クリープ試験に基づく検討により、フィルタのクリープ変形の影響は比較的小さいことがわかった。一方コア通水路の“詰まり”が通水性能減少の主な原因であることを示した。また、ゴムスリープ拘束下の通水試験の結果に基づいて、長期的な粘土拘束下の通水性能を推定する経験式を提案した。さらに、長期的な通水性能の観点からはPDの通水路の断面積・形状係数(断面積とその周長の比)が大きな方が有利であるとの考え方を示した。
  • 池田 浩和, 今泉 繁良, 菱谷 純子, 宮地 秀樹, 吉直 卓也
    2000 年 15 巻 p. 112-119
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ジオメンブレンの突き刺し抵抗性に関して、プレストレインや下地地盤の強度が突き刺し抵抗に与える影響を実験的に求めた。ジオメンブレンには、HDPE、FPA、EPDM、ジオテキスタイルには長繊維不織布、補強短繊維不織布を用いた。円筒状容器に模型地盤を作成し、この上にジオメンブレンだけを設置した場合と、ジオメンブレンの上にジオテキスタイルを敷いた場合で突き刺し試験を行った。その結果、ジオテキスタイルとの併用でジオメンブレンの貫入抵抗値が大幅に増加すること、ジオテキスタイル併用時には、qc=700kN/m2以上の場合にのみ地盤強度の影響が現われることを示した。次に、各ジオメンブレンに対して、空気中で0~20%のプレストレインを与えたままの状態で突き刺し試験を行い、HDPEでは20%のひずみを与えると、最大貫入抵抗は16%程度減少することを示した。
  • 伊藤 広行, 熊谷 浩二, 諸戸 靖史
    2000 年 15 巻 p. 120-127
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    処分場などの遮水工として設置されるジオメンブレンは、物理的要因、生物的要因、化学的要因による破損が考えられる。筆者らは、ジオメンブレンが破損するときの要因のうちに、基礎地盤の空隙の大小による伸び分布への影響、空隙の形状の違いによるクリープ変形への影響を考察するために、いくつかの室内引張り試験を行い考察を加えた。
  • 宮田 喜壽, 末次 大輔, 木暮 敬二
    2000 年 15 巻 p. 128-137
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    粘性土盛土を安定化するために,排水機能を有するジオコンポジットが盛土内に配置されることが多い.このような場合,設計ではジオコンポジットの圧密促進効果のみが考慮される.しかし,ジオコンポジット周辺の土に十分な有効拘束圧が作用し,ジオコンポジットの剛性と強度が周囲の土の変形を拘束できるほど大きいという条件のもとでは,粘性土であっても十分な補強効果が期待できると考えられる.
    本研究では,粘性土中におけるジオコンポジットの挙動を明らかにするために,ジオコンポジットの引抜き試験を行った.一連の試験では,ダイレイタンシー特性が異なる2種類の供試土が用いられた.試験結果を比較すると,正のダイレイタンシーを示す粘性土中のジオコンポジットの引抜き抵抗は,負のダイレイタンシーを示す粘性土中に比べ大幅に増加することが明らかとなった.
  • 安原 一哉, 鈴木 宏幸, 阿部 基雄
    2000 年 15 巻 p. 138-145
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    本文は、過去に著者らが行った粘性土に対するジオコンポジットの補強効果に関する室内支持力試験結果に基づいて、特にこのジオコンポジットの補強効果と排水・通水機能改善効果を表現するために、定性的なダイアグラムを提案することを目的としている。これらのダイアグラムをあわせて利用することによって、補強効果と排水効果を判断出来ることを示した。特に、この方法からジオコンポジットの上下に薄い砂層をサンドイッチ状に敷設することによって、(i)剛性の改善に特に有効であること、(ii)排水性能と通水性能ともに維持できることに関する有効性を強調した。
  • 巻内 勝彦, 峯岸 邦夫, 萩尾 泰弘, 榎本 尚之
    2000 年 15 巻 p. 146-151
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    ジオシンセティックス補強材は,地盤との複合体を形成し土塊全体を補強するもので,通常シート状に敷設する形態で利用されることが多い。今回対象とするジオセルは,ジオシンセティックス補強材を三次元のハニカム状に組み立ててセル内に地盤材料を充填する工法である。この工法は,セル内に充填された地盤材料に面外方向荷重が作用する場合,面内方向に変形拘束し補強材と充填材の一体化をはかり,版状に曲げ剛性を有する複合構造体を構築して応力分散効果,側方流動防止等に補強効果をもたらすことができる。
    本研究では,敷設高さと敷設幅を変化させたジオセルの層(上層)とEPS版(下層)により仮層の2層地盤を形成し,円形荷重を載荷させた場合のジオセルの版補強効果について実測確認を行った。その結果と2層地盤解析によって求められる諸定数を比較し,ジオセル補強土の基礎的な力学特性について検討をした。
  • 巻内 勝彦, 峯岸 邦夫, 鈴木 智憲, 本美 大輔
    2000 年 15 巻 p. 152-157
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    軟弱地盤などの低支持力地盤に対する補強対策としては、従来の地盤改良や杭工法以外に補強土壁盛土下部にジオセルをマットレスとして敷設した方法などいくつか散見できるが、簡便な基礎地盤の補強対策工は、確立されていない現状にある。
    そこで本研究では、低支持力地盤における壁体部と盛土体の安定性を確保するため、沈下抑制および支持力の増加を図る簡易で安価な工法の可能性を探ることを試みた。実験には、低支持力地盤を想定したEPS版上にジオテキスタイル製円筒形サンドバッグに砂試料を充填したジオシンセティックス土塊を連結せずに並列敷設し載荷試験を行い、その結果から補強効果を考察した。
  • 今 広人, 石原 研而, 塚本 良道, 中澤 博志, 桝尾 孝之, 原 健二
    2000 年 15 巻 p. 158-165
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    本研究では、EPSブロックを緩衝材として擁壁背面に設置したジオグリッド補強砂の、擁壁土圧の低減効果に及ぼす影響を調べるため、大型模型土槽を用いた実験を行った。土槽内に豊浦砂を相対密度75%で締固め、EPSブロック・ジオグリッドの埋設方法の異なる5種類の模型地盤を作製した。実験結果より、EPSブロックを緩衝材として可動壁面に埋設することにより、可動壁に作用する静止土圧が低減されることが確認できた。また、EPSブロックを可動壁面に沿い埋設し、さらにEPSブロック間にピン結合したジオグリッドを模型地盤背面に敷設することにより、ジオグリッドのみを埋設した模型地盤と比べて、主働土圧がより低減されることが確認できた。したがって、本実験シリーズより、擁壁土圧の低減に関するEPSブロックとジオグリッドの併用効果を確認することができた。
  • 彭 芳楽, 龍岡 文夫, 小竹 望, 山内 裕元, M. S. A. Siddiquee
    2000 年 15 巻 p. 166-175
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    補強砂の圧縮破壊メカニズムを明らかにするため、密な豊浦砂の無補強供試体と面状補強材を水平配置した供試体の平面ひずみ圧縮破壊試験を対象として、FEMで解析した。砂のモデルは、応力履歴に依存しない修正された塑性ひずみエネルギーに基づく硬化則を用いた等方硬化・軟化非関連流れ則による弾塑性モデルであり、砂の変形の応力履歴・応力経路の依存性、弾性係数の異方性、内部摩擦角の異方性及び拘束圧・初期密度の依存性、せん断帯の発生ひずみの局所化を考慮した。補強砂供試体は、引張り剛性の大きく異なる2種類の面状補強材で補強した。実験結果とFEM解析結果を応力~ひずみ関係とせん断帯の発生状況について比較して、圧縮破壊をFEM解析により概ね良く再現できることを示した。また、以上のような砂の修正エネルギー硬化モデルによるFEM解析結果を、従来の砂のひずみ硬化モデルによるFEM解析結果と比較し、後者の結果よりも良い結果が得られることが分かった。
  • ゴーシュ チャンダン, 安原 一哉, 村上 哲
    2000 年 15 巻 p. 176-184
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    軟弱土上の粒状土で構成された盛土が軸対称荷重条件下において水平に敷設された単一のジオシンセティックスにより補強されている.“引張メンブレン”の考え方に基づいて,Pasternakのモデルをこのような補強層の動きを表現できるように拡張した.“引張メンブレン”とは補強材内の引張力がフィルを構成する粒状体のせん断剛性の増加により接触面上の拘束応力を定量的に増加させるという考え方である.
    本文では,軸対称載荷条件に基づいて変化する粒状土フィルのせん断剛性を求めた.そのために粒状材と軟弱土の応力~ひずみ関係に非線型双曲線関係式を用いている.パラメトリックスタディから単一の補強層の拘束効果が基礎地盤の応答を改善するというとが分かった.実務的な例として,軟弱土上の無補強の粒状土フィルと比べ、単一の補強層の敷設が内部のせん断剛性を改良できることを示すことができた.
  • 村上 明, 青木 一二三, 米澤 豊司, 矢崎 澄雄, 舘山 勝, 小島 謙一
    2000 年 15 巻 p. 185-194
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    軟弱地盤上に鉄道盛土を構築するにあたって,開業後の沈下を極力抑制するために深層混合処理工法とジオテキスタイルとを併用して盛土を施工している。その際,改良杭の間隔や上載荷重の条件とジオテキスタイルに生じるひずみの関係,未改良部との不同沈下の抑制効果など,静的および動的荷重状態での挙動を把握する必要が生じた。そこで筆者らは現地において各種計測計器を設置し,列車走行を模擬した軌道繰返し衝撃試験機による動的載荷試験を実施し,併せて解析等を行い,合理的な設計方法を提案しようとするものであり,本論文は,このうち現地動的繰返し載荷試験結果について述べるものである。
  • 小島 謙一, 舘山 勝, 黄 景川, 青木 一二三, 米澤 豊司, 村上 明
    2000 年 15 巻 p. 195-204
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    腐植土層が堆積する軟弱地盤上に鉄道盛土を構築するにあたって,鉄道開業後の沈下を極力抑制するために深層混合処理工法とジオテキスタイルとを併用して盛土を施工している.本工法においては,列車荷重を含めた上載荷重載荷時における撹拌混合杭の間隔とジオテキスタイルに生じるひずみ等の関係,未改良部との不同沈下の抑制効果など,静的および動的荷重状態での盛土や地盤の挙動を把握する必要が生じた。これらを検討するために現場において各種計測計器を設置し,列車走行を模擬した軌道繰返し衝撃試験機による動的載荷試験を実施した.加えて長期計測や解析等を行い合理的な設計方法を提案することとした.
    本論文は,現地動的繰返し載荷試験結果をもとに有限差分法を用いて解析を行い,盛土や地盤の挙動,撹拌混合杭とジオテキスタイルの効果を評価するものである.
  • 平井 貴雄, 谷津 淳
    2000 年 15 巻 p. 205-214
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    一般に,引張補強材として使用されるジオグリッドの設計引張強さは,引張試験で得られた引張強さにクリープを考慮した低減係数を乗じた値が用いられている.一方,高分子材料であるジオグリッドの引張特性は,引張速度に依存し,地震時の載荷条件のように引張速度が速い場合,大きな引張強さを発現することが知られている.しかし,ジオグリッドの耐震設計に用いる設計引張強さを,実験的に求める試験法は未だ標準化されておらず,実際の設計では常時と地震時の設計引張強さは,同じ値が用いられていることが多いのが現状である.
    地震時のジオグリッドの設計引張強さを考える場合には,ジオグリッドに常時の荷重が載荷されクリープ現象が生じた後の引張特性が問題となる.この引張特性は,ジオグリッドの素材や形態,クリープ現象を生じさせる常時の荷重,クリープ現象を生じさせる時間,地震時にジオグリッドに作用する引張力の引張速度などに依存すると考えられる.
    本研究では,ジオグリッドに常時の荷重が載荷されクリープ現象が生じた後の引張特性について検討し,地震時の設計引張強さを評価する方法について考察を行った.
  • 米澤 豊司, 青木 一二三, 舘山 勝, 小島 謙一, 堀井 克己, 鴇田 由希
    2000 年 15 巻 p. 215-224
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    現在,整備新幹線では,保守量を軽減することを目的として,従来のバラスト軌道に替えて,スラブ軌道を用いるケースが多くなっている.この軌道を盛土上に構築する際には,常時や地震時における盛土の変形の制限が通常の盛土に比べてより一段と厳しくなる。そこで強地震時(L2)において,許容される変形量以内に盛土の変形を抑制するために,ジオテキスタイルを配置することにしているが,どの程度の補強が必要となるかを見極めることが重要な課題になっている。
    そこで本研究では,盛土高さ,勾配,盛土材料,締固め程度,地盤条件などの違いに対して,地震時の許容変形量を仮定し,盛土の耐震補強量を検討したので,その結果について報告する。
  • 河村 隆, 梅崎 健夫, 落合 英俊
    2000 年 15 巻 p. 225-234
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    引張補強効果以外の補強効果として拘束効果を導入してジオグリッド補強土のせん断強度の評価式を提案し,これを直接せん断型の試験装置を用いて実験的に確認した.拘束効果とは,ジオグリッドが周辺土塊を拘束し周辺土塊の拘束圧が増加する効果で,補強材の引張力に無関係な効果である.次にせん断強度の評価式に基づき補強土の破壊規準を定義し,この破壊規準をもとに補強土の破壊時のモールの応力円を定式化した.ランキン主働土圧論に基づいて仮定したすべり面に対して,破壊時のモールの応力円に局所安全係数を導入し,安定に必要な引張力を求め補強材の敷設間隔を決定する設計法を提案した.最後に,提案法を用いた実際の設計計算例を示すとともに,提案法とランキン主働土圧論に基づいたタイバック・ウェッジ法を用いている現行設計法との比較を行った.現行設計法は提案設計法と比較して安全側であることが明らかになった.
  • 宮田 喜壽, 重久 伸一, 木暮 敬二
    2000 年 15 巻 p. 235-245
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    盛土材が発揮するせん断強さは,施工条件やひずみの大きさに依存し,ジオグリッドの引張り強さは,温度やひずみ速度に依存する.したがって,ジオグリッド補強土壁の設計では,盛土材やジオグリッドに関する設計変数を唯一的に決定することは難しい.また,ジオグリッド補強土壁は複合構造物の一種であり,複数の破壊モードを想定し得る.補強土壁の設計では,設計変数の不確実性を考慮し,想定し得る個々の破壊モードに対する余裕度をできるだけバランス良くすることが重要と考える.一方,信頼性解析法は,設計変数の不確実性や複数の破壊モードに対する余裕度を合理的に評価することができ,将来導入されるであろう限界状態設計法における部分安全係数を決定するための有力な道具として期待されている.以上の観点から本稿では,ジオグリッド補強土壁に関する信頼性解析法について検討を行い,数値計算例を示して,その有用性を明らかにした.
  • 田村 恵, 本郷 隆夫, 福田 光治, 長屋 淳一, 松山 裕幸
    2000 年 15 巻 p. 246-253
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    埋設管の鉛直土圧の算定には一般にMarston & Spangler等の式が用いられる。この式は沈下比等の変形因子も含まれているが基本的には土圧の発現モードを突出型と溝型の両極端に分類し,極限平衡理論を適用して導き出されている。またこの沈下比は,経験的,実験的に与えられているため,式を適用する場合沈下比が既知の埋設管に限定されてくる。このため本研究では,両土圧パターンの移動をスムーズにするため,簡略したモデルを仮定して変形特性に着目した鉛直土圧係数簡易推定式を求めた。本論文ではMarston & Spanglerの式の中で仮想等沈下線が地上と一致する場合について比較を行い,概略的には類似した関係が得られることを示す。また鉛直土圧係数軽減化の概略的な推定に適用可能であることをたわみ性の埋設管やEPSによる鉛直土圧軽減工法をとりあげて示した。また既存の研究成果を利用して概略的な土質分類と変形係数の関係を求め,土質による鉛直土圧係数軽減効果の相違について示した。
  • 渡辺 健治, 古関 潤一, 舘山 勝, 小島 謙一
    2000 年 15 巻 p. 254-263
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    補強土擁壁の地震時安定性を検証するために、補強材配置の異なる3種類の補強土擁壁模型、および従来型の擁壁模型を用い、水平加振実験を行なった。従来型擁壁は一旦変位が始まると、擁壁底版つま先部で応力集中が生じ、この部分で支持力破壊が起こると、急速に変位が進展した。これに対して補強土擁壁は、大変位に至ってもなお有効な補強材張力が作用し、変位に対する粘り(靭性)を示した。また上層の補強材を延長した補強土擁壁は特に高い耐震性を示した。これは延長補強材に有効な張力が発生し、背面地盤のすべり面の発生を効果的に抑制したことによる。またすべり面角度、地震時土圧の実測値は、すべり土塊の水平・鉛直応答加速度を考慮することにより物部岡部式に近づいたが、完全には一致しなかった。この理由としてはすべり土塊が剛体でないこと、静的場と動的場において砂の変形強度特性が異なることなどが考えられた。
  • 黄 景川, 館山 勝, 加藤 範久, 龍岡 文夫
    2000 年 15 巻 p. 264-273
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    大地震における斜面上の擁壁の破壊メカニズム及び耐震性を調べるために、三種類の擁壁の縮小模型を用いて段階的不規則波加振実験を行った。その結果、斜面上のもたれ擁壁では、基礎の斜面と擁壁背面盛土の破壊が比較的低い振動台加速度で生じ、擁壁が水平移動し転倒破壊した。剛な一体壁面工を有する補強土擁壁は、振動台振動加速度が比較的大きくなってから基礎の斜面と擁壁背面の盛土内に比較的大きな破壊面が生じ、水平移動が卓越した。大径補強攪拌混合杭で擁壁の頂部近くの盛土と擁壁の下部の斜面を補強したもたれ擁壁は、1gを越える高い台振動加速度でも変位が小さく、非常に強い耐震性を示した。この工法は、斜面上の既設もたれ擁壁の補強に有効である。また、動的土圧増分の分布は基本的には台形であるが、擁壁の種類・加振レベル及び擁壁全体の破壊状況に支配されることが分かった。
  • 篠田 昌弘, 石村 隆俊, 半井 健一郎, 山本 俊太, 夏木 敏宏, 加藤 鉄弘, 北野 靖行, 加藤 範久, 内村 太郎, 龍岡 文夫
    2000 年 15 巻 p. 274-283
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    レベルII地震にも耐え得る土構造物として、補強盛土にプレロードとプレストレスを加えることで、盛土の剛性と残留沈下特性を飛躍的に増加させる工法が発案された。この構造物の耐震性を検証するために、相似則を考慮し、入力加速度700galでプレロード、プレストレス一定のもと振動台実験を行なった。裏込め材の影響を明確にするために、裏込め材に豊浦標準砂と粒度調整砕石を使用した。耐震性を高めるために、加振中のプレストレスの抜けを抑制しつつ、加振中の盛土の曲げ変形を抑える働きをする装置(ラチェット機能付きプレストレス維持装置:略してラチェット装置)をタイロッドに設置し、PL・PS補強土構造物の高い耐震性を実験により検証した。その結果、ラチェット装置を設置しないと共振が起こり揺り込み沈下が非常に大きかったが、ラチェット装置を設置すれば比較的高い固有振動数のため共振を免れ曲げ変形も抑制され、大幅に変形特性が改善された。
  • 山本 俊太, 篠田 昌弘, 半井 健一郎, 夏木 敏宏, 加藤 鉄弘, 北野 靖行, 加藤 範久, 内村 太郎, 龍岡 文夫
    2000 年 15 巻 p. 284-293
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    PL・PS補強土工法では地震荷重を受けた時の揺り込み沈下によるプレストレスの抜けが大きな問題となっていた。しかし、過去の研究で地震荷重や交通荷重を受けた時にもプレストレスを維持し、かつ盛土の膨張を抑える事ができるラチェット機能付きプレストレス維持装置を設置することでこの問題は解決できることが分かった。一方、この問題を考える上で共振時の挙動も重要であることも分かってきた。そこでこの装置を使用し、異なるプレストレスで入力加速度700galのもとで振動台実験を行い、装置の効果と共振時の構造物の挙動を調べた。
  • 夏木 敏宏, 加藤 鉄弘, 北野 靖行, 篠田 昌弘, 山本 俊太, 龍岡 文夫
    2000 年 15 巻 p. 294-301
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    変形に対して厳しい基準が設けてある構造物には、主に土構造物ではなく鉄筋コンクリート(RC)構造物が採用されている。これは、土構造物がRC構造物に対して強度、剛性が低く変形しやすいといった欠点をもつからである。しかし、補強土構造物にはその靭性のため、杭基礎を省略できるといった長所もある。上記の欠点を改善するために、補強盛土設置してあるタイロッドを利用しプレロードとプレストレスを加えるプレローディド・プレストレスト(PL・PS)補強土工法が発案された。本研究ではPL・PS補強盛土の耐震性を向上させるために、タイロッドにラチェット付きプレストレス維持装置を設置し加振中のプレストレスの維持と盛土の体積膨張阻止について検討した。この装置を検定した結果、上記の条件を満たすことを確認した。
  • 半井 健一郎, 篠田 昌弘, 山本 俊太, 小島 謙一, 舘山 勝, 内村 太郎, 龍岡 文夫
    2000 年 15 巻 p. 302-311
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    橋脚の地震時挙動は、その固有振動数と入力地震動の卓越振動数の関係に支配される。このことから、プレローディド・プレストレスト(PL・PS)補強土工法による唯一の実構造物であるJR九州篠栗線の馬出橋梁のPL・PS橋脚の固有振動数を、衝撃加振時の速度測定により求めるとともに、各側定点の変位から橋脚の変形挙動について明らかにした。実構造物衝撃試験によると、固有振動数は橋軸直角方向では7Hz程度、橋軸平行方向では9Hz程度である。また、これまでに行った室内模型実験、および計算で求めたPL・PS橋脚の固有振動数と比較し、検証を行った。実験値は、室内模型実験および数値解析結果と比較して約半分程度であった。この差異は、模型実験や解析では地盤が完全に剛であると仮定しているのに対し、実構造物実験では、地盤も変形していたことに原因があると考えられる。
  • 内村 太郎, 龍岡 文夫, 舘山 勝, M. S. A. Siddiquee
    2000 年 15 巻 p. 312-321
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    プレローディド・プレストレスト(PL・PS)補強土工法は、プレロードとプレストレスによって補強盛土の剛性を飛躍的に高め、より大きな荷重を受ける構造物にも応用できるようにする工法である。1996年夏に、JR九州篠栗線馬出橋梁で、実施工のPL・PS補強土橋脚が建設され、1年後の1997年から供用開始された。建設時から4年にわたり挙動の連続計測を行い、PL・.PS補強土構造物の長期的な安定性を確かめた。
    PL・PS構造物の長期的な性能は、盛土材や補強材のクリープ・リラクゼーション・繰返し載荷による変形特性が決定的な要因になると考えられる。それらの挙動を予測するモデルの開発は、PL・PS構造物の設計法を確立するために大きく役立つ。本報では、三要素型のレオロジーモデルであるNew Isotachモデルを用いて、PL・PS橋脚へのプレロード時の荷重・変形特性の解析を試みた。
  • 山田 孝弘, 舘山 勝, 小島 謙一, 田村 幸彦
    2000 年 15 巻 p. 322-329
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    剛壁面補強土工法は,短い面状補強材と剛な鉛直壁面工で構築される.この工法は,鉄道盛土で多くの施工実績がある一方,土のうの作製・小運搬・積み立てなど人力作業の軽減や壁面工の省力化に対する要望も強い.そこで筆者らは,土のうの代替え材として溶接金網を用いることや,溶接金網を壁面工の型枠反力体として活用することを考えた.その実用性を評価するために,壁面コンクリート打設時の側圧測定試験と溶接金網を用いた仮抑え材の引抜き試験を実施した.本論文では,施工試験を踏まえ,仮抑え材の型枠反力体としての性能について検討している.その結果,壁面コンクリート打設時には,一時的かつ部分的に液圧程度の側圧が作用することや,その側圧に対し,仮抑え材の引抜き抵抗は十分あることが確認できた.
  • 久保 哲也, 横田 善弘, 伊藤 修二, 松岡 元
    2000 年 15 巻 p. 330-339
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    古来より多くの構造物に利用されてきたアーチ構造は、上載荷重を圧縮力に置き換えて抵抗する構造であることが知られている。その構築材料としては、主に石やコンクリートといった剛な材料が使用されてきた。これに対し近年、ジオシンセティックスにより土を包み込む「土のう」が、ジオシンセティックスの拘束効果により非常に大きな圧縮強度を発揮することが確認されている。そこで剛な材料に替わり、この土のうを用いたアーチ構造が、盛土内に構築するトンネル覆工に利用できるのではないかと考えた。また、松岡らによる既往の研究において、室内試験でアルミ棒積層体を書道用紙で包み込んだ土のうを用いた載荷試験がすでに実施されている。そこで、実際の施工性とその挙動を確認する目的で、内幅約5mの実際のアーチ構造物を構築することとした。本試験では内幅約5mのアーチ構造物を構築した際の変形、土圧などの挙動を確認し、アーチ構造物の築造が可能なことやアーチの内側に応力が集中することなどを確認した。
  • 伊藤 修二, 横田 善弘, 久保 哲也, 荒井 克彦
    2000 年 15 巻 p. 340-349
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    がけ崩れや土石流を受け止める防護擁壁としては、主にコンクリート擁壁など剛な構造物が用いられている。これに対してジオシンセティックスで補強した盛土構造物を防護擁壁として用いた場合、現地発生材の有効利用を図れることや、用地や地形などの立地条件が悪い場所での対応性が良いこと、自然に調和した構造物を構築することができる利点がある。
    現時点では、ジオシンセティックスで補強した盛土構造物に衝撃力や準静的な荷重が作用した場合の、変形量や破壊強度からみた有効性が不明瞭である。ここでは、補強した盛土構造物に準静的な荷重を作用させる現場載荷実験を実施して、補強盛土の有効性を検証した結果を報告する。実験は、高さ1.5mの小型模型実験と高さ6mの実物大模型実験の2種類行った。載荷は、水平方向より準静的な荷重を加えた。盛土の上下方向の分離を防ぐために圧縮力プレストレスを加えた補強盛土についても載荷実験を行った。実験では、補強盛土の変位量、内部応力、ジオシンセティックスに働く応力などを計測した。
  • 渕上 正浩, 小畑 康隆, 荒井 克彦, 小嶋 啓介, 井上 昭一, 久保 哲也
    2000 年 15 巻 p. 350-359
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2009/12/17
    ジャーナル フリー
    著者らは,ジオシンセティックスを用いた補強土擁壁による落石防護擁壁として,土堤型の落石防護補強土擁壁の開発を行ってきたが,土堤型の場合,設置する際に道路際にある程度の平場が必要となり,地形によっては設置が困難となる.そこで,道路際の平場が小さい地形に対応した落石防護補強土擁壁として,地山に沿った補強盛土の天端で落石を受け止める,ポケット式落石防護補強土擁壁の開発を行った.本稿は,ポケット式落石防護補強土擁壁の,落石衝突時の衝撃力吸収性能の確認を目的とした,重錘落下実験の報告である.
    実験は,ミニチュアモデル(壁高1.5m)および実物モデル(壁高6.0m)について行った.ミニチュアモデルについては,ジオグリッドによる補強を行ったものと補強を行わないものについて実験を行い,落石衝突時の挙動の違いから補強材の効果の確認を行った.実物モデルについては,落石衝突時の挙動および安全性の確認を行った.
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