ジオシンセティックス論文集
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30 巻
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特別講演
  • G. Venkatappa Rao
    2015 年 30 巻 p. 1-8
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
    With the recent emphasis on infrastructure development, geosynthetics in India have received a tremendous boost. Apart from the consistent use in pavements of the east-west and north-south corridors and golden quadrilateral of the NHDP projects being executed by the NHAI, reinforced soil walls in urban flyover approaches have become common, due to their distinct advantages over conventional reinforced concrete walls. These apart, the use of high strength geotextiles and geocell mattresses for foundation of high embankments on soft soils has also proven to be feasible even in black cotton soil areas. Increasing emphasis is being given to the development and use of natural fibre (particularly, jute and coir) geotextiles for civil engineering applications. The paper traces many of these developments and summarizes the key issues to be taken note of for utilizing the vast potential geosynthetics offer, in India’s march to development.
  • GIANG. H. N.
    2015 年 30 巻 p. 9-14
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
    This paper presents about the current situation of technology and market regarding geosynthetics in Vietnam. As Vietnam has a relatively complicated territory: Countless mountains, numerous rivers, long and meandering coastline. In additional, its rapid development of economy in recent years has challenged the relatively poor infrastructure system as well as experts, engineers in these fields. To meet this challenges, new technologies and materials have been applied in numerous constructions and geosynthetics is one of the most important structures. However, after decades of arrival, geosynthetics still remains a highly difficult technology for Vietnamese engineers. This paper will analyze some main factors of technology and culture that make difficulties for geosynthetics to widely apply and use in this country. It also mentions some recent big projects and key institutions, companies that relate to this technologies to picture the market of Vietnam.
論文
  • 野並 賢, 澁谷 啓, 片岡 沙都紀
    2015 年 30 巻 p. 15-22
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
    原位置の補強土壁内で想定される引抜き状態に近い条件でジオテキスタイルの現場引抜き実験を実施し,作製方法の異なる引張強さが同等な2種類のジオテキスタイルの引抜き強度特性を比較検討した.引抜き強度は,土とジオテキスタイルの摩擦抵抗ならびに土とジオテキスタイルが一体化して発現する土のせん断抵抗によって発揮され,格子交点が一体型のジオテキスタイルは,接着型よりも後者の効果が大きいことが明らかとなった.また,補強土の変形を抑えるためにはジオテキスタイルと土のかみ合わせ効果を大きくすることが有効であり,十分な締固め管理に加え,良質な強度特性を有する盛土材料とジオテキスタイルを組み合わせる必要性を述べている.
  • 米良 有玄, 清田 隆, Xinye HAN, 片桐 俊彦, Christian HAUSSNER, 原田 道幸
    2015 年 30 巻 p. 23-30
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
    本研究は,盛土内の引張り補強材として立体形状のジオセルを用いた補強土擁壁の耐震性に関するものである.著者らは,ジオセルの土中引抜け抵抗力を高めるため,擁壁に対して垂直に縦材を配した改良型ジオセルを開発してきた.本研究では,この改良型ジオセルと二種類のジオグリッドを用いたそれぞれの補強土擁壁の地震時安定性を,振動台模型実験により検討した.また,擁壁の補強効果に及ぼす盛土材粒径の影響を検討するため,盛土地盤材料として粒径の揃った砂(D50= 0.25mm)と礫(D50= 14.2mm)を用いた.改良型ジオセルにより補強された擁壁模型は,他の擁壁模型と比べて高い耐震性を示した.また,ジオグリッドで補強された擁壁模型では,盛土材粒径が補強材の目合いよりも大きくなるとその耐震性が低下する傾向が確認された.
  • Ho Manh Hung, 桑野 二郎, 橘 伸也
    2015 年 30 巻 p. 31-36
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
    大地震により、橋梁とその取付道路の間に大きな段差がしばしば生じ、地震後に緊急車両がそこを通過できないような事態も生じうる。そのような問題に対処するため、CRE (Confined-Reinforced Earth)工法と呼ばれる、拘束補強土を下部路盤に導入する方法が提案されている。本研究では室内実規模模型実験において、ジオグリッドへのプレストレスの導入により補強体の剛性がどのように変化するかを調べるため、ジオグリッドを0%, 0.016%, 0.05%, 0.1%だけ延伸させた状態で補強体に強制的に段差を生じさせたところ、沈下特性に大きな違いが見られた。
  • Aung Aung Soe, 橘 伸也, 桑野 二郎
    2015 年 30 巻 p. 37-42
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
    四角形目合いの二軸ジオグリッドあるいは三角形目合いの三軸ジオグリッドを一層敷設した砂地盤の支持力・変形特性を円形板の模型載荷試験により調べた.同程度の単位面積あたり質量を持つジオグリッドであっても,三軸ジオグリッド敷設が効果的な支持力特性を得られることが明らかとなった.また,無補強と三軸ジオグリッド敷設の場合,地表面沈下量が載荷板を中心にほぼ同心円状の分布になることに対し,二軸ジオグリッド敷設では載荷板中心からの距離が同じでも方位性を持った分布となり,グリッドのリブ軸に対して45度方向で顕著な隆起が生じることが明らかとなった.
  • 植田 裕也, 常田 賢一, 嶋川 純平, 森田 晃司, 川本 卓人
    2015 年 30 巻 p. 43-50
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
    2011年3月の東北地方太平洋沖地震では,津波により大量のがれき残渣,いわゆる災害廃棄物が発生した.そのため,復興に際しては,これらのがれき残渣を盛土材として活用するため,ブロック状の固化体(アップサイクルブロックと呼ぶ)の開発が行われた.本研究は,アップサイクルブロックの単体を組み合わせた構造体を津波防潮盛土の盛土材として利用するため,技術的な課題の一つである耐津波性の検証を目的とした.そのため,まず,アップサイクルブロックを盛土材とした盛土模型に対して津波越流を模擬した基礎実験を行い,ブロックの一体化の意義などを明らかにし,次に,一体化のためのジオテキスタイルの適用法などに関する実用実験を行い,技術的可能性を明らかにした.
  • 深津 圭佑, 菊池 喜昭, 龍岡 文夫, 兵動 太一
    2015 年 30 巻 p. 51-58
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
    2011年の東北地方太平洋沖地震で引き起こされた津波が防潮堤を越流することによって,多くの防潮堤が崩壊し,背後の住宅などが甚大な被害を受けた.その後,津波に対して粘り強い防潮堤の構築の検討がなされている.本研究では,小型循環水路内に設置した高さ100 mmの砂質盛土の模型を作製して越流時の防潮堤の抵抗性を検討した.防潮堤の内部構造や被覆方法を変えた一連の防潮堤模型を作製し,流量を段階的に増加させた越流実験を実施した.その結果,盛土の上に砕石で被覆した上にパネルを被覆することによって防潮堤の耐津波特性が格段に向上する結果となった.またパネルをジオシンセティックス補強土に連結していない状態で被覆したGRS防潮堤は,パネルを使用しないGRS防潮堤に比べ耐津波特性がさらに向上した.
  • 川邉 翔平, 深津 圭佑
    2015 年 30 巻 p. 59-66
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
    GRS一体橋梁はジオシンセティックスにより補強された背面土と橋台が一体化され,さらに,桁と橋台が一体となっている.したがって津波による越流中に,桁が流失せずに残留する場合には,桁と橋台に作用する津波荷重が継続して橋台に作用することになる.本研究では,GRS一体橋梁に津波が作用した時を想定して,橋軸直交水平方向から荷重を受ける橋台を模擬した室内実験を実施した.実験結果から,補強材を導入することにより橋台背面と背面土との間に生じる摩擦力が増加,または維持され,背面土が無補強の場合と比較して,横荷重に対する抵抗性の向上が期待できることが分かった.また,橋台に作用する外力に対して橋台背面に作用する力と補強材張力との関係について検討した.
  • 倉上 由貴, 二瓶 泰雄, 森田 麻友, 二見 捷, 板倉 舞, 菊池 喜昭, 龍岡 文夫
    2015 年 30 巻 p. 67-74
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
    本研究では,省スペース・低コストで耐越流侵食性強化対策として提示されているGRS河川堤防の越流・浸透特性に対する適切な堤体材料やジオグリッドの目合いの大きさの影響を把握するために,小型模型実験を実施した.その結果,堤体材料に細粒分を20 %程度含ませることやジオグリッドの目合いの大きさを4D50(D50:堤体材料の平均粒径)程度にすることにより,GRS河川堤防の耐越流侵食性が大幅に向上した.また,今回行った定水位浸透実験の範囲では,ジオグリッド周囲の水みちの形成は顕著でなく,むしろジオグリッドの敷設によって浸透流量は抑制された.さらに堤体内にジオグリッドを敷設することにより裏のり面の浸透侵食が大幅に抑制され,GRS河川堤防が耐浸透向上策にもなる可能性が示唆された.
  • 小山 直輝, 橋詰 豊, 金子 賢治, 濱中 寿夫, 石井 大悟
    2015 年 30 巻 p. 75-80
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
    2011年東北地方太平洋沖地震により発生した津波によって東北地方沿岸域の防潮堤は大きな被害を被った.越流津波による陸側の基礎地盤の洗掘が防潮堤の破壊要因の一つとして認識されている.したがって,津波の越流による防潮堤の被害を防止するためには,防潮堤裏法尻部の洗堀を防ぎ,防潮堤の基礎の洗掘を防止する必要がある.本研究では,開水路水槽と地盤(移動床)模型を用いてジオセルによる防潮堤裏法部の洗掘対策手法について水理実験を行い検討した.その結果,防潮堤法尻部の地盤洗掘対策には,ジオセルを用いる手法が有効であることがわかった.法尻部に根固めブロックを敷設した実験も行い,根固めブロックを敷設する場合でも砂地盤上に直接設置するよりもジオセルを用いて補強した地盤上に設置する方が信頼性が高まることが確認された.
  • 山中 光一, 峯岸 邦夫, 野田 遼斗, 早川 祐樹
    2015 年 30 巻 p. 81-88
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
    ジオシンセティックスの一つであるジオフォーム(以下,発泡ビーズと呼称)を建設発生土等へ混入させ軽量化を図る発泡ビーズ混入軽量化土がある.この発泡ビーズ混入軽量化土は,路床への適用性が確認されているが,発泡ビーズ混入軽量化土を路床へ用いる場合は,構築路床としての利用が想定されるのに対して構築路床としての設計定数については明らかにされていない.発泡ビーズ混入軽量化土は,圧縮性の高い発泡ビーズが混入されていることから,合理的に舗装の設計を行うためにも設計定数を明らかにさせる必要がある.そこで本研究では, 多層構造解析プログラムを用いた舗装の構造解析を行い,発泡ビーズ混入軽量化土の特徴である密度の変化が,構築路床として用いた際の弾性係数に及ぼす影響について考察を行った.
  • 宮本 慎太郎, 安福 規之, 石藏 良平, 笠間 清伸
    2015 年 30 巻 p. 89-96
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
    繊維材料が粒状材料に混入された繊維–粒子複合材料の応力・ひずみ関係を評価することは,繊維材料の種類や含有率による影響の評価や,複合地盤としての変形性の予測を考える上で重要である.本研究では,このような立場から,複合則を用いた繊維–粒子複合材料の構成モデルの構築を試みている.複合則では,繊維材料と粒状材料の挙動を明らかにし,各々の挙動の関連性を評価する必要がある.そこで本論文では,粒状材料内での繊維材料の変形挙動を明らかにした.また,実験結果を元に,繊維材料と粒状材料の挙動の関連性を考察した.結果より,繊維材料の変形挙動は弾完全塑性的な挙動に簡略化して評価できることを明らかにした.さらに繊維材料の変形は粒状材料の変形とひずみエネルギー増分が同等となるように進展することを考察した.
  • 石垣 幸整, 川口 貴之, 大嶺 聖, 三上 登, 山下 聡
    2015 年 30 巻 p. 97-104
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
    連続繊維補強土は,植生の生育基盤としての機能を有する繊維補強土である.本研究では,安定性の更なる向上のために固化材を添加した連続繊維補強土の性能評価を試みた.具体的には,固化材は比較的植物への影響が少ない低アルカリの固化材を選定し,その添加量は砂乾燥重量比で1~2%とした.また,植物の生育性等による緑化性能の評価に加え,低応力下や浸水条件下でのせん断強度,凍結融解や乾湿繰返しに対する耐久性の評価を実施した.その結果,低アルカリ固化材を1~2%添加すると,特に低応力下でせん断強度が増加し,浸水に伴うせん断強度の低下を低減できることが明らかになった.また,緑化性能や耐久性についても実用上問題がないことが確認され,低アルカリ固化材を添加した連続繊維補強土の有用性が明らかとなった.
  • 古賀 新太郎, 佐藤 研一, 藤川 拓朗, 古賀 千佳嗣
    2015 年 30 巻 p. 105-110
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
    これまで著者らは土に短繊維を混合させることで土の引張強度を増加させ,せん断強度,靭性等の力学特性を向上させる短繊維混合補強土工法に着目し,新たな液状化抑制手法の提案を目的に検討を行ってきた.その結果,見かけの粘着力向上による液状化強度の増加を確認しているが,短繊維による強度増加は僅かであった.そこで本研究では,短繊維材料混合に伴う液状化抑制効果向上を検討するにあたり,短繊維の繊維長に着目し,一軸圧縮試験及び曲げ試験により強度・変形特性に及ぼす影響を明らかにした.また,非排水繰返しせん断試験により液状化特性についても検討を行い,一定の繊維長により液状化抑制効果を向上させることを明らかにした.
  • 平川 大貴, 宮田 喜壽
    2015 年 30 巻 p. 111-118
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
    人口減少社会を迎え,舗装構造物の機能の長寿命化や維持管理費の抑制の方法が模索されている.舗装の耐久性を上げて維持管理費の抑制を実現するためには,重交通車両による路盤の残留沈下を減少させる必要がある.一方,近年では建設材料のリサイクルも進んでいる.本研究では再生路盤材のうち主要な破砕コンクリートに注目し,その工学的性質を把握するとともに,短繊維混合補強による残留沈下の抑制効果を実験的に調べた.この結果,施工時での含水量と繊維混合量を適切に設定することで,交通荷重によって生じる路盤の残留沈下を効果的に抑制できることを確認した.
  • 河村 隆, 梅崎 健夫, 外谷 憲之, 大渕 智道, 吉田 浩之
    2015 年 30 巻 p. 119-124
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
    富栄養化対策を目的に,アンモニア態窒素NH4-Nを吸着除去する天然ゼオライトの担持量を多くして性能を高めたゼオライト機能紙(Z500紙)とリン酸態リンPO4-Pを吸着除去するPAdeCS®(パデックス)を担持させたPAdeCS機能紙(P260紙)を新たに開発した.NH4-N,PO4-Pを含む水溶液に対する吸着試験を実施した.その結果,Z500紙を用いることにより従来より少ない枚数で高い吸着効果を得ることができること,P260紙はPO4-Pを極めて短い時間で吸着すること,Z500紙のNH4-Nに対する吸着能力はP260紙の影響を受けること,P260紙を添加した場合は,pHが11~12程度まで上昇すること,富栄養化対策においては,Z500紙,P260紙の順でそれぞれ単独で用いた後に中和処理することにより適用できること,を明らかにした.
  • 川井 晴至, 島岡 隆行, 坂口 伸也
    2015 年 30 巻 p. 125-132
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
    本研究は廃棄物埋立地盤中に含まれる軟プラスチックの連続または不連続な処分状況が,斜面安定性に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする.傾斜した地山上に堆積した廃棄物埋立地盤を大型土槽内に再現し,軟プラスチックが充填試料の全体に混在し,連続的に存在する廃棄物連続ケースと,充填試料中央に軟プラスチックの不連続面を設けた廃棄物不連続ケースの比較実験を行った.その結果,両ケースの壁面での側圧分布は大きく異なり,可動壁の移動に伴う側方応力の開放時には,廃棄物連続ケースは安定した状態を保持したのに対し,廃棄物不連続ケースでは変形が収束しなかった.充填試料に含まれる軟プラスチックが,連続的に存在することで引張応力が水平方向に伝達され,充填試料全体のより大きな補強効果を発揮すると考えられる.
  • 佐々木 貴, 川口 貴之, 川尻 峻三, 澁谷 啓
    2015 年 30 巻 p. 133-140
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
    ため池堤体の遮水性改善を目的とした改修にベントナイトを用いた遮水シートを敷設する工法が採用されることがある.このとき,改修した堤体の地震や豪雨に対する安定性を検討するには,遮水シートと堤体との摩擦抵抗を正確に把握することが重要になるが,ベントナイト系遮水シートでは内部のベントナイトがシートと土の摩擦抵抗やシート自体の変形特性に影響を及ぼす可能性がある.そこで本研究では,一面せん断試験装置を用いて低応力下におけるシートと土の摩擦抵抗やシート内のベントナイトの変形特性などについて詳細に検討した.その結果,シートと土のせん断摩擦強さに及ぼすベントナイトの影響は小さいことやシートと土のせん断摩擦強さはシート内部のベントナイトのせん断強さよりも小さいことなどが明らかになった.
  • 中山 裕文, 作佐部 公紀, 小宮 哲平, 島岡 隆行
    2015 年 30 巻 p. 141-146
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
    本研究は,遮水シート表面の温度分布を利用して接合部の合否判定を行う熱画像検査法における閾値温度推定のための伝熱モデルについて検討したものである.接合部表面温度から接合不良を判定するための基準となる閾値温度は,接合条件や施工時の気温によって異なる.これまで,閾値温度を得るため多数回の実験により経験的関係式を導出していたが,遮水シートの材質や配合設計が変更されるとそのたびに実験が必要となり,時間と労力を要することが問題であった.そこで本研究では,接合時の遮水シートの伝熱挙動をモデル化し,計算によって合否判定のための閾値温度を導出することを試みた.熱電対を用いて遮水シート接合時の融着面温度,表面温度を計測し,接合部断面の伝熱現象を把握し,伝熱モデルを構築し,閾値温度の計算を行った. 実験値と計算値はよく一致しており,モデルの妥当性を確認した.
  • 中村 大, 川口 貴之, 安達 隆征, 川尻 峻三, 渡邊 達也, 佐藤 厚子, 吉原 孝保
    2015 年 30 巻 p. 147-154
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
    寒冷地の切土のり面に施工したU形排水溝では,凍上によって機能不全が生じることがある.筆者らはこれまでに高強度かつ柔軟なジオシンセティックス排水材と再生骨材を組み合わせて,凍上に強い小段排水溝を開発することに取り組んできた.研究の結果,開発した小段排水溝が地盤の凍上・融解沈下挙動に追従し,凍上で損傷しないことが確認された.しかしながら,この小段排水溝は施工時の作業性が悪く,その通水性能は従来のU形排水溝と比べて劣っている.そこで本研究では,施工性の改善を目的として,排水材のみで小段排水溝を作製することを試みた.また,排水溝の断面形状を工夫することで,通水性能を従来のU形排水溝と同程度にまで改善した.そして,いずれの排水溝でも凍着凍上現象による持ち上がりを防げることを確認した.
  • 川口 貴之, 中村 大, 川尻 峻三, 林 豪人, 原田 道幸, 山下 聡
    2015 年 30 巻 p. 155-162
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
    鋼製枠やジオセルを壁面材としたジオテキスタイル補強土壁を対象とした凍結融解挙動の観測から,凍上性を有する盛土材を使用すると,非凍上性土を用いた場合に比べて凍結融解に伴う前方変位が大きくなることが分かっている.しかし,このとき壁面材と連結された土中のジオグリッドが凍結融解によってどの程度の負荷を受けているのかについては良く分かっていない.そこで本研究では,屋外に構築した試験土槽内にひずみゲージを貼り付けたジオグリッドを敷設して凍結融解挙動を観察するとともに,小型の室内試験土槽を用いて張力や拘束圧が作用した条件下でのジオグリッドの凍結融解挙動についても調べた.更には,先述の補強土壁を解体してジオグリッドやジオセルを採取し,引張試験等から損傷や劣化が進行していないことを確認した.
  • 橋詰 豊, 小山 直輝, 濱中 寿夫, 石井 大悟, 金子 賢治, 野田 英彦
    2015 年 30 巻 p. 163-170
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
    北東方に位置する八戸地域は冬期間の気温が低く,降水量も少ない気候である.一方高館ロームと呼ばれる火山灰質粘性土が広く厚く堆積しており,凍上作用を受けやすい地域特有土である.切土斜面において積極的な凍上対策工を施されない場合が多く,近年そのような現地土での凍上の問題が多発し維持管理上の地域的課題となっている.本研究では7種の対策工を検討し,原位置試験を行った.また,試験記録より現地盤の熱伝導率を算出し,解析により断熱層の厚さを誘導し,原位置試験結果との整合性を確認した.その結果,断熱材厚さの算出方法と,断熱材を用いない対策工法の可能性を確認できた.
  • 辻 慎一朗, 伊藤 修二, 小嶋 啓介, 伊藤 雅基
    2015 年 30 巻 p. 171-176
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
    ジオテキスタイル拘束土壁工法(以下,拘束土壁)は,ジオテキスタイルで土質材料を拘束した構造体を積層し,自立した抗土圧構造物を構築する工法である.拘束土壁はジオテキスタイルと土の摩擦抵抗に頼らない構造であるため,躯体の幅を通常のジオテキスタイル補強土壁工法に比べて小さくすることができ,掘削の難しい堅固な地山が近接する箇所に多く適用されている.これまで施工された実際の拘束土壁は地震動を受けたことによる被害はないが,地震時の挙動は明確になっていない.そこで,本論文では,拘束土壁に対する振動台実験と安定解析を実施し,拘束土壁は一体化した擁壁として挙動し,破壊時には転倒モードが卓越すること,拘束土壁の安定性は震度法による安定計算により評価できることを確認した.
  • 峯岸 邦夫, 山中 光一, 長谷川 圭介
    2015 年 30 巻 p. 177-182
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
    透水性舗装は,路床が軟弱化することによって路盤材が路床土へ混入する場合がある1).これらの対策として路盤と路床の間にジオテキスタイル(以下,不織布)を敷設することにより,舗装の支持力の低下を抑制することや設計厚を維持することが可能となるが,舗装下に敷設した不織布の耐久性能を評価する方法は確立されるまでに至っていない2).峯岸らの研究3)では,目付量の異なる不織布3 種類を用いて3 項目の評価方法で耐久性の評価を行った.その結果,一部の評価方法について課題点が浮上した.本研究では,舗装下に敷設後の不織布の耐久性評価方法の提案を目的として検討を行った.
  • 島田 貴文, 中島 進, 谷 賢俊, 成田 浩明, 佐藤 武斗, 藤原 寅士良, 高崎 秀明, 池本 宏文
    2015 年 30 巻 p. 183-
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/07/13
    ジャーナル フリー
    都市部鉄道沿線の地山前面に構築された石積み壁は,壁体背面近傍に用地境界が存在することが多く,用地の制約により耐震補強の実施が困難となっている.本研究では,用地制約のため棒状補強材を鉛直に近い角度で配置し,崩壊防止ネットを併用した既設石積み壁の耐震補強法を提案した.提案工法における補強効果・メカニズムの確認を目的とした振動台実験により,崩壊防止ネットの引き留めによる積み石の抜け出し防止効果と,地山補強材の抵抗力を全体に伝達し壁体を拘束する効果を確認した.また,壁体変位の増加に伴い,地山補強材の引張り補強効果と曲げ補強効果が発揮され,背面地盤に用地制約があり,通常の補強材打設角度では必要補強材長が確保できない場合でも,既存の補強工法と同程度の補強効果が得られることを確認した.
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