廃棄物最終処分場には、ごみや焼却灰から発生する浸出水 (汚水) の地下水への浸透を防ぐ目的で、表面しゃ水工としてジオメンブレンが用いられている。底面に敷設されたジオメンブレンは、ジオテキスタイル及び保護土で覆われた状態で使用されるが、法面に敷設されたジオメンブレンは法面天端や小段で固定された暴露状態のままで長期間使用される。ところで、高温環境下で敷設されたジオメンブレンの環境温度が低下すると法面天端や小段の固定部では、固定コンクリートの持ち上がり等の不具合が起こることがある。著者らは固定能について検討してきたが、固定部のジオメンブレンに作用する力としては、ジオメンブレンの自重や圧密沈下による引張り、埋立物の圧縮による引き込み等が考えられるが、HDPEシート等では温度変化による内部応力(熱応力)が非常に大きい。-20℃~80℃の温度環境下において、温度と降伏点強度の関係は直線的であるが、温度と弾性係数の関係は指数的であり、低温では弾性係数が急激に増加すること等を報告する。また、熱応力80℃から-25℃にまで温度を低下させた場合に発生する熱応力を計測して、熱応力と弾性係数の関係を求め数式化している。さらに、本報告では、熱応力やしゃ水シートの許容伸びに関する安全性の新しい指標であるコ・エネジー(co・energy)について解析する。
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