治療ガイドラインの制定,診療報酬の包括化,臨床研修の必修化など,診療内容に変化を与えるような制度上の変革が起こっている.これらが重症頭部外傷の治療に,この10年間でどのような変化をもたらしたかを調査した.脳低温療法,ステロイド投与,バルビツレート療法,過換気療法などの実施率は低下し,高浸透圧利尿剤投与の実施率が増加している.持続頭蓋内圧測定の実施率は,最も大きな減少を示した.医療収支の検討では,「医療処置」の支出低下が著しく,この分野で診療が簡素化されていると推測される.これらの結果は,診療内容が画一化,単純化していることを示唆している.その原因となっている医療制度上の問題点について,私見を交えながら整理する.
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