特発性正常圧水頭症(iNPH)診療ガイドラインが公表されて以来,iNPHの診断が容易になされるようになり,症例数も増加傾向にある.MRI/CT所見として,脳室拡大に加えて,シルビウス裂拡大と高位円蓋部クモ膜下腔狭小化が重視されているが,これらの所見がどの程度の頻度でみられるのかを検討した.MRI/CT水平断では,高位円蓋部よりも半球間裂の狭小化を重視し,定型,ほぼ定型,非定型に分類した.iNPHと確定診断した33例中,定型10例,ほぼ定型16例,非定型7例であった.定型,ほぼ定型を合わせれば約80%で診断可能であり,画像診断は有用と考えられた.しかし,脳萎縮との鑑別が困難な例も20%程度あり,また,診断医の個人差も存在することから,すべての例が画像のみで診断可能というわけではなく,症状と画像所見からまずiNPHを疑うことが重要と考えられた.
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