脳神経外科ジャーナル
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21 巻, 11 号
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特集 ステップアップの手術アプローチ
  • 野田 公寿茂, 谷川 緑野, 上山 博康, 太田 仲郎, 薮内 伴成, 宮田 至朗, 小坂 章, 坪井 俊之, 徳田 禎久
    2012 年 21 巻 11 号 p. 834-841
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/22
    ジャーナル フリー
     前交通動脈瘤のクリッピング術にはpterional approachとinterhemispheric approachがあるが, われわれはほぼ全例で後者を選択している. Interhemispheric approachでは, 複雑な前交通動脈の解剖学的構造を直視下に確認することが可能であり, 理想的なclosure lineでのクリッピングが可能である. 強固に癒着した半球間裂の剥離は難易度が高く, 前頭洞の処理や嗅神経の保護など留意すべきポイントがいくつか存在する. 無血で半球間裂の剥離を行うためには, 十分な術野展開を行い, 切離すべき対象物を視認することが必須である. 日頃から美しい術野の形成を心がけ, 技術の向上に努めることが重要である.
  • 栗田 浩樹, 大井川 秀聡, 竹田 理々子, 中島 弘之, 吉川 信一郎, 大塚 宗廣, 岡田 大輔, 鈴木 海馬, 佐藤 大樹, 柳川 太 ...
    2012 年 21 巻 11 号 p. 842-847
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/22
    ジャーナル フリー
     Orbitozygomatic approachはpterional approachの応用で, より外側下方から頭蓋内高位を見上げる手法である. 本稿では, われわれが施行している基本手技 (1-piece method) について解説し, 脳血管外科領域における本法の臨床応用について検討したので報告する. 過去2年間に施行された脳血管外科手術290例 (脳動脈瘤直達術251, 脳動静脈奇形 [AVM] 摘出術39) のうち, 本法が適応されたのは7例 (2.4%) であった. 内訳はcoil塞栓術が困難と判断されたBA-tip AN 4例, 高位BA-SCA AN 2例と, 大型の左medial temporal AVM症例であり, 術後は全例で病変の消失が確認され, morbidityは1例にとどまった. Intravascular treatmentが普及した現在, 脳血管領域では使用頻度こそ少ないが, 広いsurgical corridorが得られる本法は, 高難易度病変に対して必要不可欠なapproachである.
  • 工夫と注意点
    河野 道宏
    2012 年 21 巻 11 号 p. 848-856
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/22
    ジャーナル フリー
     Anterior transpetrosal approachは, 小脳橋角部や脳幹腹側部とともにMeckel腔の処置を同時に行えるため, 三叉神経鞘腫やテント髄膜腫がよい適応となる. また, 脳底動脈瘤や脳幹病変にも応用される. 本アプローチの欠点は術野が狭いこと, 側頭葉の牽引を要すること, 操作範囲が限られており, 下位脳神経群レベルの操作には適さないことである. 注意するべき合併症は, 側頭葉の牽引に伴う側頭葉症状で, 腰椎ドレナージや脳ベラのコントロールにより回避する工夫が必要である. 決してやさしいアプローチではなく, 十分な側頭骨解剖の理解と合併症回避の知識をもったうえで実際の臨床に用いることが重要である.
  • 長谷川 光広
    2012 年 21 巻 11 号 p. 857-863
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/22
    ジャーナル フリー
     Transcondylar approachは通常の後頭下開頭に加え, 側方の後頭顆窩と後頭顆後内側1/3の骨削除, さらに環椎の半側椎弓切除や頚静脈結節の削除を加えることにより, 延髄の圧排なしに椎骨脳底動脈の血管性病変や延髄前面, 側面, 斜台部の病変に到達するものである. VA-PICA動脈瘤, 大孔部の髄膜腫, endodermal cyst, 類上皮腫, さらには下位脳神経のMVDなどが対象となりうる. 血管内手術, 定位放射線手術等の技術が円熟しつつある現在, transcondylar approachは決して使用頻度は高くはないものの, 必要時には近傍の外科解剖を熟知したうえで確実に実践, 応用できるよう習得しておくべき重要なアプローチの1つである.
  • 辛 正廣, 近藤 健二, 斉藤 延人
    2012 年 21 巻 11 号 p. 864-872
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/22
    ジャーナル フリー
     近年の内視鏡技術の発展は目覚ましく, 従来, 下垂体病変のみが適応とされていた経鼻的手術は, 頭蓋底外科手術の領域へとその適応を広げている. 内視鏡下頭蓋底アプローチでは, 前頭蓋底, 傍鞍部, 斜台をはじめとし, 海綿静脈洞や頭蓋頚椎移行部といった従来到達が困難であった部位などの広い範囲に, 到達が可能となっている. 内視鏡下頭蓋底手術では, 従来の顕微鏡下での頭蓋底アプローチと比較して, 技術の習得が容易であるが, その習熟にはいくつか手術の “コツ” が存在する. ここでは, こうした手術の要点を含め, 現在広く行われている基本的なアプローチ法から, 近年われわれが開発した方法について, 内視鏡下頭蓋底手術の実際について紹介する.
  • 各種手術法の選択
    高安 正和
    2012 年 21 巻 11 号 p. 873-882
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/22
    ジャーナル フリー
     頚椎前方アプローチは頚椎症患者の脊髄前方病変の切除に広く用いられ, 後方アプローチに比べ, 頚部筋群に対する侵襲度が少ないため, 術後の創部痛・軸性疼痛ははるかに少ない. 前方法にはいくつかの手術手技のバリエーションが存在し, それぞれ利点・欠点を有する. 一般的な椎間板腔からのアプローチ, 椎体切除を行う方法, 固定を行わないkey-hole foraminotomy手術, 等々. ステップアップのためにはいくつかの手術手技を習得することも大切である. ここでは, それぞれの手術手技のポイントについて簡単に述べるとともに, 有効性と低侵襲性の面からの選択基準についても言及する.
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