脳神経外科ジャーナル
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22 巻 , 10 号
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特集 脳動脈瘤治療に残る課題
  • 菊池 隆幸, 宮本 享, 高橋 淳, 舟木 健史
    2013 年 22 巻 10 号 p. 742-748
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/25
    ジャーナル フリー
     きわめて予後不良である巨大脳動脈瘤に対する治療は, 通常の動脈瘤頚部クリッピングや動脈瘤内コイル塞栓術では困難である. 治療困難な巨大脳動脈瘤の血栓化および退縮を目的とし, 動脈瘤周辺の血管を分離することにより動脈瘤へ流入する血流を減少させる治療をflow reduction treatmentと定義し, この治療のコンセプトと明らかになりつつある問題点および今後の展望について概説する.
  • 松本 康史, 近藤 竜史, 清水 宏明, 高橋 明, 冨永 悌二
    2013 年 22 巻 10 号 p. 749-758
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/25
    ジャーナル フリー
     血管内手術は開頭手術が困難な場合のalternative treatment modalityという位置づけであったが, 近年では逆に, 開頭手術がalternative treatment modalityともいわれている. 一般的な脳動脈瘤についてはそうであっても, 治療困難な脳動脈瘤については明確な指針はない. 最終的には, tailor-made treatmentが必要ということになるであろうが, 血管内手術の立場から治療戦略を検討した. 血管内手術の治療戦略は使用できるデバイスによって, 大きく変化する. 本稿では, 本邦で現在使用可能なデバイス使用下での血管内手術に残された代表的な課題, (1)ワイドネック脳動脈瘤, (2)大型脳動脈瘤, (3)血管分岐を含む脳動脈瘤, (4)部分血栓化脳動脈瘤について症例を提示しながら「現在の血管内手術に残された課題」を検討した.
  • 鈴木 倫保
    2013 年 22 巻 10 号 p. 759-769
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/25
    ジャーナル フリー
     くも膜下出血 (SAH) の病態や, 社会的影響も含めて課題をレビューする. 診断 : SAH発症当日に診断されない患者は20%を超えることや脳血管攣縮の診断基準が標準化されていないことが問題である. 治療 : Clip/Coilのmodalityの選択は適応が収斂してきたが, 周術期合併症は両者とも高頻度でありこれを謙虚に受け止めるべきである. わが国の実態を把握して日本のガラパゴス化を防ぐために, nationwide studyは必須である. 少子高齢化 : 今後のSAH治療は, 大都市では医療需要激増への対応, 地方圏では医療down sizingが問題となり, 脳神経外科専門医の分布も焦点となる.
  • 森田 明夫
    2013 年 22 巻 10 号 p. 770-777
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/25
    ジャーナル フリー
     UCAS Japanの結果から未破裂脳動脈瘤の自然歴は, 大きさ, 部位, 形状に有意に影響されることがわかった. さらに高血圧, くも膜下出血の既往, 喫煙も関与する因子とされる. また多発瘤は個々の瘤の破裂リスクは単発と比較して高くないが, 患者単位では複数分の瘤の合計した破裂リスクがあることに留意すべきである. 経過観察の方針となった場合, 小型の瘤でも慎重な画像フォローが必要であることがこれまでの報告から明らかとなった.
  • 片岡 大治
    2013 年 22 巻 10 号 p. 778-785
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/25
    ジャーナル フリー
     ヒト動脈瘤壁では血管壁の退行性変化がみられ, それが脳動脈瘤破裂の主因であることが病理学的検討から示されてきた. われわれは実験的脳動脈瘤モデルを用いて, モデル動物の脳動脈瘤壁にもヒト脳動脈瘤と同様の退行性変化が起こること, その退行性変化が血管内皮細胞におけるNF-κBの活性化に始まり, 脳動脈瘤壁へのマクロファージの集簇, MMPなどのproteinaseの分泌とコラーゲンの合成抑制による細胞外マトリックスの分解亢進に至る炎症カスケードによって促進されることを明らかにしてきた. また, これらの炎症性変化を抑制するスタチンやおとり核酸の投与によりラット脳動脈瘤壁の退行性変化が抑制されることも証明した. 一方, computational fluid dynamics (CFD) を用いた流体力学的アプローチによって, 動脈瘤壁に生じる血行力学的負荷が, 動脈瘤発生や破裂に密接に関係していることが示されてきている. 今後の課題は, どのようなflowが炎症カスケードの引き金になるかを検討することである. この課題が克服されれば, 脳動脈瘤破裂の予測や破裂防止のための薬物療法の開発が可能になると期待される.
症例報告
  • 小川 博司, 國井 尚人, 広島 覚, 佐藤 正夫, 安栄 良悟, 鎌田 恭輔
    2013 年 22 巻 10 号 p. 786-790
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/25
    ジャーナル フリー
     脳腫瘍摘出では機能の温存が重要であり, その機能マッピングには覚醒下手術, 頭蓋内電極による脳皮質電気刺激 (ECS) がある. しかし, ECSは痙攣誘発のリスクや痛みなどを伴う. 近年は脳皮質電位 (ECoG) による機能マッピングの報告があり, 特に高周波律動に注目が集まっている. 今回われわれは, 言語野近傍の脳腫瘍患者において, 頭蓋内電極によりECSマッピングとECoG計測を行った. ECoGは60∼120Hzの高周波律動であるhigh Gamma activity (HGA) に着目した. 文字読み課題で約600msec付近に誘発されたHGAはECSマッピングの側頭葉言語野と一致していた. また, HGAは後頭葉から側頭葉-前頭葉言語関連機能ダイナミクスを表していた. 本症例で施行した認知課題ECoGはECSに代わる脳機能マッピング法となる.
  • 濱田 緒美, 上羽 哲也, 緒方 利安, 野中 将, 福田 宏幸, 塩田 悦仁, 井上 亨
    2013 年 22 巻 10 号 p. 792-797
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/25
    ジャーナル フリー
     目的 : ロボットスーツHALを用いた急性期リハビリテーションにおける麻痺側生体電位の検出について検討した.
     症例 : 症例は56歳女性, 破裂脳動脈瘤に対する開頭術後に脳梗塞を合併したためHALを使用した.
     結果 : 術後2日目, 患側生体電位は座位時検出されず, 立位時わずかに検出された. 術後9日目まで患側の股関節の屈筋, 伸筋すべてに生体電位が出現し, 術後19日目以降膝伸筋のみに検出されるようになった.
     考察 : HALを用いた急性期リハビリテーションは, 立位により生じる反射を利用し筋収縮を促し, 本来の運動パターンへと学習させていくことで, 促通的に歩行可能となっていくことが示唆された.
神経放射線診断
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