脳神経外科ジャーナル
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22 巻, 4 号
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特集 小児脳神経外科の課題
  • 加藤 光広
    2013 年 22 巻 4 号 p. 252-255
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル オープンアクセス
     脳形成異常の分類は, 原因遺伝子と脳発生機序に基づいて数年ごとに更新されている. 原因となる遺伝型と表現型の関連性は複雑だが, 座位異質性と多面発現の2つに分けられる. 座位異質性を示す代表が全前脳胞症であり, SHH, ZIC2など前脳腹側化に関与する多様な遺伝子の変異によって同一の表現型が現れる. 一方, 多面発現の代表がARX遺伝子であり, 機能喪失変異は脳形成異常をきたすが, 機能獲得変異は脳形成異常を伴わない精神遅滞やてんかんなど幅広い多様な表現型を示す. 脳形成異常の遺伝子同定は進歩が著しく, 最新の情報に基づいた診療が望ましい.
  • 特に母体の葉酸摂取が予防に働くメカニズムについて
    伊地 俊介, Chandra S. K. Mayanil, 富田 忠則
    2013 年 22 巻 4 号 p. 256-268
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル オープンアクセス
     ヒト二分脊椎の原因は, 葉酸代謝関連遺伝子異常や母体の糖代謝関連遺伝子異常をはじめとするgeneticな要因や, 抗てんかん剤内服によるNTDリスク上昇などnon-geneticな要因が複合的に関与 (gene-environmental interaction) し, multifactorialであるといわざるをえない. 1998年から小麦製品への葉酸添加が始まった北米では着実に罹患率が低下し, 栄養強化政策は世界各国に広がりつつあるが, 逆に本邦では徐々に罹患率が上昇している. 葉酸によるNTD予防の機序にはepigeneticな遺伝子発現調節の機構が深く関与し, 神経堤幹細胞の増殖や分化にもかかわっている.
  • 坂本 博昭, 松阪 康弘
    2013 年 22 巻 4 号 p. 269-275
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル オープンアクセス
     小児脳神経外科領域での周術期管理に関して成人と小児で大きく異なる点は, インフォームド・コンセントに関する考え方, 胎児診断例への関与, 新生児期から乳児期における管理, 疾患としては先天性疾患, 水頭症, 腫瘍, もやもや病, 虐待による頭部外傷などがある. 本稿ではこれらに関して解説した.
  • 宮嶋 雅一, 木村 孝興, 近藤 聡英, 下地 一彰, 新井 一
    2013 年 22 巻 4 号 p. 276-282
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル オープンアクセス
     未熟児の水頭症の主な病因は脳室内出血であり, 出血の程度と水頭症の発症には相関がある. 髄鞘化に乏しい未熟な脳は圧迫を受けると容易に変形するため, 未熟児では頭囲が拡大する前に著明な脳室拡大を生じる. 周術期管理は, 利尿剤やステロイド剤の投与などの内科的治療と腰椎穿刺の反復, 髄液リザーバー留置による間欠的髄液穿刺排液, 脳室帽状腱膜下シャント, PIカテーテルによる持続脳室ドレナージなどの外科的治療がある. その後進行性に脳室拡大を認める場合は, 患児の体重が2,000gを超えた時点で, VPシャントを行う. シャント術は機能不全や髄液過剰排出などの合併症が問題となるが, 特に未熟児脳室内出血後水頭症では, 治療に難渋する多嚢胞性水頭症や孤立性第4脳室をきたしやすい. 将来の精神運動発達障害の要因は, 水頭症よりも出血の重症度と分娩前後の問題によると考えられている. 未熟児水頭症では, その周術期管理が患児の予後を左右する重要な要因になる.
  • 最近の知見と課題
    黒田 敏, 浜田 秀雄, 黒崎 邦和, 柏崎 大奈, 秋岡 直樹, 桑山 直也
    2013 年 22 巻 4 号 p. 283-291
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル オープンアクセス
     この総説において, 小児もやもや病の外科治療および周術期管理について, 筆者らの経験に基づいて詳細にレビューした. もやもや病に罹患した小児の長期予後を改善させるためには, 早期診断と早期治療, 乳幼児の周術期管理, 脳血行再建術の適切な術式選択, 長期にわたる経過観察が重要であることを強調したい.
  • 荒木 尚, 横田 裕行
    2013 年 22 巻 4 号 p. 292-302
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル オープンアクセス
     神経学の独立した一病態でありながら, 「小児の脳死」は, 常に臓器移植と関連して多くの視点から議論されてきた. 特に本邦では2009年7月「臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律 (いわゆる改正臓器移植法) 」の成立により15歳未満の小児からの脳死下臓器提供が可能となり注目を集めた. 一方2011年, 25年ぶりに米国小児脳死判定ガイドラインが改訂され, 膨大な文献の分析より診断基準の感度・特異度, 補助検査の有効性, 新生児に対する対応等が網羅された. 小児脳死判定は, 深昏睡・脳幹反射消失・自発呼吸消失の臨床診断を基本とする点で日米共通しているが, 脳死下臓器提供を前提とした場合に限り脳死を人の死とする本邦ではより厳密な判断や十分な体制整備が必要とされている. 本稿では, I. 小児脳死判定に関する問題, 特に日米のガイドラインについて, II. 小児脳死下臓器提供の体制構築における問題について概説する.
温故創新
症例報告
  • 桑原 政志, 江口 国輝, 山口 智, 光原 崇文, 工田 昌也, 武島 幸男, アマティア VJ, 杉山 一彦, 平川 勝洋, 栗栖 薫
    2013 年 22 巻 4 号 p. 306-312
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル オープンアクセス
     頭頚部原発のmalignant fibrous histiocytoma (MFH) はまれである. 症例は77歳男性, 左後頚部の腫瘤および痛みと顔面神経麻痺を訴え入院した. CTでは左後頭骨から錐体骨にかけて骨破壊を伴った腫瘤性病変を認めた. MRIにて病変部はT1強調像にて低信号, T2強調像にて高信号を呈していた. 画像所見は非特異的で, 診断は困難であった. 左後頭下開頭に続き錐体骨を削開して顔面神経を温存しつつ腫瘍を全摘出した. 術後局所放射線照射を行い, 術3年後の現在腫瘍の再発, 症状ともになく経過している.
     MFHは予後不良な悪性腫瘍であり, 一塊切除が摘出術の第一選択である. しかし本症例のように高齢で, 一塊切除を選択できない場合, 次善の策として周囲組織を含めた徹底した腫瘍全摘出と術後放射線療法も治療の選択肢となりえる可能性が示された.
  • 佐野 徳隆, 福田 健治, 佐藤 徹, 高崎 盛生, 森田 健一, 片岡 大治, 飯原 弘二
    2013 年 22 巻 4 号 p. 314-318
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル オープンアクセス
     【症例】78歳男性. 【現病歴】57歳時に頚部悪性リンパ腫に対し放射線治療および廓清を行った. 73歳時に右頚動脈狭窄症による脳梗塞をきたし, rt-PAを投与した. その後同側のmobile plaqueを伴う狭窄病変に対しCASを行ったが, 術後3年にわたって繰り返しステント内血栓をきたし, 抗血小板薬や抗凝固薬の調整に難渋した. 今回, 新たに左内頚動脈のmobile plaqueを伴った頚動脈狭窄症が原因と思われる散在性脳梗塞をきたし, CEAを行い良好な経過を得た. 【考察】放射線治療後の頚動脈狭窄症はCEA high riskとされ, CASが選択されることが多いが, 本症例のように長期予後が不良であることが多いと指摘されており, 頚部手術の有無やplaque性状に応じてCASとCEAを選択すべきと考えられた.
神経放射線診断
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