頚椎変性疾患の外科治療は, 脳神経外科医が行う頻度の高い手術である. 本稿では, 頚椎前方椎間固定術と椎弓形成術の基本手技と合併症について, 自験例の分析とともに解説した. 前方固定術は, 1ないし2椎間のヘルニアや骨棘等の前方病変に対して最も適応がある. 前方アプローチで目印となる構造は, 胸鎖乳突筋, 肩甲舌骨筋, 総頚動脈, 食道, 頚長筋である. 骨棘はダイアモンドバーでのドリリング後に鋭匙を用いて慎重に除圧する. 椎間固定には自家腸骨が標準といえるが, チタンケージもほぼ同程度の骨癒合率を有する. 後方アプローチでは項靱帯, 僧帽筋, 頭板状筋, 頭半棘筋, 頚半棘筋, 多裂筋が目印となる構造である. 椎弓を開くための溝は椎間関節のすぐ内側に作成して脊椎管の十分な除圧を行う. 閉創では, 後方の軟部組織, 特に項靱帯と付着する筋の再構築が重要である. また, 手術合併症と術後経過中に起こり得る病態に関してよく知っておくことは頚椎変性疾患の治療に必須である.
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