脳神経外科ジャーナル
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22 巻 , 7 号
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特集 進歩を遂げる画像診断と手術支援
  • 金 太一, 庄島 正明, 吉野 正紀, 中川 大地, 花北 俊哉, 武笠 晃丈, 今井 英明, 辛 正廣, 中冨 浩文, 小山 博史, 斉藤 ...
    2013 年 22 巻 7 号 p. 504-509
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/25
    ジャーナル フリー
     医用画像技術はまさに日進月歩で進化している. CT, MRIには多種多様なシーケンスが存在し, そのほかにも脳血管撮影, 核医学検査, 最近では拡散テンソル画像やfunctional MRIなどの脳機能画像や, phase contrast MRIやflow dynamic simulationによる血流画像の発展も目覚ましい. これらの多種多様な画像情報を融合して三次元視覚化する試みが行われているが, その画像処理方法にはいまだ解決すべき課題も多い. 本報告では, われわれの施設における450例の融合三次元画像による脳神経外科手術シミュレーションの経験から, 臨床に有用な融合三次元画像を作成するための基本的知識, 原理, 実際の構築方法, および有用性と課題, 今後の展望について概説する.
  • 梶田 泰一, 森 健策, 林 雄一郎, 若林 俊彦, 吉田 純
    2013 年 22 巻 7 号 p. 510-518
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/25
    ジャーナル フリー
     近年, 画像診断技術の進歩により, 脳神経外科手術の術前計画を詳細に作成することが可能となっている. 特に, 重要な脳機能近傍病変の手術においては, functional magnetic resonance image (fMRI) やtractographyを用い脳機能皮質と白質線維を描出し, 病変との位置関係を知り, 最適な手術計画を検討する必要がある. ニューロナビゲーション技術は, 術前計画を確実に実行するために, 必要不可欠となっている. 一方, 術中にナビゲーションの位置精度を失うこともしばしば経験し, 術者が過度にナビゲーションを信頼することも危険である. 位置精度誤差の原因は, 画像の歪み, レジストレーション等から生じるわずかな誤差の積み重ねであるが, 最大の問題は, 術中の髄液漏出や脳腫瘍切除に伴う脳偏位である. 術中画像撮像による術前ナビゲーション画像のアップデートがこの問題の最もよい解決法である. 術中MRI撮影をするには, 装置を手術室に導入する困難さがあり, また, 安全に手術をするための制限も多く, 広く普及していない. 超音波画像は, 簡便な撮像法であるが, ナビゲーション精度を生かせるほどの画質には至っていない.
     今後のニューロナビゲーションに期待されるものは, まず手術の進行に伴う脳偏位に対し, ナビゲーション精度を失わない対策である. また, 術前, 術中に得られる多くの手術支援情報を, ナビゲーション画像に統合し, 術者が直観的に理解できる画像生成技術の開発も有用となる. コンピューター技術の発展は, 術野内の重要な血管や神経線維の構造物をコンピューターが解釈し, 術者に解剖学的情報を提供しながら主導的にナビゲートする手術, ニューロナビゲーションが手術計画を超えて手術スタッフや手術室全体をナビゲートする (environmental navigation) 技術や, cloud技術を用いたネットワーク型ナビゲーション, あるいはナビゲーション画像を使って熟練脳外科医が遠隔手術を支援するヘッドクォーター型ナビゲーションなどの展開が期待される.
  • 三國 信啓
    2013 年 22 巻 7 号 p. 519-524
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/25
    ジャーナル フリー
     医療機器やコンピュータの進歩に伴い, 術前術中脳機能検査技術はこの十数年間に飛躍的な進歩を遂げてきた. これらの技術はてんかんにおける研究を通じて発展し, 現在では脳腫瘍, 血管障害を含めた脳神経外科手術全般において重要な位置を占めるようになっている. “マッピング” された脳機能を “モニタリング” しながら手術を安全かつ効果的に行う. さまざまな脳機能研究の中で, 病態下での脳神経外科術中モニタリングを脳の生理学的側面から捉え, 機能代償・回復という視点をもつことが重要である. 本稿では最も一般的な運動機能モニタリングについて, 電気刺激による誘発電位と随意運動の差異についての自験例を含めて解説した. 今後さまざまな脳機能検査がさらに簡便に使用できるようになり, 術中の手術方針決定には生理学的考察により検査結果を理解できることが必要と考える.
  • 小出 百合, 林 俊宏, 岩田 淳
    2013 年 22 巻 7 号 p. 525-531
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/25
    ジャーナル フリー
     わが国では65歳以上の認知症有病率が14%程度と推定されており, 高齢化に伴って今後も増え続けるといわれる. 近年の画像診断技術の発展は目覚ましく, アルツハイマー病をはじめとする変性性認知症の診断に大きく貢献している. 構造画像では, 以前は非変性性認知症の除外診断が主目的であったが, 最近では, アルツハイマー病での海馬や嗅内野の萎縮など, 積極的に認知症を鑑別するようになってきている. また機能画像においては脳血流SPECT, FDG-PETで各種疾患による特徴的な血流・代謝低下を捉えることにより認知症の鑑別に役立っている. その他アミロイドβタンパクの脳内沈着を画像化するアミロイドイメージングをはじめとし, 生体病理診断のための新技術も発展している. 今回は, 早期診断や治療薬の開発などにますます重要となってきている, 認知症の画像診断について概説する.
温故創新
原著
  • 寺田 行範, 花北 順哉, 高橋 敏行, 渡邊 水樹, 河岡 大悟, 富永 貴志, 安部倉 友, 森本 貴昭
    2013 年 22 巻 7 号 p. 535-540
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/25
    ジャーナル フリー
     腰椎椎間板ヘルニアに伴う疼痛性側弯の特徴や術後の側弯の変化を分析し, 適切な治療法の検討を行った. 対象は134例で, L1-5 Cobb角が3度以上を側弯ありと定義した. 疼痛性側弯は77例 (57%) に認め, 76例中54例 (71%) で病変側に凸となる側弯を認めた. 術前のCobb角10度以上群と3∼10度群の比較で, 術前のCobb角に有意差を認めたが, 椎間板ヘルニア摘出術により, 術後1カ月の時点で両群の差は消失した. 術前20度以上の側弯を認めた2例でも, 術後早期より側弯の改善を認めた. 腰椎椎間板ヘルニアに伴う疼痛性側弯は, 高度の側弯であっても, 椎間板ヘルニア摘出術単独で改善が期待できると考える.
  • 重森 裕, 野中 將, 安部 洋, 緒方 利安, 岩朝 光利, 東 登志夫, 井上 亨, 石倉 宏恭
    2013 年 22 巻 7 号 p. 542-548
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/25
    ジャーナル フリー
     妊娠産褥期脳出血への対応と外科的治療について自験例を元に文献的考察を加えて報告する. 妊娠産褥期脳卒中の頻度はまれであり約4割が脳血管異常に起因するとされるがいまだ明らかではない.
     今回われわれは5症例の妊娠産褥期脳出血を経験した. 3症例は妊娠を引き金にして生じた妊娠高血圧症候群 (pregnancy induced hypertension : PIH) により脳出血を生じ, 1例はもやもや病が既往に認められた. 3例に手術を行い, 退院時の母体の予後はGOSでGRが4症例, MDが1症例であった. 胎児は1症例死亡した.
     妊娠を契機に生じたPIHが引き金となり, 全身血管の血管攣縮と播腫性血管内凝固症候群 (DIC) によって脳出血が生じると推測される. 妊娠産褥期脳出血に対する外科治療は, 胎児への影響を考慮して母体に対する治療を遅らせるべきでなく各科で密に協力し治療にあたる体制が望まれる.
症例報告
  • 山口 真司, 松原 俊二, 桑山 一行, 高井 洋樹, 平井 聡, 横須賀 公彦, 戸井 宏行, 平野 一宏, 宇野 昌明
    2013 年 22 巻 7 号 p. 550-555
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/25
    ジャーナル フリー
     網膜, 顔面にarteriovenous malformation (AVM) を合併したWyburn-Mason syndromeの1例を報告する. 症例は25歳の男性. 3年前にAVMを指摘されていたが, 今回頭痛と嘔吐にて発症し, CTでくも膜下出血を認めた. 脳血管撮影で左基底核から眼窩内に侵展する最大径6.5cmのAVMを認め, 左前脈絡叢動脈末梢とほかに2つの動脈瘤を合併していた. CT上の出血部位から左前脈絡叢動脈末梢部動脈瘤の破裂と考え, 第7病日にコイル塞栓術を施行した. 第17病日に残り2つの動脈瘤に対して追加塞栓術を施行し, 合併症なく独歩退院した. Wyburn-Mason syndromeに対する根治治療は困難であり, 選択的塞栓術が有効な治療方法と思われた.
  • 益子 良太, 中居 康展, 原 拓真, 今井 資, 松原 鉄平, 松田 真秀, 上村 和也, 小松 洋治, 松村 明
    2013 年 22 巻 7 号 p. 557-561
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/25
    ジャーナル フリー
     54歳, 男性. 頭痛が目立ち, ischemic penumbraが存在すると推察される錐体骨部特発性内頚動脈解離の1症例を頭蓋内ステント留置にて治療した. PALMAZTM GenesisTM stent (Cordis® Johnson & Johnson, Miami, FL, USA) とPRECISE® PRO RX® Carotid Stent System (Cordis® Johnson & Johnson, Miami, FL, USA) とを併用したステント留置術を行い, 良好な血管拡張を得て, 症状は速やかに改善した. 血管解離性病変は, 保存的治療に抵抗性であったり, 血流不全を呈したりする際はステント留置の適応があると考えられる. 頭蓋内内頚動脈解離での報告例はまだきわめて少ないが, 良好な結果が期待できる治療法であり, 経験の蓄積と, 多様な選択を可能にする頭蓋内用ステントの本邦への導入が待たれる. また, 特発性頭蓋内内頚動脈解離の重要な所見は頭痛であり, その症状の聴取が迅速な治療の導入には重要である.
神経放射線診断
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