脳神経外科ジャーナル
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23 巻 , 10 号
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特集 アプローチの基本と応用
  • 西澤 茂, 高橋 麻由, 山本 淳考
    2014 年 23 巻 10 号 p. 776-784
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
     経蝶形骨洞アプローチによる手術は下垂体腫瘍やラトケ囊胞などのトルコ鞍内から鞍上部に進展する病変に対して最も一般的に用いられる手術法である. もともとHardyによって開発, 確立された方法はmicroscopic sublabial transsphenoidal approachであったが, その後transnasal approachや内視鏡支援手術, さらには近年では内視鏡単独でのapproachが広く行われるようになってきた. 本稿では, microscopic transsphenoidal approachのsublabial approachとtransnasal approachについて復習の意味でstep by stepに解説した. またこうしたapproachにおいても内視鏡支援の手術が一種の応用として行われているので, その利点についても解説した. 再発下垂体腫瘍に対する経蝶形骨洞手術は初回手術によって正中構造物がすでに失われているので, その手術においては特別な配慮をしてapproachを行わなければならない. 再手術におけるtipsについても解説を加えた. いずれのapproachにおいても, 利点, 欠点が存在する. その利点, 欠点を十分理解したうえで, 熟練した術者が経蝶形骨洞手術を行えば, 個々のapproachの優劣については論じる必要はないと思われる.
  • 森 健太郎
    2014 年 23 巻 10 号 p. 785-793
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
     Orbitozygomatic approach (OZA) とextradural temporopolar approach (EDTPA) は, ともに頭蓋底中心部に前側方からアプローチする一般的な頭蓋底テクニックである. 今回の報告では, これら手術の方法と工夫を中心に報告する. OZAは広い術野とworking angleを提供する. われわれは, OZAにおけるfrontozygomatic bar作成に際し, 眼窩にガイド用の小孔を2つ穿ち, これを利用してdiamond T-sawにて安全に骨切りを施行している. その結果, 特に骨切りが困難なmalar eminence部で最少のbone gapで骨切りを可能にしている. EDTPAは開放された海綿静脈洞越しに, 脚間槽部へのアプローチが可能となる方法である. われわれは, 海綿静脈洞外側壁の固有硬膜剝離に際し, 固有硬膜の切開をせずに, 上眼窩裂と正円孔との間で露出した固有硬膜と内膜との境界線をとっかかりにして剝離を開始するようにしている.
  • 中尾 直之
    2014 年 23 巻 10 号 p. 794-801
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
     Transpetrosal approachは錐体斜台部髄膜腫をはじめとする脳幹腹側に伸展を示す腫瘍性病変などに適応となる手術アプローチで, 錐体骨の骨削除部位と範囲によりanterior transpetrosal approach, posterior transpetrosal approach, さらにこれらの組み合わせであるcombined transpetrosal approachに大別できる. 病変の局在や広がり, 静脈還流パターン, 術前の聴力を中心とした神経機能などをよく吟味して, 症例ごとに手術のゴールを設定して妥当なアプローチを選択する. 本稿では, 錐体骨削除やテント切開などの本アプローチを有効に用いるうえで鍵となる基本手技を解説し, 手術合併症を回避するための要点についても触れる.
  • 鰐渕 昌彦, 秋山 幸功, 三國 信啓
    2014 年 23 巻 10 号 p. 802-811
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
     Lateral suboccipital approachの基本的事項とそのvariationについて解説する. 体位は側臥位を基本とし, 患者にとって無理がなく, 術者が楽な姿勢で手術が行えるようにする. 皮膚を切開後, 後頚筋群を温存しながら胸鎖乳突筋は腹側へ, それよりも深部の筋群は一塊として尾背側へ翻転する. 小脳橋角部を3カ所, superior, middle, inferiorに分けて考え, 適切な部位に開頭する. Variationとして, 病変部位に応じて骨削除を頭側, 尾側, 尾腹側へ拡大することにより, 広くて浅い術野を確保することができる. 硬膜内操作は, 髄液循環, 視軸, 静脈温存を意識しながら行うことが重要である.
  • 森田 明夫, 村井 保夫, 木村 俊運
    2014 年 23 巻 10 号 p. 812-819
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
     Occipital transtentorial approach (OTA) は, 中脳背側, 松果体, 小脳上面の腫瘍等の病変にアクセスする基本的アプローチの一種である. 本稿では本アプローチの基本についてまとめる. OTAは視野が広く, 特に下方へ伸展する病変への対応に優れている. 一方で術後短期間または永続的な視野障害をきたすことがある. これを回避するためには, まず静脈損傷を避けるアプローチ側を選択する. そのうえで髄液圧を減らし, 後頭葉を広く剝離し, 脳表を十分保護しつつ愛護的に後頭葉を圧排しテント面に至る. 手術中視覚誘発電位モニターなどが有用である. その他中脳背側への障害, 静脈損傷などは重度な障害をきたし得るので要注意である. 術前の画像評価を徹底して行い, 適切な解剖学的知識, 手技によって安全な手術を心がけることが重要である.
原著
  • 千原 英夫, 花北 順哉, 高橋 敏行, 倉石 慶太, 上坂 十四夫, 渡邊 水樹, 武澤 正浩
    2014 年 23 巻 10 号 p. 820-826
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
     【目的】頚椎症性脊髄症に対する後方除圧術は椎弓切除術と椎弓形成術があるが, その優劣はいまだ結論が出ていない. 当施設の顕微鏡下椎弓切除術の成績を検証する. 【対象と方法】われわれは高齢者や生理的前弯の保たれている症例に椎弓切除術を選択している. 2004年4月∼2010年6月に顕微鏡下椎弓切除術を施行した症例のうち, 1年以上の観察が可能であった頚椎症性脊髄症20例を対象とした. 術前後でC2-7 angle, 頚椎ROM, 局所拡大角, NCSSを比較した. 【結果と考察】術後後弯変形はなく, 頚椎ROMと局所拡大角は有意に減少した. NCSSは改善した. 術後の制動効果が頚椎不安定性の軽減に寄与すると考える. 【結論】頚椎症における顕微鏡下椎弓切除術の成績は良好である.
症例報告
  • 辻 正範, 倉石 慶太, 水野 正喜, 佐野 貴則, 鈴木 秀謙
    2014 年 23 巻 10 号 p. 827-831
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル フリー
     頚椎椎間板ヘルニアによって, 運動障害や感覚障害に先立ち, 神経因性膀胱症状が出現した患者を経験した. 排尿や蓄尿に関する詳細な脊髄神経経路はいまだ確定しておらず, 本症例はそれを解明する一助となる可能性がある. また, 脊椎脊髄疾患によって生じる症状については, 発症機序によってさまざまに変化するため, 神経因性膀胱のみで発症する可能性も十分にある. 神経因性膀胱として内服加療となっている症例の中には, 手術適応がある脊髄疾患患者が潜在している可能性がある.
神経放射線診断
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